7.40.浅いが強い
ダンジョン攻略中、俺は気になってこのダンジョンの構造を一足先に操り霞で確認してみた。
すると、ここは二階層までしかない短いダンジョンのようだ。
だがしかし、敵が厄介なことこの上ない。
狭い通路に出てきたレッドボアに続き、アシッドスライムにくそ硬いゴーレム。
酸を飛ばしてくる敵はこの場所では卑怯でしょうが!
それにあのゴーレム死んだと同時に土くれになりやがった!
食べれなかったじゃないかぁ!!
勿論アシッドスライムも食べれませんでした。
体の中が溶ける。
マジで死ぬかと思ったわ……。
おかしいなぁ、俺強酸耐性持っているはずなんだけど……。
これ、自ら摂取したりすると普通にダメージを受けるのかもしれないな……。
体表に酸をもらっても痛くも痒くもないんだけどね。
まぁ中からの攻撃には耐えられないって感じか……。
すぐに大治癒で治したからなこの野郎……。
でもレッドボアだけはしっかりと食べることができた!
そして今のステータスがこれだ!
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名前:応錬(おうれん)
種族:龍の成り損ない
LⅤ :236/300
HP :1333/1333
MP :2430/2520
攻撃力:1401
防御力:1298
魔法力:2999
俊敏 :483
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やはりSランクの魔物だと手に入る経験値も多かったな!
くー、もっと出てきてくれないかなぁ!
とは言っても、今はそれどころじゃないんですけどね。
「いやああああああ!! 『重加重』! 『重力操作』! 『グラビティドーム』!!」
『おいおい待て待て落ち着けアレナー!!』
何でよりによってダトワームの群れがここで来るんだよッ!!
群れですよ群れ、分かりますか?
あの忌まわしいクリッとした目が特徴のあいつが全力で追いかけてきてるんですよ。
下手なホラー映画よりトラウマになるわ。
ていうかアレナが錯乱状態。
まぁこうしてしまったのは俺のせいなんだろうけどね……。
だが錯乱していても技能はしっかりとダトワームに当たっていく。
重加重で動きを止め、重力操作で周囲の石をぶつけて、グラビティドームで集結させて一気に押し潰す。
これだと重力操作による石をぶつけるという行為は不必要であるが、今のアレナにそれを判断するほどの冷静さはない。
『『連水糸槍!』』
アレナが集めたダトワームをスパッと切り裂いておく。
ズシンと倒れる音が洞窟に響き渡り、ようやく静かになった。
何とかダトワームの群れを対峙した俺とアレナは、その場に座り込んで荒げている息を整える。
「はぁ、はぁ、無理ぃ……気持ち悪い……」
『こんなピンポイントで狙ってくるとは思わんかった……』
ていうか地面に潜られたら俺の操り霞でも索敵できない。
完全に奇襲を許してしまったからな。
地面からの奇襲を察知するには土地精霊を使うのが良いのだが、一定時間を過ぎると解除されてしまうし、狙って発動できるものではないのだ。
というかこのダンジョン、デカい魔物しか出てこないな……。
ここで小物は見たことがないぞ。
あ、そうだ。
俺はアレナが腰に下げている魔道具袋に顔を突っ込んで、一つの小瓶を加えてそれを差し出す。
「うっ……これ……」
『錯乱して技能使いすぎ。飲めマナポーション』
渋々受け取ったアレナは、鼻をつまんでから蓋を開け、ぐ~っと一気飲みをした。
飲み切った後は舌を出して苦虫を潰したような表情をしている。
だがこれでMPは回復しただろう。
しかし、これではマップを書くどころの話ではないな。
敵の襲撃が多くなり、それに加えて敵が強い。
目を離しているとすぐにでも襲われそうだ。
とりあえずこのまま奇襲を掛けられるのもあれだし、一回くらい土地精霊で地面の中の様子を確認しておきますかね。
ほい土地精霊。
『!!?』
俺が技能を使って地面の中を調べてみると、有り得ない程多い魔物が地面に埋まっていた。
先ほどのゴーレムだったり、岩の隙間に潜んでいるスライムだったり、更には蟹の様な魔物やトカゲ……。
このダンジョン、隠れるのが上手い魔物がほとんどなんだ……!
いやにしても多すぎだろ!!
なんっだこれ罠じゃねぇか!!
これがCランク帯が推奨されているダンジョンだって?
鳳炎でもすぐ死ぬぞこれ。
『…………潰しとこ』
えいっ。
土地精霊は土を完全に操ることができる。
なので、魔物のいる場所の土を槍のように変形させて串刺しにしておく。
最後に土を動かして潜んでいる場所の空間を押し潰し、圧殺しておいた。
こうしておけば仮に土の槍で死ななかったとしても問題はないだろう。
これだけの数の魔物と戦うのは骨が折れるからな。
よし、ダンジョン攻略したらこいつら地面に出して全部食べるとしよう。
これなら流石にレベルも上がるだろ!
よーし、進化も目前だぜ!!
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