すまん、モテ期みたいなんだが 2
代が校内に設置されたべンチに腰掛けている。
それだけで絵になるなぁ。
「悪い代、待たせた。」
「お帰り啓。随分長かったね。」
「そ、そうか?それより早く弁当食べようぜ!」
ここでへまをして代にバレる訳にはいかないのだよ。
今の代が、俺が告白されたと知ったらどんな行動に出るのか想像もつかない。
「今日のお弁当も自信作なんだぁ~!」
「おおぉ!!本当だ、美味しそう!!」
まぁ俺が代の前でへたこく事なんてめったにないからな。
大丈夫だろ。
・・・あっ、そう言えば・・・先輩の名前聞いてなかったな・・・。
翌日。
俺は自分に起きていることが信じられなかった。
「嘘だろ・・・。」
登校して下駄箱を開けてみたらあらビックリ!!
なんとまた手紙が。
流石に連日は無いだろうと、昨日同様バレない様に手紙を読み進めていくと・・・、
「oh~・・・。」
ラブレターとしか言いようが無い内容の手紙だった。
しかし字の書き方からして、昨日の先輩とは別の人物だという事は分かった。
何なの?
もしかして俺モテ期なの?
受ける気は無いが好意を持ってもらうのは悪い気はしない。
けれどその好意の数だけ断らないといけないのは俺の心にも後味の悪いものを残す。
だがそれでも仕方ないのだよ・・・。
「ん?またこの場所か。」
手紙に書かれていた待ち場所は、昨日と同じ場所だった。
昨日お断りした場所でまた別の人を振るのか・・・。
マジ最低じゃん・・・俺・・・。
そして昨日同様お昼休み。
また代にお手洗いと伝えて、指定場所である校舎とは離れたあまり人の来ない広場へ。
そこには3年生用のリボンをした女生徒が待っていた。
栗色のショートヘアーに、前髪をヘアピンで留めている。
背は俺より頭一つ分くらい小さい。
「あっ・・・」
俺に気づき小さく声を漏らす。
俺がペコっと頭を下げると、向こうも下げる。
上げた彼女の顔は紅潮していた。
「来てくれてありがとう新聖くん///」
「いえ。流石に来ない訳には・・・それで話っていうのは・・・」
「それなんだけど・・・その前に言っておきたい事があって・・・」
ん?
んん?
待て待てちょっと待ってくれ。
なんかデジャブを感じるんだけど・・・。
まさかだろ、なぁ?
「あのぉ、僕・・・男なんです!!それでも良かったら付き合ってください!!」
ふぇぇぇぇぇぇぇえええいいい!!!
どうしたの!?
ラブレター貰うまではまぁいいよ?
けどさぁ?
相手が連続で男の娘だなんてそんな事あるぅ!?
俺ホントにモテ期じゃん!!
「あの先輩?何で女子指定の制服を?」
「えっ?・・・僕ね元々女装が趣味でね、この間校則が変わって制服が男女共用になったでしょ?だから気兼ねなく外でも着られるようになったから・・・」
大変良い趣味をお持ちで。
素晴らしい!!
特にそのスカートとニーソの間に生まれる絶対領域が良いですねぇ!!
・・・ヴんんっ、じゃ無かった。
「すみません先輩。他にいい人を見つけてください。」
「えぇっ!?急に!?」
そこからは昨日と同じようなことを説明した。
先輩は静に俺の話を聞いてくれていた。
そして俺が話終わると納得してくれたようで、その場を去っていった。
「これ・・・辛ぇ~~~・・・」
人の好意を受け入れないというのがこれほどにも辛い事だとは・・・。
けど一番辛いのは相手だろう。
俺が言える事じゃないかもしれないが、本当に俺なんかよりも良い相手を見つけて幸せになってもらいたいものだ。
代の所へ向かいながら、そんな事を考えていた・・・。
・・・・・・だが、俺のモテ期はこれで終わらなかった。
翌日も・・・。
「好きです///啓くん///」
また翌日も・・・。
「付き合ってください///」
またまた翌日も・・・。
「お願いします///」
いやいやいやおいおいおい!!!
どうなってんの!?
何回目だよこれ!!
ここ毎朝下駄箱に手紙入ってるじゃねぇか!!!
しかも場所が全員同じだし!!
さらに全員可愛いし!!
しかも・・・しかも・・・、
「全員男の娘だったんですけど・・・」
ここまで来て一つ、嫌な考えが頭を過る。
もしかして・・・
「俺がホモだってみんな知ってるのか?」
いやそんなはずは無い・・・はずだ。
今までの人生の中で、その事がバレるような事なんて一度も無かったはずだ。
そんな素振り見せもしなかったし、ましてや口にした事だって無い。
じゃあ何故こんなに連日で告白される?
しかも男の娘だけに・・・。
「うう~~~ん・・・・・・分からん!!」
考えるだけじゃダメだ。
ここは一つ、調査と言うほど大げさなものでは無いが調べてみるしかなさそうだな・・・。
だがその前に・・・
「代のとこに行かなきゃな!」
一先ずこの件は置いといて、待ってくれている親友の元へ向かうことにした。
必ずこの一連の謎を解いて見せますよ!!
ホモの名に懸けて!!!
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