第28話 刈谷一族との会談


 刈谷グループを経営する刈谷宗次郎の令嬢を助け出し、彼女が退院してから1週間後、ハーネイトと伯爵、リリーに大和、高校生3人の計7名は刈谷亜里沙とその父と話をするために彼女の指定した場所まで来ていたのであった。


「みんな、集まったね」


「はい、ハーネイト先生」


「こっちもいつでも行けますよ」


「ここが、例の屋敷だな」


「ああ、そうだ。ああ、そこに使用人が見えるな。おーい、鬼塚だ、例の客を連れてきたぞ」


 鬼塚が先に動き屋敷の門をくぐり、その先にある屋敷の玄関で待っていた使用人と話を幾つかする。それから彼の合図でハーネイトたちも敷地に足を踏み入れて屋敷の中に入る。


 大和についていくと1人のメイドが廊下の先に待機しており彼女に案内が変わる。邸内を少し歩き、階段を上ると2階の格式高い、豪勢かつ広い部屋に彼らに案内した。


「どうぞ、こちらにおかけになってください。すぐに亜里沙様をお呼びいたします」


そう言い、メイドは彼女らを呼びに部屋を出た。それから数分後、黒いドレスを纏った刈谷亜里沙がメイドとともに部屋を訪れ、中に入るとハーネイトらの前に立った。


「先日は、私を助けてくださいましてありがとうございました」


「まあ、それはいいのですが。それよりも体のほうは」


「ええ、もう問題はありませんよ」


「ならいいのだが。フッ、その服装だと全く違った印象を見せてくれる」


「そうですか?これはお気に入りの服です」


「良く似合っているなと、あ、いえ……」


 彼女は一礼してから軽く話をした。見たところ特に健康状態に問題はなさそうだ、そう感じたハーネイトたちは全員ほっとしていた。


「それで、早速ですが私から先に1つ、2人に聞きたいことがございます」


「何でしょうか、お嬢さん」


「貴方たちは、一体何者なのですか?」


「……いきなり、そういった質問が来るとはな」


 いきなりの質問に、ハーネイトも伯爵もあまりいい顔をしていなかった。更に、ややけんか腰になった伯爵は手を動かしながら少し威圧する。


 それに対してハーネイトは終始表情を崩さずにいたが、この亜里沙と言う少女の対応次第では自分たちも行動を変えなければならないと少し焦っていた。


「いきなりけったいな、俺らのことが、そんなに怪しいっていうんかい?」


「ええ、思いっきり。だってあなた方、戦い方がとても人離れしているものの。一人は体が悪魔になってあの騎士を貫いたり、ダークヒーローみたいな姿に変わったりと。そもう一人は、体が霧状と化して無数の悪霊を屠った。とても、私たち人間があのような方法で戦うのは無理難題にもほどがありますので」


「あの状況で、私たちの戦いを見ていた、のか?……確かに、この世界の住民からしたらあり得ないといったほうが確かだな。迂闊だった」

 

 亜里沙は捕らえられている間に、工場に空いた穴から彼らの戦いぶりをしっかりとその目に焼き付けていた。


 その中で、とてもあり得ない光景を目の当たりにした感想を彼らにそう告げたのであった。


 また伯爵に関しても、以前遠くから見た戦いを目撃し、とても人間ではできないようなことをしていた彼を彼女はかなり警戒していた。


「だがよ、もし正体を知ったとして、そのあとはどうするんだ?ことによっては、こちらも対応とるしかねえぜ、お嬢さんよう」


「そのことでしたら、こちらも情報屋がおりますのでご心配なく。しかし私を、いや、行方不明にあった皆さんも含め助け出してくれた以上、お礼というのもなんですが貴方たちの支援を行っていきたいと考えています」


 亜里沙は一礼し、先ほどの言動について謝罪したうえで改めて、できることを協力したいと3人に対し申し出たのであった。


 ハーネイトも伯爵も、これはいつも以上に気合を入れて、普段より慎重に対応しようとすると、彼女はある話を切り出してきたのであった。


「私達は裏で退魔師として長い歴史を刻んできました。その中で今から9年ほど前に起きた矢多神村の事件、そしてその被害者である鬼塚と接点を持ち、協力関係に至ったのです」


