10.15.悪かった


 話も一段落付いたところで、ここに来ているであろう皆と合流したいところだな。

 ラックのこともあるし、あとで様子を見に行っておこう。

 あ、その許可を取っておくか。


「すまんアスレ。実は今日、飛竜に乗ってこっちに来たんだ。騎竜二匹とバトルホースも一緒に」

「飛竜に騎竜……さらにバトルホースですか。よく手懐けましたね」

「ああ、バトルホースは……あのー……俺がここから旅立つ時に貰った馬なんだよね!!」

「「なん!!?」」


 そりゃそういう反応になりますよねー!!

 知ってましたよ!

 でもわざとじゃないんですって!!

 いや……確かに長らく放置しちゃったけども!!


 ま、まぁそいつらを置いても問題がない場所を紹介して欲しいんだが……。

 どうっすかねぇ……。


「ま、まぁそれくらいであればこちらで何とかしますよ。しかし……あの馬が……」

「なんで魔物の肉を食ったのかは、俺は分からないけどな……」

「極限の飢餓状態じゃないと食べないと思うしね……。サレッタナ王国でそんなことはないと思うし……そもそも魔物の肉がその辺に落ちていると思えない。誰かがあげるなんてまずないだろうからね」

「そうなのか?」

「魔物を自分から作りにいく人なんていないと思うけど」

「確かに……」


 この話は置いておくか。

 真相は闇の中ということで……。


「あ、そうだ鳳炎。宿とっておかないとな」

「そうだった」

「こちらで用意いたしますよ?」

「いやいや、そこまで世話になる訳には……」

「あー……こほん。では応錬さん、一つ質問します」

「え、なんだなんだ」


 アスレがこういう感じで何か聞いてくるのは珍しいな……。


「霊帝というパーティーはこちらでも名が通っております……。さらに鳳炎さんもいるということでさぞ人気です。そんな方が一つの宿に泊まったら休むどころの話ではなくなりますが」

「お言葉に甘えさせていただこう!!」


 睡眠は大事!!

 一ヵ月も寝込んだ俺が言うんだから間違いない!!


 鳳炎の方を向いてみるが、どうやら同じ意見だったらしいので今回はアスレに甘えよう。

 まぁ今から宿を取りに行くのも面倒だしな。

 ていうか他の皆はどうしてるんだろう?


「他の皆さんもこちらで部屋を準備させていただいております。すぐにお話ができた方がいいと思いますので」

「確かにそっちの方がいいか。皆は今どこに居るんだ?」

「魔物を狩りに向かっております。夜には戻られるでしょう。ですがテキルという子供は部屋に残っていたはずですよ」

「テキル……テキル?」

「零漸が連れてきたうちの一人である。魔道具制作に特化した技能を持っているぞ」

「あー……で、結局どうなんだ? 馴染めているのか?」

「零漸のお陰でな」

「じゃあいいか」


 あいつが助けた奴を、そう簡単に追い出したりはできないからなぁー。

 なんか俺が仲間にするか最終決定を出すみたいな話だったけど、俺じゃなくてもいいじゃん。

 問題ないって分かったんなら、声復活を阻止する仲間として一緒に行動すればいい。

 まぁ……どんな人柄なのかマジで知らねぇけどな!


 さ、一ヵ月寝込んだ俺も何か仕事をしないとな!

 挽回しないと鳳炎に怒られそうだし……。

 でも俺にできることって、今の状況だと限られるんだよねー……。

 魔物を狩るのが意味ないって分かったし、できることといえば魔力……。


「ああ、俺そういえば魔力が三十万になったんだった」

「「「はっ?」」」

「俺だけでもできちゃったりなんかして」


 ……え、あ、あの……ごめんすごく怖いから何か喋っていただけます?

 いや鳳炎そんな睨まんといて……。

 バルトに至っては好奇の目だね?

 アスレも驚いてるのか知らないけどそんな顔初めて見たよ?


「……なんか……まずかった……?」

「「「軽々しく口にして良いことではない」です」ぞ」

「すいません……」


 あれ、なんかこの感じ久しぶり……。

 そもそもなんでこんなバカみたいな数値になっているのかが分からないんですけども。

 龍ってすごいね!

 それだけは分かったよ!!


 でも多分これが最終進化先なんだろうな。

 長かった~。

 実際に龍の姿も拝むことはできたし、これぞまさしく龍人! 

 そういう種族に分類されてもいいかもね!

 ……俺一人だけだろうけど……。


「ええと、コホン……。では取り急ぎ今やってもらっている作業を中断し、魔力放出の方に切り替えましょう」

「そうだね。でも今晩までに帰ってくるであろう冒険者の持ってくる魔物、どうやって処理しようかなぁ……。とりあえずギルドに連絡しないとね」

「魔力放出の方法はどうされるのですか?」

「とりあえず兵士を集めて空に魔法を放ってもらおうかと思っています。これくらいであれば国民に頼らずともできますしね。もしかしたら応錬さんにも頼むかもしれません。それだけの魔力があるのであれば、ご助力をお願いしたい」

「お、任せとけ! 最近良いところなくてな!」

「応錬の場合は気張りすぎないでね」

「わ、分かってる!」


 暴発したら意味ないもんな。

 その辺は気をつけておくとしよう……。


 そうなると今日は一日フリーかな。

 まぁ皆が帰ってくるまで待つとしますかねぇ~。

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