第十章 復活阻止

10.1.とんでもない目覚め


 ……いやなんか凄い体痛いが??

 なんだこれどうなってんだ。

 でもまだ眠い~、痛みより眠気が勝つってどういうことなんでしょうかねぇー……。


 ……うん、痛い。

 普通にお腹周り痛いんだけどどうなってんのこれ。

 あれ、でも目が開けられないんですけど。

 瞼重いな?

 そこまで俺の体は睡眠を欲していたというのか。


 いや、しっかり休養していましたよ?

 普通に皆と一緒に寝てたしね。

 見張りとかで少ししか寝られない時はあったけど、なんかそれも慣れちゃったよなぁ~。


 ていうか俺今何してたんだっけ?

 えーと、えーーーーっと。

 あ!! そうだ零漸助けてそれで寝ちまったんだった!

 声の話もあんまり詳しく聞けてない!

 ていうか話聞いた時眠すぎて若干忘れている!!

 こりゃあ参ったぞ!


 いや早く起きろよ俺!!

 ここまで意識覚醒してんだから起きやがれってんだ!!

 にっしてもマジで体痛いな!!

 おらどうなっとんじゃい!

 瞼開け!!


『…………え?』


 瞼を開けると、そこは巨大な街の中だった。

 ずいぶんと長い間寝てしまっていたらしい。

 バルパン王国からサレッタナ王国まで、大体五日だったもんな。


 ……いや待って??

 ごめん本当に待って?

 なんで俺視線めちゃくちゃ高いん????


 ぐいーと体を持ち上げる。

 視線は高層ビルほどの高さまで上がり、下にいた国民らしき人物を見下ろすことができた。

 この状況、マジで嘘だと言ってほしい。


『なんっで魔物の姿に戻っとんじゃあああああああああああああ!!!?』

「「「「ぎゃあああああああ!!!!」」」」


 は!? え、は!!?

 ちょっと待ってどうなってんだ!?

 ああ!? おいおい俺今、宿思いっきり踏みつぶしとる!!

 なんか背中に瓦礫も乗っかってるんだけどこれ中にいた人大丈夫か!!?


 おいおいおいおい冒険者めっちゃ武器こっちに向けとる!!

 いやそりゃそうだよねこんなのがいきなり現れたらそうなりますよねぇ!!

 ていうか俺また喋れないのかよ!!

 ふざけやがってぇ!!


 いや完全な龍です有難う御座いました!!

 ……あれ?

 青龍と姿ちょっと違うくない……?


 軽く姿を確認してみると、変わっている箇所が多くあった。

 まずは角。

 青龍の時は額に三つに分かれた角が生えていたのだが、今はそれが眉間から後ろに向かって伸びている。

 今は目の少し後ろから二つの角が生えているのか。

 ……それも三つに分かれており、先端にいくほど鋭くなっていた。


 手を見てみれば恐ろしく鋭利な爪が生えており、何でも切り裂けてしまいそうだ。

 手は大きいが腕は細長い。

 しかし肩は大きく体に似合ったバランスでがっしりしていた。


 首周りには蒼白の毛がライオンの鬣ように生え揃っており、それが非常に長い。

 まるで老齢の龍のようだ。

 背にも同じような蒼白の毛が生えており、それが尻尾までつながっていた。


 ギョロリとした黄色い目玉は綺麗だが、やはり瞳は蛇に近い。

 睨まれたら失神するのではないだろうか。

 体全体は龍にしては細身だ。

 顔は細長く、鋭い牙が並んでいる。


 ちょっと待つんだ。

 この変容の仕方には覚えがあるぞ。

 ステータス……。


===============

 名前:応錬(おうれん)

