第2話 朝焼け
目覚めた瞬間に僕の輪郭は形作られて
この身体に新しい朝が染み渡るまで
世界は決して僕に触れられない
この時間を永遠と呼べばいい
これ以上何も知らなくていい
これ以上弱さを知りたくないんだ
夜の延長を何となく転がり始めた始発は
次第に濃くなる朝焼けを
切り裂くほどに
スピードを増して
それは時間が今を編み上げる速さを
通り越してしまうから
僕は朝が美しいと思った
人生の意味を頻りに知りたがる季節
近いようで遠い心
冷たい空気に蔓延る寂寞
引き攣る頬
濁っていく皮膚感覚が
偽悪的な僕を囃し立てるから
僕は他人の中にすら
居場所を探してしまう
それでも依然
瞳の中で燃え続ける
朝焼け
心臓の鼓動が追いつく前に
僕は消えてしまいたい
腐りきった都会の空気を
この肺でちゃんと燃やしたい
全て台無しにしてしまうような僕の本能も
両手の指先まで感覚を尖らせて
全て頬張りたい
幽霊の様に透き通る意識が
真っ赤な朝日で全部燃えて
それが生きている感覚だとすれば
毎日訳もわからず
朝を疾走する
空っぽなこの僕もまた
この朝焼けの一部
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