第2話
最悪だ。最悪だ。最悪だ。最も懸念していた情報を早速掴んでしまった。そりゃあもちろん彼氏がいる可能性は十分にあったが、まさか昼休みの謎が彼氏との甘い時間だったなんて。やってられない。マジでムカつく。おれがムカついている間にも表さんのイチャイチャはつづく。
「やだー、えっくん、焦らさないで~~~」
おいおいおいおいふざけるな。いったいなにを焦らされているんだ。というか白昼堂々学校でなにをしているっていうんだ。許せない、あまりにも許せない。いったい誰なんだ。顔を見てやる。そして表さんには悪いが匿名でチクってやる。ネットにも女と遊びまくってるヤリチンだってかいてやる。だめだ。それじゃ表さんがヤラれているみたいだ。とにかく顔を見てやるからな。見てやるぞ。見てやるぞ。
おそるおそる表さんと男がいるほうを覗く。手前にはしゃがんでいる表さん。教室では見せない笑顔だ。やはりかわいい。その笑顔が向いている先に男がいるというのがムカつく。しかし彼女の隣にも誰もいない。そして彼女の膝の上には…、パソコン?
どういうことなんだ。ビデオチャット?スマホじゃなくてわざわざパソコンで?目を凝らすが裸眼視力1.2のおれでもにくい男の顔は見えない。それどころか映っているのはほとんど白い画面だ、それもどこかで見覚えがあるような。
「あれ、えっくん?固まっちゃった?ごめんね。痛くない?データ量多かった?」
さすがにおかしい。データ量ってなんだ。なにを言ってるんだ?どうも男がいるわけではないようだ。もしかしてこの女、パソコンと会話しているのか…。ええい、もうどうにでもなれ。
「あの、表さんだよね?なにしてるの?」
「ひゃわ!ええっ!ふぁっ!?ぱふぁ!か、
「ぱふぁ??いや、おどかしてごめん。コンピューター室に忘れ物をとりにいってたら表さんがここにいるのに気がついて、なにしてるのかなって気になっちゃって。昼休み教室で見かけないけどいつもここにいるの?」
「え…、あ…、うん…」
「これは単に興味本位なんだけど、ここでなにしてるの?」
「え、えっと…、ぱ、ぱそ…こん…」
表さんはむちゃくちゃキョドっているがそれはそうだろう。とはいえギリギリ会話はできている。昼休みは短い。さっさと核心に迫ろう。
「声掛ける前にしゃべってたの聞こえちゃったんだけど、だれかと喋ってたの?」
「いや…、その…、えへへへへ。か、彼氏…」
あー、これはやばい、やばいやつだ。さっきの会話とか今の状態見てる限り、彼氏、ぜってー人間じゃねえよ。ここまでくるとあとには引けない。がんばれ、おれ。
「あ、そうなんだ。仲良いいんだね」
「えっくんとは…ずっと一緒にいるから…」
「あの…、単刀直入に聞くんだけど、彼氏ってその…」
おれは表さんのパソコンに目を向ける。
「えへへ。エクセルのえっくん…」
どうやらおれはとてつもない子に惚れていたらしい。なんならすでにちょっと冷めてきた。
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この小説の第2話が12月2日に公開されているということは、またしてもSpreadsheet/Excelアドベントカレンダーの2日目を埋めるのに失敗したということのようだ。
くそっなんど時間をやり直してもアドベントカレンダーが埋まらない!なにがいけないんだ!これが運命だっていうのか!?
こんなこと書いてるヒマがあるなら勧誘なり執筆なりしていたほうが良さそうですね。はい、すいません。この小説の第2話はSpreadsheets/Excel Advent Calendar 2019の2日目の記事として書かれました。
https://adventar.org/calendars/4085
明日はsilloi93さんの「家計簿」の記事です。去年はスマートかと思いきや思いのほかワイルドなSpreadsheet術を書かれていたので、今年も期待ですね。
アドベントカレンダーを助けてくれる人は引き続き募集しています!!
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