6.35.これからの動き


 気が付けば宴会も終わり、全員がだらしなく体を地面に転がして寝ている。

 俺も酒は飲んだけど、そこまで酔いはしなかった。

 というか全然酔えなかった。


 まぁ味覚がね!

 めちゃくちゃに衰えてしまっているのでね!

 今回の料理とか全然楽しむことができませんでしたよ!

 勿論お酒も。


 悲しい……味覚無いの悲しい……。

 つってもないことは無いんだけど、酷く薄いんだよね。

 無味に近い。


 そう言えば宴会でバルトの姿みなかったな。

 何処に行ったんだろう?


 そんな事をふと思い出しながら、俺は冷たい夜の風を一人で浴びていた。

 今は一匹という方が表現としては正しいかもしれない。


 さて、俺はこれからどうしようか。

 この姿では満足に悪魔の情報を集める事は出来ないだろう。

 何とかしてサレッタナ王国に入ったとしても、この姿で書庫に入ることはできないと思う。

 零漸の伝手を借りて、城の書庫に入ろうと思っていたんだけどなぁ。


 まぁその辺は鳳炎に任せるとしよう。

 つっても、あいつは城に行くの嫌がってたし、行ってくれないかもしれないが……。

 まぁ情報を集める為だ。

 何としてでも行ってもらわなければ話にならない。

 あいつもそれなりに悪魔の事については気になっているんだから、渋々行ってくれるだろうけどね。


 ……悪魔は先代白蛇と繋がりがある。

 それに加えて、先代白蛇がヒナタに向けて残した言葉を読み解いてみれば、白蛇以外にも他に似たような奴が居る事を指示していた。

 おそらくそれは、先代の不死鳥と亀。

 あと一人はまだ見つけていないが、恐らくは何処かにいるはずだ。


 四霊関係で行けば、残りのそいつは麒麟。

 だがまだ四神という線もあるので、白虎かもしれない。


 俺の場合、四霊であれば応竜となり、四神であれば青龍となる。

 字面的には青龍の方かもしれないが、応竜というのも確か龍の姿をしていたと思う。

 解釈の違いからか、翼の生えている絵も見たことがある気がするが、どちらかと言えば龍としての姿として書かれていたものが多かったはずだ。


 今の俺たちは龍、亀、不死鳥になるとそれぞれの声から言われている。

 これは四霊であっても、四神であっても問題が無い。

 鳳炎は朱雀でも鳳凰でもどっちも不死鳥になるし、零漸の場合はどっちも亀の姿をベースとしている。

 まぁこれは最後の一人が出てくれば、どっちかが決定するだろう。


 しかし……四霊と四神ってどっちの方が強いんだ?

 俺的にはどっちも同じ程度のものだと思う。

 神霊は神と同格。

 そんな言葉が古代日本から言い伝えられているのだ。

 強さに関しては、どっこいどっこいだろう。


 別にどっちになれたとしても問題ないと言えばないのだが……。

 零漸の場合は四霊の霊亀になって欲しい。

 いやだよ俺あいつの尻尾にも喋りかけられるなんて。

 ていうか同一人物じゃない可能性もあるからな……。

 そうなったら零漸ストレスでおかしくなりそう。

 絶対同居とか向いてないタイプだもん。


 まぁ、もしかしたらどっちか選択できるかもしれないしな。

 進化先が一つしかない場合はどうしようもないけど……。

 俺結構そう言う事が多いからなぁ……。

 今度こそ選択肢がある進化先にして欲しいもんだぜ。


 っと、話を戻そう。

 悪魔が今何をしているのか分からないが、明らかにとんでもないことをしようとしていることは分かる。

 何か急いでいる様にも感じたし、もしかしたら近い内に行動を起こすかもしれない。


 あいつらが何をしようと勝手だが、それが人の命を粗末にしてしまう様な事であれば、流石に見逃す事は出来ん。

 今度はそれを阻止し、しっかりと話をしてもらうことにする。

 そうでなければ、納得などしてやるものか。


 つっても……。

 これじゃ話もできんから、やっぱ早急に進化しないとな……。

 いつまでも通訳付けるわけにもいかないし。


 この辺で強い魔物がいる所ってあるのかな?

 里を出る前にその事を少し聞いておくとするか。


 さて、そろそろ夜明けだ。

 この姿になると途端に眠気が封印されてしまう。

 一週間くらいなら寝なくても問題なさそうなほどに元気だよ今。


『おっ』


 やけに冷たい風が吹きすさぶと思ったら……。


『雪か』


 やけに遅い初雪だったな。

 ……そんな時期だったんだ……。


 まだまだ積もりそうな程雪は降っていないが、次第に強くなるだろう。

 そんな時に二つの場所で復興作業か。

 まぁ、鬼たちなら大丈夫だろうし、サレッタナ王国の復興も素早かったから、すぐに日常に戻れるだろう。


 さて、俺は俺のやることをしないとな。

 まずは進化しなければ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る