第8話
「くくくっ…くくくっ…あーっはっはっは!!」
「ついに来たぞ!!我らが恭弥に勝てる日が!!」
「運動ならお前に負けるが、勉強なら負けないぜぇええ!!」
狂喜乱舞。その四字熟語が似合いそうなほど、中間試験に入った教室は荒れていた。確かにそうだ。俺は運動だけにステータスをぶっこんで、勉強はあまりしてない。まぁそれでも授業はしっかり聞いているので最悪50点。平均60点は取れている。まぁこんなのなんの自慢にもならないけど。
「あ、四宮君」
「アレ…工藤さん?」
教室の扉を開けて入ってきた凛花は、俺と目が合うなりこちらに向かって歩きだしてきた。
「貴方って勉強苦手なのよね?私で良ければ教えてあげましょうか?」
「「「「「「んなっ…!!」」」」」」
男子どもが驚愕の顔に染まる。さて、どうしたものか。ここで断れば「我らが凛花様の誘いを断りやがって…」となり、断らなかったら「あの野郎凛花様と近づきやがって…」となるわけだ。
どちらにしろ嫌われるのであれば、俺にメリットがある方を選んだら良い。
「良いの?」
「えぇ」
「じゃあ、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げると、凛花は小さく笑い、俺の手を引っ張った。
「じゃあ行きましょうか」
「あ、うん…」
そして教室を出た数秒後の事だ。
まるでこの世の終わりの様な叫び声が、廊下中に響き渡ったのは。
………
……
…
学校から帰った後、俺は凛花の家で勉強会を行なっていた。机の上にテキストとノートを開き、凛花はいつもはしない眼鏡を装着して俺に教えていた。
「うん。正解。やっぱり恭弥は物覚えは良いわね」
「お前の教え方が良いんじゃ無いですかねぇ…」
凛花の教え方はクソ分かりやすい。だからみるみるうちに頭に入ってくる。あぁ…教師が凛花になってくれれば俺もやる気出すのになぁ…。
「ふふっ、ありがと。ところで恭弥、400点超えなかったらの罰ゲーム、やりましょうか」
合計点数400点を超えなければならないという、俺にとって超鬼畜難易度の罰ゲーム。まさか…今回もやるのか?
「嘘だろ…ば、罰ゲームは?」
「1週間私の家に来るの禁止」
「………死ねと?」
そうか、凛花は俺に死んで欲しいのか。お前の言ってることはそういうことだ。1週間飯を食うなと言ってるのと同じだ。
だけど凛花は俺の家に来ることが出来る。ひどい、俺の事を自分の好きな時に発散できる道具だと思ってるんじゃ無いだろうか。
「あら、クリアすれば良いじゃ無い。クリアしたら、そうね…一緒にお風呂入ったげる」
………
……
…
中間テスト成績発表
1位・工藤凛花 500点
……
……
……
13位・四宮恭弥 453点
「うおっし!!!!」
両手で大きくガッツポーズ。やったぜ!!!400点超えた!!しかも学年ランキング13位!!クッソ嬉しい!!
「何故だぁああああああ!!!」
「なんでお前が!!お前がそんなとこにぃぃ!!」
「ふざけんじゃねぇよこのクソチート野郎がぁああああああ!!!」
この光景はまさに阿鼻叫喚であった。すると、当然の様な顔をしながら、凛花が俺の横に現れた。
「じ、じゃあ…仕方ないから、約束は守ったげるわよ。別に、私がやりたいわけじゃ無いんだけどね!」
あぁ…これ…どっちに対しても凛花が美味しい思いをする様に仕組まれたんだ。
結局はそうなってしまうのがしゃくだった…ので、俺は夜、凛花にお返しをするのだった。
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