すまん、うちの学校がヤバいんだが
皆さん知っての通り、うちの学校では代が男の娘だという事は周知されている。
初めはクラス全体、それから学年に広がり今ではこの高校に通う者であれば知らない者はいない程になった。
校長が許可を出したと言うのもおかしな話ではあるが、もうそういう事には慣れてしまうほどにはなった。
本題はここからだ。
元々は代を疑った教師の助力もあり、代だけが公認だったのだが今日の全校集会でヤバい事を話してた。
「女子生徒も男子生徒も男女制服どちらを着用しても可。」
もう頭がどうにかしてるとしか言いようが無いと思う・・・。
そんな事と言われても全校生困りまくりだ。
俺を除いては・・・。
(ホモにとってはいい心がけじゃねぇかぁ!!)
・・・なんて思ったが、よくよく考えてみたら果たして代のように女生徒の制服を着る奴がいるのだろうか?
代みたいに可愛くて女の子と間違われる程の人材が、果たしてこの高校に何人在籍しているのやら。
もちろん可愛い可愛くないで女子制服を着るなと言う訳ではないが、その制服で家から学校うを行き来するわけだ。
どう見てもゴリゴリの男がそんな格好してたら通報されるに決まってる。
仮にこの校則を学校以外が周知していても、そんな格好している奴がいたら何度見される事やら・・・。
ただでさえうちの学校は緩いって周りにも言われているのに、ここまで来たらもう言葉を失うぞ・・・。
帰り道、代がこんな事を言い出した。
「なんかうちの高校ってさ・・・緩い・・・のかな?」
見ろ、今までそんな事言わなかった代にさえ言われてるぞ。
安心しろ代。
もう緩いどころじゃ無くなった。
「それよりも、代みたいに女子制服着てくる生徒が居ると思うか?」
「う~~んどうだろう?僕は啓のためにしているから、他はどうなるかわかんないや。」
今ナチュラルにアピールしてきたな代。
そういうとこも可愛いんだよなぁ。
「そうだなぁ。まっ、明日になればわかるか!」
「そうだね!」
まぁたった1日で変わる訳でも無いけどな。
そう考えている時期が、俺にもありました・・・。
数秒くらい。
翌日、分かれ道で代とばったり出会い一緒に登校してみると・・・。
「なんっ・・・だとっ!!」
俺は朝一驚愕した。
見た限り数人の女生徒が男子用の指定ズボンを穿いているのは目にできる。
・・・だがしか驚いているのはそこじゃない。
「啓・・・なんか見慣れないね・・・」
隣にいる代も驚いているようだ。
そりゃそうだろう。
何故なら昨日の今日で男の娘になっちゃってる男子生徒が数人いたからだ。
いや正しくは男子生徒だったか・・・。
「マジかよ・・・。みんな躊躇無さすぎだろ・・・。」
「けどみんな似合ってるよね!」
「ま、まぁな」
確かに代の言う通り、見たところ辛うじての面影を残してはいるがほとんど女子だ。
性転換に完全に成功している。
メイクまでしてるし・・・。
絶対普段からしてたろ?
完璧すぎるだろ・・・。
「みんな可愛いね!僕ももっと頑張らなくちゃ!」
何をだ?
お前はもう既に可愛さを極めて頂点だろう?
それ以上に可愛くなったら俺は消し炭なんだけど・・・。
後、今更だけど頑張るってこういう時に使っていいのか?
普通の男子高校生は男の娘みて、俺も頑張ろう!!
・・・とか言わないよな?
あっ、うちの高校普通じゃ無かったわ、ははは・・・。
「でもあれだね。上級生の人が多いね」
「確かにそうだな・・・。ストレスでも溜まってたんじゃないか?」
多分・・・。
それから教室に向かったがそういった男子生徒はおらず、数人の女子生徒が男子指定のズボンを穿いているくらいだった。
どうやら1年には代だけらしい。
ほとんどが2、3年の先輩方っぽいな。
・・・俺らが進級して2年になった時、後から入学してくる1年はこの光景をどう見るのだろうか?
ていうか入学者いるのか?
そんな事を考えつつも、どこか嬉しさを隠せない俺だった・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます