音山美桜
二年生の教室はこの学校の最上階である3階にあり、俺の教室二年一組は一番端っこでこの学校で一番靴箱から遠い教室となっている。
いやまじで遠い、冗談抜きで誰かと話しながら行くと5分くらいかかる。
まあただ、俺はいつも一人で通っているので3分くらいで着くのだが。
今日は音山と一緒なので5分、いや7分ぐらいかかりそうだ。
* * * * * *
音山から一緒に教室に行こうと言われた俺は特に断る理由もない、というか断る理由が思いつかなかったので一緒に行くことにした。
隣を歩く音山をみると、なんだかもじもじした様子で頬を赤らめていて俺の肩くらいまでしかない身長とも相まってなんだか小動物みたいだ。
そんな風に思っていると、音山は恐る恐るという感じでそーっとこちらの方に目をやるが偶然にも俺と目があってしまう。
それを見た音山は慌てた様子で思いっきり目を逸らす。
今度は耳まで赤くなっている。
なんか、こうも思いっきり目を逸らされると若干傷つくな。
別に嫌われてるわけじゃないと思うけど。
そう、音山は昨日俺に告白をしてきた。
好きと言われている。だから嫌われてないという確かな根拠があった。
まあ、俺が告白を断ったから逆恨み的な感じで嫌いになるという可能性がなくはないが、見た感じそんなことはなさそうなので良かった。
とまあ、そんなふうに俺は音山をみていると今度は目を逸らすこともなく音山は俺と目を合わせて俺に言った。
「え、えっと、今日はいい天気だね!」
「天気?まあ、今日はいい天気だな」
「ちがーう!私なに聞いちゃってんの!今日はいい天気ですねってお見合いでも言わないわよそんなの!もう、ダメ。天谷くんの顔見るだけで恥ずかしくなって頭真っ白になっちゃうよー」
なんかぶつぶつ言ってるけどなんて言ってるのか全く聞こえん。
なんか困ってそうだし、こっちから話題振った方が良さそうだな。
でも話題ってなにを話せばいいんだ?音山の趣味とか好きなものとか知らないし、これで話が全く合わなかったらめちゃくちゃ気まづいな。
よし、ここは無言で乗り切ろう。
それから俺と音山は一言も会話することなく教室へと着いた。
教室へ着くと音山は一つ申し訳なさそうに俺に言った。
「つ、着いたね教室」
「着いたな」
「そ、それじゃあ私準備があるから」
なんかちょっと冷静っぽく振る舞っているが音山の顔は耳まで真っ赤だ。
音山美桜……か。
なんかこの子とは他の人とは違った、もっと深い関係になれる気がする。
なにか根拠や理由があるわけでもないがそう俺は感じた。
まあ、それがどんな関係かは俺にも分からないが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます