6.2.飛竜
「おーい、ジグルー」
「んっ? あ! 応錬の兄ちゃん!」
俺に気が付いたジグルは、すぐにこっちに走って来た。
あの二人に預けてから結構経つが、どうなっているんだろうか……?
近づいてきて分かったのだが、なんだか以前より小奇麗になっている気がする。
前はもう少し汚れている様な感じだったが……。
戦い方を変えたのだろうか?
以前は地面に倒れても大丈夫なように面白い振り方をしていたしな。
「兄ちゃんも復興作業の手伝い?」
「まぁそんな所だな。ジンやミナがアレナを誘って何処かに行ったから、俺も休憩中だ」
「三人元気だった?」
「ん? 見た感じは元気だったぞ」
ジグルのこの言い方からして、あれからあまり会っていないのだろうか?
まぁあの二人にくっついて行ってると遊ぶ時間なんてなかなかないだろうしな。
そう言う事もあるのかもしれない。
ジグルはそれを聞いて良かったと零す。
「会ってないのか?」
「そうだね……。あんまり」
「一番上の兄ちゃんなんだから、もう少し会いに行け?」
「実は今飛竜に乗ろうとしてるんだ。それで時間が無くて」
「……ひりゅう?」
ひりゅう……。
火竜……いや、飛竜か。
何だ飛竜って……。
まぁ俺が龍になれるって事は今更な話ではあるけど、俺以外に竜っていう存在がいるんだな。
えっと、多分字面的にはドラゴンみたいな奴だろう。
このサレッタナ王国にそういう物に乗れる場所があるのか?
めっちゃ気になるんだけど。
「ジグル、それって今からも見に行けたりするのか?」
「あ、実は俺も今から行く予定だったんだ。買い出しの後でだけど」
「見学とかするのになんか申請とかいる?」
「いや、見るくらいなら別に大丈夫だと思うよ」
ほぉ。
だったらちょっと見学してみようかな。
すんごい気になるから。
俺の担当している場所は大体終わってるし、別に抜けても問題ないだろう。
ていうか建築とかは専門外だからな。
「何処でするんだ?」
「ローズさんが管理している場所で、ここから東に行った所にあるよ」
「ほー」
そんなの見たことないな。
ていうか空飛んでる奴も見たことないぞ。
鳥ならあるけど。
飛竜が今回の戦闘に加わっていたとも思えないし、何処に潜んでいたのだろうか。
ああいうのって結構権力持ってる騎士団とかしか乗れないイメージがあるんだけど。
あ、でもローズが管理してる奴だから別に関係ないのか。
だったら普通に見れそうだな。
ていうか飛竜ってどんな奴なんだ?
「え、兄ちゃん飛竜知らないの?」
「うん、知らん」
「えー……」
だからっ。
俺はっ。
常識を知らないんだよっ。
そんな生物見たこともないわ。
まぁここ、そういう世界だからもうどんな生き物がいてももう驚かないけど、流石に知らない物は知らないのだよ。
教えて?
「飛竜ってのは、ワイバーンを子供から育てて人を乗せる様に教え込まれた竜のことだよ」
「騎馬みたいなもんか」
「空飛ぶけどね。空飛ぶのは飛竜。陸を走るのが騎竜」
「やっぱり?」
やっぱドラゴン系の竜なのか。
でもこの世界に来てからそう言った奴は見たことが無い。
数が少ないのだろうか……?
「数は少ないよ? ローズさんが個人で育ててる飛竜だから」
「もしかして乗る事って結構難しい?」
「うん……難しい……」
うわーめっちゃジグルしゅんってしてるー。
そうか……難しいのか。
見たことは無いけど、確かに気難しいイメージがあるな。
自分より弱い相手を乗せないとか、そういうプライドありそう。
「よし、じゃあ行こうぜ。今日も練習なんだろ?」
「うん。あ、でもまずはその飛竜の食べ物を買うんだ。最近はダンジョンにいるムカデの肉が安いって聞いて……」
「あ、それか。おーーい、鳳炎ー!」
俺が鳳炎を呼ぶと、遠くから「なんだー!?」という声が聞こえてくる。
そうしてから、俺もまた大きな声で肉が欲しいと頼む。
「おー! 持っていくのである! 山ほどあるならな!」
「助かるー! 切り分けておいてくれー!」
「どれくらいだー!?」
「それ全部ー!」
「わかったー! ……は!?」
まぁ理由を説明しないとこうなるだろうね。
知ってた。
とりあえず鳳炎が焼いてくれた肉を全部包んで魔道具袋の中に収納する。
中臭くならないかな?
まぁいろんな素材入れてきたし、今更だよな。
「ねぇ」
「ん?」
「なんで鳳炎さんと知り合いなの?」
「知り合いっていうか今は同じ霊帝の仲間だぞ」
「ええ!?」
言わないけど、同じ日本人だからな。
ソロだったみたいだし、向こうから来たし。
ていうかジグルって俺と会うたび何かしら驚いているよな。
面白いわ……。
「……それはそうと、お金浮いた……」
「小遣いとしてもらっとけ」
「いや、僕が稼いだお金だよ……」
「……すまん」
ちょっと子ども扱いし過ぎたな。
ごめんごめん。
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