「ほう……なあ鬼塚さん、なぜそのことを私たちに言わなかった」


 ハーネイトはそのことについて珍しく声のトーンを低くして鬼塚に質問した。もしかすると鬼塚は約束を破って情報を漏らした疑いがある。そう考えた彼はいつも以上に怖い顔をしていた。


「それについては、申し訳ないとしか言えない。なかなか話を切り出せなくてな……だが、拠点を探しているという以上、ある程度先方に情報を渡さないと話が進まなかった。しかし連絡が遅れたのは申し訳ない」


「そう言われると、うーん。こちらの弱みを握っている感じがしてあれですね」


「仕方ねえ相棒、お前は特にこの世界について知らねえことも多いしな。しかしまじかよ、そりゃすげえな。んで、あの事件のことも、お前ら知っているんだろう?」


「はい、その通りです伯爵様。あれは、とても悲惨な事件でした」


 大和は謝った後、小声でまだ2人がとんでもない存在で、別世界から来たことはほとんど教えていないことも話しハーネイトの怒りを鎮めようとした。それはハーネイトも亜里沙の反応を見て分かっていたためそれ以上は言わず話を続けたのであった。


 亜里沙はまだ自身が幼いころに起きた、一族の存亡にも関わる事件のことを思い出していた。そう、今でも後悔していることを。あの時強引にでも駆けつければ、まだ犠牲者は少なかったはずだ。そう考えながら彼女は話を切り出す。


「皆様がその事件の被害者であることも聞いております。そして、私たちは謝らないといけません」


「どういうことだ、亜里沙さん」


「私たちも救援のため、村に行く予定でした。しかし行政による封鎖と敵の妨害で村にたどり着けず、結果として多くの人が犠牲となりました。あの時、封鎖を破ってでも駆けつけていれば、まだ助けられた命もあるでしょう。私は、私たちは悔しいのです」


「その現象が今再び、世界各地で少しづつ起こり始めておるのだよ。ただでさえあの血の海の件でこちらはてんてこ舞いなのにな」


 亜里沙が悲しそうに話していると、部屋の奥にあるドアの戸が開き、そこから一人の男が現れた。彼は窓際にある立派な革の椅子に座ると、ハーネイトたちと目線を合わせ話を続けたのであった。


「初めまして皆さん、わざわざお越し下さるとは有り難い。儂の名前は刈谷宗次郎と申す。以後よろしく頼みますぞ」


「おい、それってよ、あの事件と同じことがまた起ころうとしているってことだよな」


 翼は表情を変えて亜里沙たちに質問をする。母をその事件で失った翼は、あれ以上同じことが起きてほしくないと切に願っていた。


「そうなりかねない、だろうね」


「……この事態を見逃せば、のちに取り返しのつかないことになる。この世界の話だけではない、ほかの世界にも影響を及ぼしかねない話だ」


「それは、どういうことですかな、お2人さん」


 ハーネイトと伯爵はそれぞれ、世界の成り立ちとバランス、そして今起きている脅威について簡潔に話をした。それを聞いた彼は神妙な顔をしていた。特にいきなり神隠しに遭遇したかのように人が行方不明になる異界化現象と、彼らが追っている血徒という存在についての話を宗次郎は強く関心を持って聞いていた。


「信じがたい話だ。しかし、そうだとしたら恐ろしい話だ」


「世界の運命が、ほかの世界によって握られているのは、怖いですね」


「だからこそ、私たちが責任をもってバランスを保つため、こうして毎日戦っているわけです。見えないけれど、確かにそこに在る。そういう存在によって世界は知らぬ間に危機に至るわけです」


