第44話

「凛花、大丈夫か?」

「うーん…顔が…暑い…」


 風邪を引いた凛花の家に来た俺であったが…俺は今、



最低なことを考えていた。



顔を赤くし、弱り切った凛花を見て…


(クッソ可愛いなおい…あぁ…襲いてぇ…)


 そんな事を考えてしまっていたのだ。煩悩を振り払おうとするも、凛花に目線を合わせて仕舞えば再び考え出してしまう。


「んんっ…あっ…」

「おっと…」


 胸元にポタリとヨーグルトのカケラが落ちてしまい、俺は近くのティッシュをとって凛花に渡そうとしたその時だ。


「へへぇ…恭弥〜?これとりなさいよ」

「はぁ…!?」


 小悪魔の様な笑みを浮かべながら、胸元を差し出してくる。ドクンッ、ドクン、と心臓の音が早くなる。


「てんめ…そういうのはだな…風邪が治ってからにしろ…」

「あっれぇえ?恭弥ってば何顔赤くしてんの〜?私はただパジャマについたヨーグルトをとって欲しいだけなんだけどなぁ〜?」


 コイツ…!マジで理性がぶっ飛んでんじゃん!!いつもなら絶対こんな事…いや言うけど、こんなに攻める凛花は初めてだ。


「そ・れ・と・も…こうしたら取ってくれるのぉ?」

「ぶふっ!?」


 胸元を開き、谷間がガッツリ見える状態で、胸にヨーグルトを垂らす。

 いかん!!これ以上は理性が持たん!それに絵面が18禁だ!!


「凛花!落ち着け!な?」

「私は冷静だよぉ?」

「冷静じゃねぇからこう言ってんの!誘ってくれるのは嬉しいけど…今はお前風邪ひいてるからダメだろ!な?今は安静にして、風邪を治す事が優先だ。あとはなんでも好きにされてやるから!」


 そう言うと、凛花は少しの間沈黙する。少し言いすぎたか…?と内心思いながら、話しかけようとした瞬間。


「何よ何よ!恭弥とイチャイチャしたいって思うのがそんなにダメなの!?一日中会ってない恭弥とイチャイチャしたいんだからしょうがないじゃん!」


 コイツ…最早キャラ崩壊ってレベルで理性がぶっ飛んでやがる…。いつものツンデレ(笑)はどこ行ったんだよ…。


「いいから恭弥は私に補給されてなさい!!」

「あぁっ…もう…お前なぁ…」


 この様な状態の凛花を前にして理性を保ってる自分を称賛したい。だけどもうそろそろ限界が近い。


「良い加減にしろ…」


 少し低い声でそう言った。


「俺は凛花の為を思って言ってる訳。だからこんな弱った状態の凛花見ても我慢してんの。それを何?お前1人だけが苦しいみたいな言い方してさぁ…?」


 もう我慢の限界だ。本音をぶちまけてやる。


「弱った凛花は確かにそそるけど、それ以上に凛花には早く風邪を治して苦しい状況から出て行って欲しいんだわ」

「ふーん?今私全然苦しくないけど?」

「俺が来る前は死にかけてた癖によく言うわ」

「うぐっ…き、恭弥が居るから今は…」

「俺が家帰ったらどうするわけ?」


反論を真っ向から叩き伏せる。

今の凛花になら余裕で勝てるわな。


「2日目も風邪が治らなかったらもう知らない。それは凛花が今日ふざけたせいだから、もうお見舞いにも来ない」

「だ、ダメ!!お願い!!それだけは辞めてよ!」


 涙目で、制服の裾を掴んで懇願してくる凛花は、本当に心臓に悪い。めちゃくちゃにしたくなる。


「だったら寝る?」

「ね、寝る!!寝るから!」

「よし、それならオッケー」


 ニッコリと笑って、俺は椅子に座り、凛花を寝かせ用途した時だ。俺の腰に両足を回して拘束し、立ち上がるのを防がれる。


「っぶっ!」


 凛花の危険にならない様に、顔スレスレのところに手を置いて無事に終わる。


「お前っ!危な…むぐっ!」


 逃げ場が無い。強引に唇を奪われ、口内に侵食される。凛花の舌が口の中で暴れ回る。


「一日中私と会ってなくて、こんな危険な状態の私からキスされたら…アンタは我慢できなくなるわよね?」


 コイツ…まさか今までのやつ全部計算かよ…!

 流石凛花、恐ろしい子。


「凛花ぁ…」

「よくよく考えてみれば恭弥が私のお見舞いに来ない事なんてありえないのよね〜」


 そのドヤ顔に腹が立ち、青筋を立てる。


「おう上等だコラ。どうなっても知らないからな」


サヨナラ理性

こんにちは煩悩

また会おう正義の俺。

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