第7話 スターライト・シューティングスター
「あ、あ……あなたは」
「源太郎」
「は、母上どの!!!」
「ちゃんと会話するのは十五年振りだね、源太郎」
「ど、どうして、母上が!」
「十五年前、あんたは家を出て東京で一人暮らしを始めた。でも母さんは昔から内向的なあんたが心配で仕方なかった。そこであんたに自分に自信を付けさせて生きていくにはどうしたらいいのか、父さんと一緒に考えたんだよ」
「はい……」
「あんたは、とにかくオタクで物心付いた時から、魔法少女になりたいってずっと言っていたのを思い出してね。それならその夢を叶える為に大変な苦労をさせ、それを乗り越える事が出来た時、きっとあんたは一人前の男になると思ったんだよ」
「そうだったんですか……」
「目的はともかく、あんたは一億円もの大金を作ることが出来た上に、身体つきもこんなに逞しく立派になった。あの頃の暗い雰囲気はもう微塵もなくなったじゃないか」
そう言いながら源太郎の母である真由美は瞳を潤ませた。
「母上。そうだったんですね……。ボクは随分心配を掛けていたようです……。ごめんなさい」
「何言ってんの! こんないい男が! あんたは父さんと母さんの誇りになったよ」
そう言いながら源太郎の背中をバンバン叩いた。
「しかし母上、十五年間ずっとここに居たんですか? ボクはお金を貯めるのに必死であれ以来ここには来れなかったんですが」
「あんたがここに来てからは、父さんとここに引っ越してきて、この上に住んでるよ」
「このビルは一体?」
「このビルはあんたのお祖母ちゃんの持ち物だったんだよ。あんたが生まれる前にここで喫茶店をしてたんだ。西洋風で雰囲気が周りとは異質な変わった建物だったから結構人気があってね。今でも反対側から入るとメイド喫茶になってるよ」
「そうだったんですか!」
「あんたはやっぱりやれば出来る子だった。母さんはそれが嬉しいよ」
「母上!!」
源太郎は母親に抱きつき、二人しておいおい声を上げて泣いた。
そして一頻り泣いた後、
「それで、母上、テリーヌに変身した後の必殺技についてなのですが、『スターライト・シューティングスター』は自動で装備されるのでしょうか?」
『完』
魔法少女テリーヌ 暁月達哉 @tacchans
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