すまん、モテ期みたいなんだが 1
「好きです!付き合ってください!///」
よくある告白のシーン。
どれだけリア充な奴がその一世一代の告白を受けているのだろう・・・。
「君しか考えられないんです!新聖啓君!」
俺でした。
えぇそうですよ。
目の前にいる美少女に告白されているのはノンケの皮を被ったホモな俺です。
・・・だが勘違いするな?
なにせこの美少女は・・・
「あの先輩?本当に男なんですか?」
「うん///」
男の娘だから。
いきなりの事で混乱しているだろう?
安心してください、俺もですよ。
事の発端は朝、俺の下駄箱に手紙が入っていた。
まさかと思い人目につかない所、特に代には見られないような所で手紙を読んでみるとそのまさか・・・ラブレターだった。
今時下駄箱にラブレター・・・いいと思う。
そして昼休みに入り、代に昼食を誘われたがお手洗いに行くと言って手紙に書かれていた指定場所へと来たわけだ。
そこには若干茶色が混じったロングヘアーの女生徒が待っていた。
顔つきはかなり整っている方だ。
身長は俺と同じぐらいか、少し高いか。
身に着けている学校指定のリボンの色から2年生である事が分かった。
先輩だ・・・。
その女生徒は俺に気づいたからなのか、みるみる顔が赤くなっていく。
世間一般の男子高校生ならこれで落ちるのだろうか?
しかしながら俺はホモ・・・。
よって彼女には残念だがお断りさせていただくことになる。
「あの、いきなり呼び出してごめんね?伝えたいことがあって///」
知っている。
手紙にそれっぽく書いていたからな。
「あの、その前に言っておかないといけない事があって・・・」
「?なんですか?」
まさか本当は告白とかじゃなくて罰ゲームなの!とかか?
もしそうだとしても大丈夫ですよ、元々断るつもりですから。
・・・なんか聞きようによっては俺最低な野郎じゃないか?
「あのね!その・・・私・・」
「はい」
「お、」
「お?」
っぱい。
・・・すまん。
「男なの!」
「・・・・・・ん?」
何ですって?
今この先輩なんと?
「私こう見えても男なの!それを知ってもらった上で君に伝えたいことがあるの!」
「・・・」
と、ここで先ほどの告白に繋がるわけだ。
いや色々な事が一気に脳内を攻めてきて混乱中なんだけど。
てゆーかひと月も経たない内に男の娘に告白されすぎじゃね?
もちろん初めては代だけど。
「そそ、それで返事は?」
「いやあの、ちょっと待ってください。今、脳内整理してるんで。」
「う、うん!分かった。」
落ち着け俺。
まず目の前にいるのは男子だ。
うんもう整理できん。
普通に忘れてたわ、うちの学校の校則おかしいの。
よし、ここは仕方が無いから・・・
「すみません先輩。他にいい人を見つけてください。」
「ええぇ!?脳内整理してたんじゃ!?」
お断りしよう。
確かにだ、確かに目に前に入る先輩は可愛い。
男だと気づかなかったぐらいに。
声だって結構高いし。
しかしだ、それでも俺は受け入れるわけにはいかん。
理由はたった一つ・・・もちろん代だ。
代が告白してくれて断った俺だが、それでも代は諦めずに俺を振り向かせると言った。
そんな代を差し置いて今この先輩の告白を受け入れると思うか?
答えはNOだ。
「・・・やっぱり男だから?」
「それは違います。別に俺は同性愛を否定なんてしていません。恋愛は自由ですから。」
なんかカッコいい事言ったぞ俺。
「最近俺に告白してくれた人がいたんです。俺はその人のためを思って今みたいに断りました。」
「うん。」
「けどその人はそれでも俺を振り向かせてみせると諦めないで、今でもアプローチしています。・・・だからその人の恋の行く末を見届ける前に、先輩の告白を受け入れる事はできません。」
代の告白をすんなり受け入れていればなんて俺が一番後悔しているから、言いっこ無しだぜ。
「そっか・・・うん、分かった!ごめんね急にこんな事。」
「いいえ、俺の方こそすみません。」
ペコリと、お互い頭を下げあう。
顔を上げた先輩はどこか残念そうな顔をして、その場から立ち去って行った・・・。
「・・・俺も代を待てせているし・・・」
そう一人呟いて、俺もその場を立ち去った・・・。
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