第10話【あの日あの場所で何が起きたのか】

ピーマンが意識を取り戻した時に居た場所は豪奢な場所で座っていた。


「ここは・・・」


思い出した。

この場所は隣国のフィッシュ帝国の領事館の待合室だ。

王子としての仕事でここにやって来たのだ。


「待てよ・・・ここに来た日に・・・」


そう、 この領事館に来た日にカラシナは死んだ。

領事館から帰って来た時には既にカラシナは亡くなっていたのだ。


「・・・・・帰らなければ」


立ち上がるピーマン、 そして出口に歩き始める。


「ピーマン王子? 何方へ?」


フィッシュ帝国の外交官が尋ねる。


「・・・ここまで待たされるのは我慢ならない、 帰らせて貰う」

「え?」

「失礼」

「お、 御待ちを!!」


外交官が止めるもピーマンは構わず進み馬車に乗る。


「王子? もう良いのですか?」


御者が尋ねる。


「あぁ、 急いで屋敷に戻れ」

「分かりました」


馬車がピーマンの屋敷に走る。


「まだ無事で居てくれ・・・」


祈るピーマン。

急に馬車が止まる。


「如何した!?」

「羊の横断です」

「羊!?」


ピーマンが顔を出すと羊が道を横切っている。

これでは馬車は通れない。


「糞ッ!! こうなれば仕方が無い!!

馬車の馬を一頭借りるぞ!!」

「え? 王子? 一体何を・・・」


馬を馬車から切り離して乗るピーマン。

そして羊の群れを横切ってから馬を走らせる。

猛スピードで馬を走らせるピーマン。

そのスピードは尋常じゃないスピードだった。

正直恐怖も有ったがカラシナの命が係っているのだから

恐怖を押し殺してピーマンは馬を走らせた。


「無事で居てくれ・・・」


ピーマンは鞭を馬に何度も叩き込み馬は猛スピードで走った。

スピードが出過ぎた馬は転び乗っているピーマンも投げ出された。












『ぐっ・・・立ち止まっていられるか!!』


ピーマンは構わず自分の足で走り始めた。

ピーマンの足はまるで自分の足じゃ無いかの様に軽く強かった。

そしてあっという間にピーマンは自分の屋敷に辿り着いた。


『カラシナ!! 無事か!?』

『ピーマン様? 如何したのですか血相を変えて・・・』


カラシナは屋敷の玄関に居た。

ピーマンはカラシナを抱きしめた。


『良かった・・・生きていたのか!!』

『ピーマン様、 苦しい・・・』

『良かった・・・良かった・・・』


そこでピーマンの意識は闇に消えた。


【死因:落馬による脳挫傷

尚死に際に良い夢でも見ていたのかとても幸せそうな顔で絶命していた】

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