第22話
約2時間バスに揺られながら到着したのは、山奥にある学校を改造して旅館の様にした場所だった。
小さいが運動場や体育館もあるこの場所で、教員から説明を聞いた後、俺は自分に割り当てられた部屋に荷物を置き、凛花からの新着メッセージに目を落とす。
『今すぐ体育倉庫に来て』
なんだろう、と心で思いながら、俺は背後の気配に気を付けながら、解放された体育館の玄関に入る。
ここは自由に使って良いらしいので、俺らが入ろうが特にお咎めは無いだろう。
そして直ぐ左側にある体育倉庫を発見し、恐る恐る扉を開く。
「うわっち!?」
なんか変な声を上げながら、中に引っ張られ、マットの上にダイブする。何事かと思い振り返ると、そこには凛花の姿があった。
「よう凛花、2時間ぶり…っ!?」
鍵を閉めたようなガチャっ、という音が聞こえると、凛花は俺に抱きつくだけじゃ飽き足らず、強引にキスをかましてきた。
「ちょ…!おま…!」
濃厚な深いキスは十数秒に続き、軈て凛花の肺が耐えきれずに、顔を赤くし、息を荒げながら唇を離す。
その姿はとても色っぽくて、心臓が飛び跳ねそうなくらいドキドキした。
「はぁ…はぁ…恭弥ぁ…」
「お、おう…凛花の大好きな恭弥様だ」
「無理…我慢するとか言ってたけど、2時間でこのザマなの!!もうバラしてイチャイチャしても問題ないと思うのだわ!!」
確かにこの可愛い凛花と、この先ずっと学校で我慢するというのは、さすがに俺も危険な気がする。
でも…『凛花は俺の彼女だから』とか言ったら親衛隊に殺されかねん。
というわけで、何かインパクトがあるやり方でバラして黙らせるのが1番良いんだが…。
「あ…」
あった。
体育祭や文化祭とかで圧倒的な活躍を見せて告白、なんかよりも、もっと馬鹿みたいにインパクトがあって、誰も文句のつけようもないやり方が。
「……あの、今は無理だけどさ、多分凛花と俺が付き合っても誰も文句の言いようの無いやり方が…一つだけある」
恐らく2ヶ月後、いや、下手をすれば1ヶ月後くらいには、俺と凛花と俺が付き合ってても文句は言われないレベルの騒動が巻き起こせるかもしれない。
「そ、そのやり方というのは…?」
「それは…」
俺が思っている事を口に出そうとしたその時であった。ガゴンッ!という音が聞こえてくる。
お互いに体がビクッ!と跳ねて、体制を崩した凛花は俺に覆いかぶさるような体制になる。
「むぐっ…!」
凛花の平均より上、だが巨乳と言われるまだじゃない胸が俺の顔に埋まる。
『全然使えるじゃん!』
『バスケしよバスケ!!』
『えー!バレーやろうよ!』
聞こえてくるのは女子の声。それに俺は、いや恐らく俺らは同時に(やばい!!)と思っただろう。
俺らがいるのは体育倉庫。バスケットボールやバレーボールなどの物は大抵この中にある。
(こんな現場見られたらソッコーアウトじゃねぇか!!なんとか…なんとかしないと!!)
窓から脱出を考えたが、なんか柵みたいなのが作られてて無理。
脱出口は扉のみ…。
どうにか思考を巡らせて考えついたのは…。
「むごっ…むんごっ…」
作戦を伝えようと喋るが、凛花の胸に邪魔されて喋れない。
「あんっ…!ちょっ!恭弥…!!今はじっとしてなさいよ…!」
俺の作戦、俺が用具入れとか身を隠せる場所に入って、凛花が出て行く。そして誰も体育館を使わなくなったところにLINEをしてもらい、俺も脱出する、というものだ。
(くそっ…!なんともけしからんおっぱ…胸だな!!)
凛花のおっぱ…というのは流石に卑猥だ。うん。クソッ、取り敢えず凛花を退けないと…!!
俺は必死にジェスチャーをして凛花に退いてもらい、なんとか作戦を伝えてその場を免れた。
凛花の胸の感触はとても柔らかかったです。
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