第3話【馬鹿正直】


「今は王歴1499年の9月9日・・・そうだったな?」


侍女に確認を取るピーマン。


「え、 えぇ・・・」

「9月頭過ぎ・・・と言う事は、 父上は国内の見回りを終えて王城に戻っている

そうだな?」

「え、 えぇ・・・昨日帰られてご挨拶したでしょう?」

「・・・・・そうか、 では今、 父上は王城に居る・・・

・・・ここは何処だ?」

「え・・・王城の庭園ですが・・・」

「ふむ・・・父上に話が有る」


立ち上がるピーマン。


「え?」


侍女が呆気にとられる。

そんな事を御構い無しにピーマンはつかつかと謁見室に向かう。


「父上!!」


謁見室のドアを勢い良く開くピーマン。


「・・・ピーマン? 何の用だ?」


ピーマンの父親、 ナス王が臣下に謁見をしていた。

当然ながらナスはキレる一歩手前である。

仕事の邪魔をされたのだから内心『チッ、 何だまた問題事を持って来たのかこの屑は』

と思っている。


「ミンチ侯爵令嬢との婚約を破棄して貰いたい!!」

「はっ? 何故だ? 理由を言え」

「実は私は未来から神様の力でやって来たのですが

未来の世界でミンチは悪逆非道の限りを尽くし

私の未来の恋人カラシナ男爵令嬢を苛め抜く悪女だったのです」

「・・・・・ちょっと自室で待機していろ」

「はい!! 分かりました!!」


謁見室から立ち去るピーマン。


「・・・如何思う?」


側近のチリ大臣に問うナス。

チリは第一王子のピーマンを内心快く思っておらず

寧ろ第二王子のパプリカを王に据えたかった。

なのでチリはこう言った。


「ピーマン殿下は気が触れてしまったのでしょう」

「そうだな・・・少し環境の良い場所に押し込んでおこう」

「王立癲狂院に今日中に移送します」

「そうしよう、 何故あそこまで気が触れてしまったのか理解出来ないな」

「私も残念ですね」

「甘やかしすぎたかなぁ・・・」

「いえいえ、 陛下は父親として立派だったと思いますよ」

「そうか・・・じゃあピーマンの事はそれで良しとしよう」





その後、 ピーマンは王立癲狂院に輸送された。

ピーマンは暴れたりしたが次第に無駄な事だと悟った。

そして次のやり直しに向かう為、 自死を試みたが失敗し

繋がれて拘束される事になった。


ピーマンが50歳になった頃、 ピーマンが病気にかかり死んだ。


【死因:癲狂院にて病死】

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