第11話 今のわたし
わたしはその夜はご機嫌でいた。ハートの髪飾りを何処に着けるか鏡の前で試していたのであった。前髪の色々な位置に着けたは外したいを繰り返す。
やはり、左側の前髪だ。本当ならここでGノートを使い自撮りするだろう。
……。
今のわたしはGノートを蹴り壊した前とは違う……。前は飼猫にも認められていなかった。Gノートが無いことでドラくんが心を開いて雑貨屋を教えてくれた。わたしはベッドに横になり天井を見上げる。
「歌葉、Gノートの会社から紛失、故障のメッセージが来ているわよ」
あいたたた、やはり来たか……。
わたしは下に降りていき。リビングで母親のGノートを借りる。MYクラウドがどうとかであった。このMYクラウドとは立体映像などのデータをクラウドに上げて管理するシステムである。Gノートの会社からの問い合わせは、なんか、適当なアンケートであった。深く考えるのは止そう。
作業が終わると、わたしはつい母親のGノートのMYクラウドを開いてしまう。これは高校の入学式に……。次々と現れる画像にわたしはときめきを感じた。うん?もっと前があるぞ。
可愛い少女が写っている小学生、低学年の頃の立体映像である。
これわたしか……。端末がGノートに変わる頃だ。
次の日。
わたしは『突然のラブストーリー』を学校の休み時間に読んでいた。 場面はラブパートであった。
『誰だ?』
ミーサは主人公に後ろから抱きつくのであった。 バカップルかと思う場面である。 それから、ミーサは上目遣いで主人公に話しかけているらしい。
『ご主人様は黒タイツ派ですか?それとも生足派ですか?』
主人公がおどおど答えようすると……。
『はい、黒タイツと……』
決めつけるのかよ! どちらかを問う意味があったのかと思うのであった。
主人公は嬉しそうにするとの記述があり黒タイツの方がいいらしい。 うーん、このミーサはなかなか分かっているらしい。 しかし、この死神兼天使は性的な事しか興味がないのか?
『それでは今晩の夕食は……』
このセリフのオチは『それとも、わたし?』だろう……。
『ご主人様はわたしを食べたいのですね。分っています』
主人公も情けないが好みを当てるのも凄いな。
『では、黒タイツを履いて夕食を作ります』
ミーサは簡単に着替えると料理を作り初める。ミニスカートに黒タイツはかなり積極的な格好であった。
『夕食前のお話タイムです』
?
『封印が解かれわたしがこの世界にいると言うことは終わりが近づいています』
???
このミーサなる死神兼天使は時々意味深な発言をする。
『わたいは地球の衛星軌道から『セ、カ、イ、ノ、オ、ワ、リ』を感知して地上に舞い降りたのです』
どうやら、アフリカの貧しい国が核兵器を開発して、さらに内戦で核の暴発より世界中で核戦争が始まるらしいのです。 あれ?キューバ危機って何年前だっけ?
人類はあやまちを繰り返すのか……。
『もう直ぐ『危機の一週間』です』
もしかして、ミーサは高度バイオ型の兵器なのでは……?
『てへ、ご主人様と一緒なら死せる運命も怖くないです』
わたしはパタリと『突然のラブストーリー』を閉じる。 休み時間も少なくなったのもあるがシリアスな場面で『てへ』は無いだろう。 周りを見回すと、相変わらず、七瀬はオンラインメッセージで彼氏と話している。 ほぼ全員がGノートを開いている。 うん?先生が来て授業が始まる。 学校の授業はGノートが無ければ意味がなく。 退屈な時間の始まりであった。
今の自分を確認だ。わたしは隠れてコンパクトを取り出して前髪の左に着いたハートの髪飾りをみて凜と気持ちが整うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます