第11話 だから

わたしの声は音になれません


羽化できないまま枯れてしまった言葉が

今日も喉の辺りで力尽き

妖精のように舞う胞子が

息をする度

気管を傷つけるため

死んでしまいたいと思うのは

あまりに自然です


苦しさの中身にはいつも名前が無い


前提をジェンガのように一つずつ崩す


だから、


だから探さないで下さい

優しいものに触れると

息ができない


そのくらい、もろい、哀しい、わたし

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