5.44.一時の平穏
あの後、俺たちは報酬を貰って帰宅した。
それと……奴隷商のことも話しておいた。
ああいったことはあまり王族には届いていないようだったので、すぐにでも手配すると急いでいたな。
まぁこれでドルチェも喜ぶだろう。
ていうか何あの報酬……多すぎない……?
魔道具袋無かったら絶対入らなかったぞ……。
まぁこれで活動資金には当分困らないだろうな。
家が買えそうなくらい貰ったし。
それと、バスティ曰く、本当は王子たちとの夕食会などにも参加してもらう予定だったらしいのだが、零漸の立ち回りで不敬だという声が上がりまくったらしく、中止になったようだ。
それはそれでほっとしている俺がいる。
ナイスだ零漸。
でもそれに一番喜んでいるのは鳳炎だった。
なんでも鳳炎は冒険者の中でも礼節などはしっかりしているし、その強さも折り紙付き。
なので鳳炎を取り込もうとして指名依頼を出してきたりする貴族たちに付け回されているのだとか。
バスティを急かして早く城の中に入ったのはそういう理由があったのね。
勿論このことは本人からは聞いていない。
バスティから聞きました。
夕食会……晩餐会と言った方が良いのかな?
そこって貴族たちがめっちゃ集まるらしいからな。
そん中に鳳炎を放り込んだらさぞ大変なことになるんだろう。
よかったな鳳炎。
零漸に感謝しろよ。
因みに零漸はというと……。
王子のクライスに連行されてどこかに行ってしまいました。
これは暫く帰ってきそうにないな。
ああいう所とか結構好きそうだったし、何よりも楽しそうだった。
それに、あいつなら何が来ても返り討ちにできるだろうし、王子のボディーガードとしては最強なんじゃないかな。
確か毒耐性とか持ってたし、並大抵のことでは動じなさそうだ。
性格的にもな。
「これでやーっと一段落であるなー!」
「だな」
鳳炎の言う通りだ。
ようやくこれで色々片付いた気がする。
まだもやもやしていることはあるけど、考えても分からない事ばかりなんだ。
気にするのは今は止めておこう。
でも後は復興だな。
これが終わってようやく終息する感じだ。
ムカデの素材はまだまだ転がっているし、これは価値が暴落してしまいそうだな。
素材屋さん泣いちゃうかも。
ダンジョン内の魔物だから普通は結構値が張ってると思うんだけどね。
……復興といえば……。
「サテラ、どうしてるだろうな」
「お姉ちゃんは大丈夫だとおもうよー? パラディムもいるし、皆いい人だし」
「今度余裕があったら見に行ってみるか?」
「!! 行く!!」
即答だった。
まぁ気になるわな。
実は俺も気になっているし、サテラとアレナのいた領地にはまだ行った事が無い。
邪魔にならない程度に観光をしてみたいものだ。
でも冒険者としての仕事ももっとやってみたい。
Cランクになってからあんまり仕事してないしな。
まぁそれどころじゃなかったんだけどさ。
つっても今は復興が先だよな。
掲示板にもそういう依頼しかないだろう。
うん、その仕事を適当にしてもいいかもしれないな。
そこでふと思ったのだが、仕事関係なしに普通に復興の手伝いをしてはいけないのだろうか?
別に減る物は無いだろうし、有難く思われるのであれば嬉しい。
その事を鳳炎に尋ねてみると、それはあまり良くないと言われてしまった。
「無償で何でもしてくれる冒険者って広まると、見合わない仕事ばかりさせられるぞ」
「うわぁ、それは面倒くさい」
「だから多少面倒でも、ギルドでしっかりと依頼を受けてから復興の手伝いに行った方がいいのだ。そのランクに合った復興の手伝いをする依頼などもあるからな」
何が足りていなくて何が必要なのか。
それは現場の人でなければ分からない事だ。
だからギルドはそういった人たちの話を聞いて、依頼書を作ったりするのだとか。
中々しっかりしているじゃないか。
上の人間は現場の声を聞かずに、これしろあれしろとか言い出すところ多かった気がするしな。
鶴の一声とはまさにあの事だよ。
うん、じゃあさっさとギルドに戻って少しでも依頼をしてみましょうかねぇ。
パァン。
「…………え?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます