総員 勃起せよ!!by中田祐三さん
勃起せよ 勃起せよ 勃起せよ
総員勃起せよ そうみんなで勃起しよう
ドキドキしとる 心をゴゴゴと素直にGOGOGO!
どっどどうしよう 鼓動 今度またね何て言わず こんやどう?
みっちり込めてる血液 海綿体 大恋愛 してるけど少し大変態
マラ起立ビクっとするのはあの娘へのマキシマムリスペクト
詭弁と思わないで機嫌とってるわけでもない
ただしたいしたい愛したい愛し合いたいそれへの期待してる正直な気持ちだい!
開き直り? だって隠しても意味ないし 意外に純情?
煩悩も侮れない根性 誰にでも言うわけじゃない 本当
男はみな兵士 戦場を駆け巡る同士 生まれつきどうしようも無いくらい バーロ~野郎
精子の頃から生死かけ目指す卵子 こんな話は嫌い?
でも俺も君もそれで生まれてきた
マジな話 マジマジ マジカル 交わる マンにクリティカル してヒット!生まれてきた人 意図 NOT意図? オット今はDONT!
君の凹に突撃したい凸
互いに欠けた場所 そこを埋めるここ そうそう 手を繋ごう
まずは そこから始めよう 次は? そうだ求めよう
何を? ドッキッドッキな勃起勃起を!
(引用ここまで:https://kakuyomu.jp/works/1177354054885706127/episodes/1177354054885951681)
一読して、インターネットじゃないと許されない日本語だと思いました。
まずタイトルがとてもよいですね。水木しげるの『総員玉砕せよ!』を彷彿とさせる仕上がりですが、前出の水木における、「総員」という、あきらかに軍国主義を匂わせる言葉づかいに、「玉砕せよ!」という不条理な(というより、むしろ「穏当」な?)命令形を結びつける反動的な手つきを、みごとに継承しています。
それで内容なんですが、「総員勃起せよ/そうみんなで勃起しよう」とか、冒頭から同じことを2回言ってくるので、読み手は“総て”を了解せざるをえません。現象それ自体は個々人の生理的なものですが、「みんなで」とか超オルグしてくるので対処しようがない。怖い。
「あの娘へのマキシマムリスペクト」みたいな叙述は神経が壊れていますね。「少し大変態」とかも悲しいな。居直れていなさが伝わる。
「ドキドキしとる/心をゴゴゴと素直にGOGOGO!」とか「君の凹に突撃したい凸」とか、短いあいだに2回ぐらい吉井和哉になるタイミングがあって、そこも素敵です。「詭弁と思わないで機嫌とってるわけでもない」はなんとなく米津玄師だし、「オット今はDONT!」は秋元康ですね。
そんな感じでいろいろな人名を轢き逃げして、なんとか当初の議題から目を背け続けるのですが、
「何を?/ドッキッドッキな勃起勃起を!」
などと最後に念押しされて台無しです。
そんな感じで、今回はとくに先方からの指定がなかったので、個人的にタイトルで(真剣に)グッと来たものをチョイスさせていただきました。
音楽でいったらシャッグスとかそのへんの立ち位置、文芸として考えると藤森安和『15才の異常者』、また近年では木下古栗の諸作を思い起こすのですが、兎にも角にも意趣深い内容で、よいのではないでしょうか?
ごちそうさまでした!
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