朱と鳥と、三人の皇子。 5
本当に君はどこの国から来たのかな。
東の島国?
それとも大陸?
この国はね、二つの国の間にある島国なの。
名前は
海の交通の要衝として、元は大陸から派遣された形で人々が移り住んできたのだけれど、大陸の国が亡んで王朝が変わると、この島国の人々はここを自分達の国として営むようになった。
それがわたし達の祖先で、その時に起ったのが白麗達の祖先、
民の信頼も篤く、とてもご立派なお方だったとお聞きしているわ。
今の皇様、
第一皇子、
あと、君はまだ会っていないけれど、第二皇子、
橙喜様は建国の際に力添えなさったと言われている名家のご出身のお方で、灰玲様は神事の際に神楽を踊られた踊り子だったのよ。
皇様はどちらのお妃さまも深く愛していらっしゃって、そのお子である皇子達ももちろん愛していらっしゃるの。
忙しくても、朝餉は必ずと言っていいほど、皇と皇子達は一緒に召し上がることになっていたわ。
最近は、皇子達も政に携わるようになって、中々全員揃う機会がないようだけど……でも、変わらず朝餉の時間は変えてないの。
朝の大切な時間を、みんなで揃えられるようにって。
三人の皇子は、賢くて才気に溢れ、見目麗しく、皆それぞれ次期国皇として期待されている。……表向きにはね。
第一皇子の白麗は、幼少期より体が弱いこと。
第二皇子紅晶は、お母様の灰玲様の出自が踊り子ということで皇宮内に後ろ盾がないこと。
第三皇子碧英は、執務が苦手であまり政治に関心がないこと。
三人は賞賛されるのと同時に、常に比較されては批難を浴びてきた。
そして、それぞれを支持している派閥があるから、子供の頃より不便を強いられているみたい。
わたしは、小さい頃から三人のことを知ってるから、三人がどれだけ傷付いてきたか、他の人よりは知ってるつもりよ。
白麗は、誰に対しても心濃やかに気を遣い、書物を愛し、剣術にも長けている。
紅晶は、真面目で努力家。いつも勉強するときは最後まで先生に教わり、習っていた。
碧英は、弓術と馬術が得意で、自然や動物を愛し、愛されていた。
三人ともとても優しくて、比べるなんて勿体無いほど才気に溢れているのに、周りは誰か一人を選びたがる。
もし皇家じゃなければ、彼らはもっと親しくしていたかしらね。
この国は、国皇が二年後の四十の年になると皇権を次の皇に渡さなくてはいけないの。
来年、三人の内から皇が選ばれることになる。
だから今の皇宮内は、とても張り詰めた空気をしているのよ。
君にとって、居心地が悪かったらごめんね。
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