 2人の事情を聴いた亜里沙の父は複雑そうな表情を見せていた。世界を守るため、人知れず戦う存在がいるのだなと思いそして、2人の存在自体が脅威ではないのかとも思っていた。けれども彼らの眼差しに嘘の色は見られなかった。若いが、確固たる信念を持ち動いている男の目だ、そう宗次郎は判断した。


「……お主らも、非常に苦労しておるな。何か困っていることはあるか?ここにきてまだ日が浅いというじゃないか」


「……そうですね。強いて言えば、大きな拠点が欲しいところです。今までの怪事件に関する資料も、欲しいのですが」


「ほう、ではまず拠点とは、どういうものがよいのだ?」


 彼の質問に対し、今思っていることを率直に話すハーネイト。その内容をすべて聞いた上で亜里沙の父はある提案を出した。


「ふうむ、仲間を増やし、指導するための施設か。それに探偵活動も行えるところか。おお、そういや……今度わしの会社が新たな事業でホテル産業に参入することになったわけだが……」


 それは、ある巨大ホテルのオーナーとして表向きは働き、そこの地下施設で拠点を作り活動するのはどうかということであった。


 すでに建設はかなり進んでいたが、幸い地下の設計に関して幾つも倉庫の部屋を作っていたため、それを流用すればよいだろうと彼は考えていた。


「それで、私たちにそこで働けというわけですか?」


「直接働けというわけではない。あくまで貴方達は探偵活動の一環で、ホテル内外でのトラブルもついでに解決していただけると私たちは頼もしいのですがね」


 なぜ宗次郎はそう提案したのか、それは人の流れが大きい施設でなら、仕事をしつつ必要な情報を得やすいのではないかという考えであった。


「ホテルと本当に縁があるな相棒」


「そうだね……少し考えてもよろしいでしょうか」


 いきなりの提案に、伯爵とハーネイトはそっと目を合わせる。悪くはないが、しかし問題はないのだろうか、いっそのことフォーミッド界から古代兵器である飛行型の移動要塞とMFイタカを召喚した方が迷惑にならないのではないかも考えるため、一旦猶予が欲しいと申し出た。


「それは構わないが、良い返事を期待している」


「悪い話ではないと思いますわ」


「相棒、どうするんだ?」


「私はハーネイトに任せるけど」


 悩ましげな表情を見せるハーネイトを見た伯爵とリリーは、判断をリーダーである彼に委ねるといい机に置いてあったお菓子を手に取り食べていた。


「……そうですね。とりあえずどのようなホテルか、詳細を見せてほしいです。大きな地下室とかあればなおよいのだが」


 ハーネイトはホテルの見取り図を確認したいといい、亜里沙の父は使用人にそれを持ってこさせ、すぐにそれを受け取り彼の前で広げたのであった。


「わあ、すっごく大きいホテルね。地下もこんなにあるなんて。駐車場とここが、ふむふむ。ここが事務所とか面白そうね。地下なら目立ちにくいわ」


「しかし、地下は別に何か使うみたいにこの見取り図は見えるが……いいのですか?宗次郎さん」


「ああ、それなら幸い、地下に大きなホールや部屋がいくつもあるから、それを使えばよいだろう。元々地下については非常時の際に使用する設計で作られているから心配しないでいいぞ。それと契約内容についてこれに目を通して頂けるかな?」


 ハーネイトたちはそのホテルの内面構造を見て、確かに悪くないとは感じていた。思ったよりも堅牢かつ、部屋の配置やレストラン、娯楽室などへの行き来のしやすさなどが彼にとって興味を抱かせる。


 今まで伊達にホテルの経営に関わってきたわけではないこの男にとっても、世界が違えばこうもレイアウトが変わる。勉強になるなと思いつつ、言葉にするにはまだ足りないが違和感があるのも事実であった。


「……悪くはないが」


「どうかなされましたかね」


「あまり迷惑がかかるようなことはしたくない、ですね。ここまで援助して頂けるのはありがたいのですが、いいのですか?」


 本来なら、自身の仕事は極力人に知られず少人数で事態に対処しなければならない。あまりコネクションを増やすと何かあった時に面倒ごとになり、また問題も多発するだろうと考え慎重にならざるを得ないと彼は考えていた。


