6.6.先代
ちょ、ちょっと整理しようか。
えっと、まずこいつらは俺のことを生まれ変わりだという。
何の生まれ変わりかは定かではないが、恐らく俺たちと似たような者の存在が居たのだろう。
要するに、俺たちより前に現れた転生者。
それが誰かは知らない。
そんな話聞いたことも……な……。
「……ああああああああああああ!!!!」
「わああああびっくりしたぁ!!」
「きゃあ! なんですか!?」
近くにいたローズとジグルが驚いているがそれどころではない。
俺は知っている。
俺と似たような奴が居たという事を。
「先代白蛇!!!!」
鬼の里で何度も聞いたことがある!!
先代白蛇の使っていた防具も俺が貰っている!
なんで気が付かなかったんだ!
その装備は黒い甲冑、黒鱗鎧!
人間の姿でなければ装備することのできない物じゃないか!
作らせたって言っていたけど、これ着る事前提に作ってるものだろ!?
人間の知識とかが無いとこんなの作れって指示しねぇよ!
よく防具の事覚えてた俺!!
くそ!
そう言えば俺先代白蛇について調べようとは思ったけど、調べてなかった!
ここに来てこれが回ってくんのかよ!
丁度ウチカゲもいなし、話聞ける相手がいねぇ!
わっつざふぁっく!
なんてこったい!!
ってちょっとまてよ?
もしかして悪魔たちが言ってた生まれ変わりって……先代白蛇の事か?
ってなると、他にも先代黒亀、先代赤鳥もいるってことになるが……。
んー、ここは亀と不死鳥って事でいいか。
こういうのって文献か何かに残ってたりしないのか?
何時の話かは分からないけど、それを調べて行けば悪魔が言っていた本当の意味が理解できるかもしれない。
でも一番手っ取り早いのは鬼たちに聞くことだな。
ウチカゲを先に前鬼の里に行かせてしまったが、俺たちも後追って行ってもいいかもしれない。
鳳炎も丁度米喰いたいって言ってたし、丁度いいのではないだろうか?
これで手掛かりがつかめればいいのだけどな……。
「
……そう言えばこいつらのことも残ってたな。
なんで俺はこいつらの声聞こえるんだ?
まぁ正確に聞こえるわけじゃないから、何かの技能が引っ掛かってんのかもしれないけどさ。
でもそんな技能なかったよな……。
駄目だ、この辺は考えても何もわからん。
まぁ生き物と会話ができるってのはなんとも面白いもんだ。
便利だし、なんか得してる気分。
でも俺、竜しか会話できねぇんだよな……。
数が少なそうだな。
……もしかしてだけど、俺の最終進化先が龍だから、こいつらと会話できるのか……?
今は龍の成り損ないだが、龍であることには変わりない。
髭しか龍要素無いけどな……!
翼は竜だし、あの体まだ蛇の面影めっちゃ残してるし。
口は結構ぐっぱり割れてるから龍に近づいてると言えば近づいているのかもしれないけど、流石にあれで妥協はしたくないからな。
次の進化で完全な龍になれることを祈ろう。
「はぁー……。まぁいいか」
「良くないですよ? 良くないですからね!!」
「まぁ怒るなって……。ジグルにずっと意地悪してたみたいだし、仕置きみたいなもんだろ」
「え?」
ローズは俺の後ろにいた騎竜を見る。
騎竜は見られたことに気が付くと、首を上下に大きく動かして意思表示をしてくれた。
それによって俺の誤解も解けた様だ。
こいつらが人の言葉が理解できる奴で助かった。
じゃないと俺変な奴だと思われてただろうしな。
ユリーからは化け物とみられてるっぽいけど。
ラックがひっくり返ってしまったので、残念ながら今日はもう乗る練習は出来ない。
日を改めてジグルの騎乗練習を行う運びとなった。
まぁそれが妥当だろう。
「ジグルが乗れないのはこのラックっていう奴だけなのか?」
「うん。パックとリックは丁寧に乗っけてくれるんだ」
「まぁこいつらは性格良さそうだしなー」
そう言って、俺は二匹を撫でてやる。
パックは少し臆病な様で、俺が触った時は必ずびくりと体を震わす。
リックは強がりな性格の様で、俺が撫でると逆に頭を押し付けてくる。
強がりというより、甘えん坊と行った方がしっくりくる気がするな。
だが、この二匹が会ったばかりの人物に撫でられるという事は今まで一度もなかったらしい。
ローズはパックとリックが子供の頃から面倒を見ているようなので慣れているのだが、ユリーが初めて会った時は、撫でようとした瞬間蹴飛ばされたのだとか。
めっちゃ見たかったなぁ、っていうと怒られるので、これは胸に仕舞っておく。
見たかった……。
「あー、今日暇になったわー」
「依頼は無いのか?」
「あるにはあるんだけど、復興してる最中に受ける様な物でもないしねー。今日はお休みよ」
「そうか。まぁゆっくりしとけ」
「なんであんたに言われなきゃならないのよ……」
細かい事は気にするなー。
ま、こいつらも前線に出てたんだもんな。
休んだってばちは当たらないだろ。
Sランク冒険者だから、金持ってそうだし……。
ローズは相変わらずラックを心配しているが、先程の事もあり、少しラックを睨んでもいるようだ。
後でしっかり説教をしておいて欲しい。
さて、俺はというとやることが出来た。
前鬼の里に行くぞ!
「ジグル、お前は皆に会いに行けよ。休みなんだから」
「あ! そうだね!」
ジグルはそう言って、走って行ってしまった。
元気だなぁ。
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