すまん、嘘つくと罰が当たるんだが
結論から言おう。
俺がホモだとバレてはいなかった。
クラスの友人にそれとなく聞いてみたり、時には俺の事をヒソヒソ話していたら聞き耳を立てたり・・・その大半が俺と代との進展の話だったが。
この数週間、どこから情報をかき集めても俺がホモだとバレている決定打は無かった。
つまりだ。
先輩方からの告白は、俺自身の何かが相手を引き寄せていたって事になる。
「男に好かれる顔つきなのか?それともガタイか性格か・・・」
いづれにしても、バレている訳じゃなくて良かった。
それに最近はラブレターが入っている事も無く、いつも通り平穏に高校生活を満喫している。
どうやら先輩方は諦めたようだ。
・・・べ、別にモテ期が終わったのが残念だなんて思ってないんだからね!!
「お待たせ啓!」
「おぉ。来たか代。」
お弁当を手にした代が俺の隣にちょこんと座る。
近いね相変わらず・・・もう慣れたが。
さて俺も弁当を食べようと箸でおかずを口まで持っていこうと思ったら・・・
「・・・何だい代」
隣に座る代が俺の事をこれでもかと凝視していた。
すいません、君のその柔らかいであろう唇に吸い寄せられそうだからやめてもらえるかな?
「啓、今日はお手洗いには行かないの?」
「えっ?う、うん。今日は別に・・・」
ほらぁ~~。
ここんとこトイレ行くって言ってたから弁当食べる前の俺の決まり事みたいになってるじゃん。
先生に呼び出しとかをちょいちょい挟めば良かったか?
いやそんな事言ったら代、絶対理由聞いて付いてきそうだな。
「そっかぁ。あのさ啓?」
「何だ?」
代がグイッと更に距離を縮めて来る。
近い近い!!
あぁ、代のいい香りが・・・。
じゃ無くって!!
動揺を隠すため弁当の卵焼きを箸でつかみ、口へ・・・
「なんか僕に隠し事して無い?」
卵焼きは再び弁当箱へ帰って行った。
「なな、何だよいきなり。俺が代に隠し事なんてするわけ・・・」
「実はね、最近上級生の人達がみんな同じ下級生の男子生徒に告白して振られたって話をクラスの女の子達が話しているのを耳にして」
代がいる教室でなんて会話してんだ!!
そんなん他所でやれいぃ!!
ビッ〇共がぁ!!!
「それで、そんな訳ないよねって思ったんだけど・・・・・・まさか啓じゃ無いよね?」
代が、真っ直ぐに俺を直視する。
もう顔が目と鼻の先・・・にも関わらず、俺は蛇に睨まれた蛙状態。
どどっどどどどうしよう!!??
いやどうするもこうするも言える訳ないだろぉ!!
代に隠し事なんてしたくないけども、内容がなぁ・・・。
裂けた心が後2、3回張り裂けそうだが隠し通すしかない!!
すまん代、これもお前の為だと思う!!
「まさかぁそんな訳ないよ!やだなぁ代はぁ~!!男同士でも否定するつもりは無いけど、俺には代が居れば十分だからな!!」
「・・・・・・そっか」
代が俯く。
やり過ごしたか?
あぶねぇぇ!!
しかも勢いに任せて代が居れば十分だなんて、告白まがいな事してしまったな・・・。
代も恥ずかしがっているのだろうか、顔を上げてくれない。
こんな事言ってると自らホモだとバラしてしまう日が来ますよ。
と、ここで代がようやく顔を上げる。
「どうして相手が男だって分かるの?」
「・・・・・・えっ・・・」
「僕、上級生の人達としか言ってないのに、どうして相手が男だって分かったの啓」
しっっっっっまったぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!
余計な事までベラベラ喋りやがって俺のお口~~~!!!
おバカおバカおバカぁぁぁ!!!
やばすやばすやばすぅぅぅ!!!
「いやっ、あぁのなぁ・・・俺もさっき聞いたんだよ、女子が話しているのを・・・」
「啓?本当に?嘘じゃない?」
「うんとぉ~・・・あのぁ~、代・・さん?」
「啓?」
「・・・・・・」
俺、神様信じてるよ・・・。
嘘つくと罰が当たるんだよね?
「すみませ~~~んっっっ!!!」
座る場所をベンチから地面へランクダウンさせ、さらには土下座へと退化する。
多分見上げれば代のスカートのげふんげふん!!
反省しろ俺!!!
「ダメだよ啓!嘘ついちゃ!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「反省してる?」
「してますしてます!!反省してます!!」
代がベンチから立ち上がり、俺の傍まで来た。
代の靴が目に映る。
「なら許すよ啓!でももう嘘ついちゃダメだよ!」
「はい!約束しますぅ!」
「うん!ならもう顔上げてよ!お弁当食べよう!」
顔を上げると、代がいつものように可愛らしい笑顔を浮かべていた。
良かったぁぁぁ~、これで絶交とか言われたら俺自主謹慎するところだったんだけど。
再び二人してベンチに腰掛ける。
いざ弁当を食べようとした時、
「それじゃあ一から説明してね啓!お弁当食べながらでいいから!」
「えっ・・・代、許すって・・・」
「うん!許すよ!・・・けどやっぱり好きな人の事だし、気になるから話してほしいなぁ。」
「・・・・・・はい。」
手紙を見つけてお断りした経緯を一から説明した。
なんて地獄だ・・・。
ちなみに弁当は喉を通らなかった・・・・・・。
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