 一方の伯爵は相当能天気に、やりゃいいじゃねえかと楽観的なものの見方をしていた。このハーネイトという男は心配性な一面があるため、決断に際したまに慎重すぎるところがある。


 ハーネイトと伯爵の性格は真逆であり、それがうまくかみ合い唯一無二のタッグであるとも言える。


「確かにそれもそうだが、近いうちにまた事件が起きるかもしれん。その時にある程度様々な方面に顔が利くと、それはそれで活動しやすいとは思うのだがね。それに、人は支えあって生きる生物だ。迷惑をかけたっていい、その分いいことで返せば相殺できるじゃろ?」


「まあまあ父さん、彼らも只者ではありません。であるがゆえに、慎重に動くのでしょう。下手に刺激してはいけないかと。彼らは、今起きている事件を容易く解決できる力の持ち主。詳細が不明な点はありますが、彼らに力を貸すことで早く事件を解決できると私は思いますお父様」


 亜里沙は宗次郎にひそひそとそう伝え、この勇敢な戦士たちがたとえ人でなかろうと、とても協力的である以上うまく付き合っていきましょうと自身の考えを改めて述べたのであった。


「まあ、その通りだよ。私たちが本気を出せば世界なんて幾らでも変えられてしまうだろう。あれの血を引いている以上は、指先1つで何とでもできる力は一応あります。今ある世界を愛しているから、その様な事は決してしませんが」


「へっ、だけどな、俺たちゃそれを望まねえ。今あるこの世界が好きだし、相棒もそれが好きだから、だから守る。そんだけよ」


 亜里沙たちの言葉に同感できる面もあったが、それでも利用されている感が否めないのは事実であった。しかし今の事務所では本格的な指導もままならない。提案は魅力的でもあった。


 それに、ハーネイトは宗次郎の言葉を聞いて少し嬉しそうにはにかんでいた。


 自分の思想とどこか似ており、あれだけ異形な姿を娘から聞いても物怖じせず一人の人間として見ている点に興味を抱いたからであった。それと、2人の世界を守るという思いは亜里沙とその父を感嘆させる。


「2人とも、凄いですわね。そのような力がありながら、なお誰かのために捧げる。……もし拠点のほうが気に入らなくても、私たちも同じ敵、脅威に対抗するもの。協力関係だけは望みたいです」


「……幾つか約束してほしいことがあります」


「なんでしょうか」


 ハーネイトは表情をキリっとさせて、眼光を鋭く光らせる。そしていくつか協力をお願いしたいためにある約束をしてもらおうと考えていた。


「私たちは、見えないけど確かにいるものを相手に戦い、世界を守っています。そのため一般人、いや、霊を感知する能力が低い人にとっては何が起きているかすら分からない事件、不可解な事件がこの先幾つも発生すると私は見ています」


 ハーネイトと伯爵はまず、自身らがどういう存在と戦い世界の安定を保っているのかを説明する。そしてそれと関係して起こりうる問題について話をする。


「そこで、それとの戦闘で生じた際のある程度のつじつま合わせをしてほしい。情報操作、というとあれですが、こちらも極力活動を見られないように動きますので。それとまだこの世界に来て日が浅く、勉強不足な面が否めないため何か良い資料とか用意してくださると有難いのですが」


「それならお安い御用だ。しかし一つ気になるのう」


「何ですか?」


「いや、この国の言葉がとても上手ですなと思ってな。まるで違和感のない話し方だから気になってのう」


 そしてさらに、この世界を学ぶ上でよい資料がないかどうか、あれば用意していただきたいと彼は要望を告げた。それに関してはすぐに用意できると亜里沙の父は告げたが、どうしても会った時から気になっていたことを口に出し彼らに質問をした。


「それは、私たちの世界にも地球や、そのほかの世界から多くの人や物が転移してきています。その中で転移人が国や文化を作り、その影響で私も異世界の言葉を幾つか話すことができるというわけです。ああ、伯爵はそれとは次元が違いますが」