 種族:応龍


 LⅤ :──

 HP :20000/20000

 MP :300000/300000

 攻撃力:38000

 防御力:4300

 魔法力:152000

 俊敏 :2000


 ―特殊技能―

 『希少種の恩恵』『過去の言葉』

 ―技能―

 攻撃:『剛牙顎』『狂酸毒牙』『連水糸槍』『多連水槍』『鋭水流剣』『波拳』『天割』

 魔法:『操り霞』『無限水操』『泥人』『破壊破岩流』『空気圧縮』『水弾(斬)』『水弾ガントレット』『水龍』『雷龍』『火龍』『土龍』『風龍』『天災』

 防御:『水結界』『水盾』『泥鎧』『空圧結界』

 回復:『大治癒』『広域治癒』『殺吸収』『回復水』

 罠術:『水捕縛』『偽装沼』

 特異:『発光』『土地精霊』『清め浄化』『咆哮』

 自動:『悪天硬』『水泳』『暗殺者』『防御貫通』

 奥義:『応龍の決定』

 ―耐性―

 『眩み』『強酸』『爆破』『腐敗』『視界不良』『盲目』『毒』『気移り』『耐寒』『呪い』『汚染』『感染』『病魔』『腐敗』『不浄』

===============


 はあああああああああいっ!!

 ありがとうございましたなんか知らないけど無事に進化して御座いますコンチキショウガアアアアア!!


 ああーああー!

 とりあえずバカみたいな数値の能力値と知らない四つの技能は置いておきましてー!

 レベルが消えてるのもまぁ置いておきましてー!?

 いやていうか増えた技能少ねぇなくそ。

 んじゃなくてどうっすんだよこの状況よおおおおおお!!


 多分今俺が何か喋っても伝わらないだろうし、かといって今人間の姿になるのはやばい。

 え、ていうか俺何時からこの姿で寝てたわけ?

 うん、ヤバくない?

 どうするのよこの武器構えた冒険者たち。


 でもこの感じ……どうなんだ?

 なんか急に龍が現れたからとりあえず武器構えて牽制しています感がぬぐえない。

 もしかして進化したのってついさっき?

 いやそうだとしても今のこの状況はやばいよなぁ??


 きゅ、急に動いたからびっくりしてんのかな。

 んじゃちょっと頭をゆーっくり下げまして……。


「ッ!!?」

「……」


 んーーーー、めっちゃ怯えていらっしゃいますー。

 これまた急に動くとかヤバいよな絶対。

 混乱とかそういうレベルじゃ収まらないぞ。

 ちょっと活路が見えるまで大人しくしておこうかしら。


 ていうかこれあれか?

 天の声が本当の敵だってことが分かったから、あいつが最後に何かしら俺たちが不利になるようにこんなことしやがったのか?

 てなると零漸や鳳炎、あとリゼはどうなってる!?

 なんか悪い方向にしか進んでない気がするんですけどー。


「お、おい……。こいつ動いたぞ……! 数日間動かなかったのに……!」

「し、しし、知らないわよそんなこと! 生きてたのはし、知ってたけど……!」


 え、俺そんなに長いこと寝てたの?

 寝坊助も大概にしてくれぇ……。


 ……ていうか俺、浮けるんかな?

 龍と言えば羽もなしに空を飛び回るからね!

 逆に俺このまま蛇状態でしか移動できないとなったら流石にショックでまた寝込んじゃいそうなんですけど。


 ちょっとだけ浮いてみるか。

 ああ、浮けたわ。

 まぁ確かめたしそーっと地面に……。

 ドシンッ!!


 国民が盛大にびっくりして数歩後ずさる。

 ごめんなさい確かめたかっただけなんです……。


「!!? ぜ、全員下がるのだ!! 冒険者は避難誘導! 刺激はするなゆっくり下がれ!!」


 買い物袋を投げ捨てた鳳炎が、俺の姿を見て駆けつけてきた。

 冒険者に指示を飛ばし、その場を何とか収めようとしている。


 たた、助かったー!!

 って鳳炎さん。

 物凄く……怒っていらっしゃいますわねぇごめんなさいねぇ不可抗力なんですうううううう!!!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る