第49話
凛花、俺、ジルガの順でベンチに座り、俺はジルガになんでここにいるのか尋ねる事にした。
「なぁ、なんでお前ここにいんの?」
「ん」
そう言ってスマホを差し出す。それを見ると、ドリブルしているジルガの写真にプラスして『イタリア代表ジルガ選手!!日本でその技術を披露!!』という見出しがあった。
色々ツッコミたいがまず…。
「お前…イタリア代表?」
「おうよ」
俺と歳が一緒の癖してもう代表入りかよ…。本当大物過ぎないかなこの人。
「ま、まぁまずおめでとう」
「おうよ。でもまぁお前居ないとW杯優勝は無理だろうし、お前もはよ入れ」
そう言って頬を指でグリグリと押す。簡単に言ってくれちゃって…俺そもそも普段は日本に居るから機会がないんだよ…。
「無茶言うなっての…。で?このイベントの質問だ。このイベントが行われるの明日だけどさ、その前日に日本に来て、観光がてら俺らの文化祭に顔を出そうとしだ…ってとこか?」
「そゆこと〜」
ジルガはパチン、と指パッチンをする。正解だったようだ。
「まぁそのおかげで女子達に追い回される羽目になったけどな〜。いやぁやっぱサッカー選手ってのはモテるねぇ!ま、俺の場合ルックスも良いからな!」
ジルガの身長は俺より少し高い190センチの高身長。
それに加えて10人居れば10人が振り返るレベルの顔立ちに、年収が高いと言われるプロのサッカー選手。しかもこの歳で国の代表に選ばれるほどの。
こんな奴がモテない筈が無かった。
「そうか」
「反応うっす!!」
「別に俺多くの女にモテたくてサッカーやってるわけじゃねぇしな」
そう言うと凛花が顔を赤くして横を向いた。本当に可愛い。
「ラブラブカップル健在かい」
「おうよ。もうラブラブよ」
「…まぁ良いや。それより恭弥よ、お前このイベント参加しね?」
一瞬呆れた様子を見せたジルガは、再びスマホを差し出す。
「条件は右左使ってリフティング100やれば良いだけだ。お前なら余裕だろ」
「多くないか?」
「そうでもしないとやりてぇって奴が多すぎっからな。まぁ4歳くらいの小さい子とは無条件で遊ぶけどな」
まずは4歳から小学生未満の子供がジルガと1対5を行う。そしてその後に参加希望の奴がそれぞれリフティングを始め、100をやり終えたやつから順にジルガと一対一のプレイが出来るというのを聞いた。
「やらねぇよ。その日は凛花と家でデートすんだ」
「そうかそうか、参加して…ってはぁ!?お前…参加しねぇの!?」
おぉ、ノリツッコミとは…日本の文化を分かってるじゃないか。
「なんでやると思ってんの?つかイタリアで死ぬほどやったじゃん。ほぼお前の全敗で」
「2回勝ちました〜!!全敗じゃありませんんんっ!」
何回やっただろうか。100は絶対に行ってるし、200行ったか言われれば首を傾げるが、それでも行ってないとは言い切れないレベルではやった。
そのうちの2回を誇らしげにしているコイツは…なんというか…滑稽。
「良いから参加しろよ!ほら!俺に勝てたら一気に人気者になれるぞ!」
「……別に人気者にならなくて良い」
「そうでしたね!お前はそんな奴だよ!」
人気者になったらコイツみたいにやっかいごとが増える。そんなのは嫌だ。今俺は凛花との恋愛で忙しいのだから。
「えぇっと…ほら!凛花にカッコいいとこ見せられるぞ!」
「私はもう恭弥の事これ以上ないほどかっこいいと思ってるからそんなことしなくても良いわ」
「あぁもうこのバカップルゥゥッ!!」
ジルガは頭を抱えてそう叫んだ。
うるさいから静かにしろよお前。
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