「そういうことか、ううむ。ならば普通にこの国の言葉で書いている資料を渡そう。なに、言葉が通じなければ渡しても無駄だからのう」


「それもそうですね。……今回の件、是非よろしくお願いします」


 少しだけ自身らに関する情報を伝えたハーネイト。確かに鬼塚の言うとおり、話を円滑に進めるために多少の犠牲は必要だと改めて考え、自身らが別の世界から来たというのを遠回しに説明した。


 それを聞いて一応理由があり、話すのも書くのも堪能なわけだと納得した宗次郎は、ふむふむと頷いていた。その間にハーネイトは決心し、刈谷家との契約を履行することを決めたのであった。


「それはありがたい。こちらもそういう連中が絡む事件と立ち向かってきたが、どうしようもないことがある。それに君たちがホテルで働いてくれれば互いに良い結果を生むはずだ」


「……そうですね。情報を集めるにも悪くはないですし、ホテル専属の探偵、表向きとしてもそれなりにいいですね」


 ハーネイトは結局、彼らと協力関係を結ぶことを決めた。それは少しでもこの世界での能力者を増やし今後予想される戦域の拡大に備え準備を行うためにも、サポートをしてくれる存在は必要不可欠だと判断したためであった。


 他のヴィダールと刃を交えるその時まで、彼らには少し仕事を任せたい。方針は完全に固まっていた。


「だが、ホテルはあと2,3週間は完成まで時間がかかる。元は別の会社が経営していたものを買い取って魔改造しているものでのう、改築工事までやっておるものだからな。少し待っていてくれるかの?」


「そうですか、その間にこちらも準備をしておきましょう」


「ああ、父様。この屋敷にも1つ空きの部屋がありましたよね?」


 ホテルの準備がまだ時間がかかることを亜里沙はハーネイトたちに告げたうえで、いざという時はこの屋敷の空き部屋を使ってもいいと言いたく、父に確認を取る。


「ああ、あの部屋か。それを彼らに使わせてほしいだと?」


「はい、お父様」


「別に構わんが、お主らはどうじゃ」


「いざという時は、お世話になります」


「分かった。使用人に掃除をさせておくとするかね。今日はわざわざ時間を取ってここまで出向いて

くれたことに感謝するぞ」


「いえいえ、こちらこそですよ。では、今後もよろしくお願いしますね」


 そうして話し合いは互いに益のある方向でどうにかまとまり、しばらく雑談を交えながら話をし食事会を開くことになった。


 1階の大部屋に案内されたハーネイトたちは、机の上に並べられた料理の数々に目を奪われながら、しばらくの間食事を堪能していた。


「もう確定でいいんですよね先生」


「そうだな響。一度こう面倒を見ると決めた以上は、どうやっても成し遂げるまでだ」


「先生!この料理食べてみませんか?」


「見たことがないものだが……お、おいしい」


「好きなだけ食べていいとか嬉しいな響」


「腹も身の内だぞ翼、しかし先生はお酒がダメとか意外だな」


 響は皿に持ったサラダを食べながら、ハーネイトに対しそう確認する。彼の言葉を聞き、自分たちの努力次第で結果が変わるのだから鍛錬をしっかり行っていこうと思い、彩音や翼と話をしながら食事を楽しんでいた。


 その中で、ハーネイトが酒類全般を苦手としていることや、高級食材や珍味などの味を理解することができないことなどを知り、またも意外な一面があるなと3人は思っていたのであった。


「匂いがどうしてもね。あまり匂いの強いものは、苦手かな。嗅覚や聴覚も改造されているのでね」


「何だか日常生活で不便な感じですね」


「ある程度調節はできるさ。さあ、折角提供して頂いたわけだ。楽しもうではないか」


「そうですわハーネイト様。どうぞごゆっくり食事を楽しんでくださいませ」


 その後、陽が落ちる少し前にハーネイトたちは宗次郎と亜里沙に対し挨拶をしてから屋敷を後にしたのであった。

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