5.40.お呼び出し
「「嫌だ行きたくない」」
「行って!? 断れると思ってるの!?」
「絶対に嫌だ!!」
「僕も嫌!!」
絶対に面倒くさいことが起きるに決まってるだろう!?
俺は貴族とか王族とかに関わり合いたくはないんだよ!!
そういや鳳炎は貴族とかの関係性に詳しかったな!
でも話は聞かないことに決めた!
知ったら知ったで面倒くさそうだ!!
てか鳳炎は詳しいから行きたくないって言ってるんだろ!?
だったら行かない方が良いに決まってんだよなぁ!?
「王族からの呼び出しよ!? 拒否権はないの! こればっかりは私も何も出来ないからね!」
「何だと……?」
「てか行かなかったら騎士団が連行しに来るわよ」
「うっわめんどくせ!」
俺がそう叫んだ後、マリアは手紙を俺に押し付けた。
それを反射的に取ってしまう。
パッと見てみると、それには蝋を溶かして封がしてある。
そして凝った印が押してあった。
これがサレッタナ王国の王族の紋章なのだろう……。
まじか。
なんで王子が俺たちを呼ぶんだよ……。
俺たち何か王子の目に留まる様な事でもしたのか?
「……貴方たちの働きに感謝してるみたいよ」
「え、中読んだの?」
「読んでたら開いてるわよ。騎士団の奴にそう言われて渡されたの。礼と報酬を支払うからぜひ来てほしいだってさ」
「……とりあえず読んでみるか……」
丁寧に開けて、中を確認する。
それは綺麗に折りたたまれていて、紙だというのに豪華さを醸し出していた。
中身を恐る恐る見てみると……。
確かに俺たち霊帝に城まで来るようにという文面が書かれていた。
どうやら冒険者が俺の事を報告したらしく、この一日で特定してきたらしい。
怖すぎない?
いや、国を守った英雄とか書かれてるけどそんな大層なもんじゃないからね?
ぶっちゃけ頑張ったのって中で奮闘してくれた奴の方だからね?
だって俺魔物の群れを全部地面に埋めたくらいしかやってないもん。
他の事は皆がやってくれていた。
そいつらの方がよっぽど呼ばれるべきだと思う。
うん、素直にそう思う。
「冒険者代表として行ってきて頂戴ね」
「うそじゃん……。マジで……?」
「マジよ」
うわー……。
め、めんどくせぇ……。
…………ま、行ったら終わるだろ。
やらなきゃ終わらないんだからこれくらいはしますよ。
後々文句言われても嫌だからな。
えっと、もう少し内容を詳しく読んでいくか……。
なになに?
「……俺たち全員で来いって感じか。鳳炎は結構有名なんだな。お前の名前が書いてあるぞ」
「応錬のは書いてないの!?」
「ああ。書いてない」
「ぐっ! ギルドで目立ち過ぎたか!」
まぁそんな髪してたら嫌でも目立つと思うけどな。
でもまぁ、全員で行けるのは嬉しいな。
俺一人とか無理。
ガロット王国ではなんだかんだ言って蛇の頃から馴染んでたから、そんなに気にならなかったんだけどね。
でも初対面で王族と会うのは結構勇気いるよなぁ……。
とりあえず外で復興の作業をしている零漸とウチカゲに声をかけておくか。
五人で行くことになりそうだしな。
あ、服装とかどうしよう。
もうこれが俺の中で最高の服装なんだが。
一番場違いじゃないのは鳳炎の服だな。
綺麗な格好してやがる。
見た目中学生のくせに。
「そう言えば移動とかどうするんだ? 服装は? 武器の所持は?」
「移動は馬車が来るらしいわよ。冒険者に服装とか求めるのはちょっとあれだからその辺は便宜を図ってくれるはず。武器は言わずもがなでしょ?」
「ま、俺の場合は技能が武器庫だからな。関係ないか」
「応錬。頼むから問題は起こさないでよ……?」
失礼な。
別に何かしようとか思ってないわ。
でも怖いじゃん?
ガロット王国でもバラディムが天井に居たこともあるんだし、何があるか分からない。
これだけの魔物を退けたんだから、普通に警戒される可能性もあるしな。
自慢じゃないけどね?
うん、自慢じゃないけどね??
あー、引き込まれたりしたらどうしよう。
全力で断ろう。
でも断ったら断ったで問題が起きそうな気がしないでもないんだけど……。
それで周囲に迷惑がかかるならなおさらだ。
あれ、ちょっとまって?
俺貴族に対して悪いイメージしか持ってないんだけど。
これは俺が悪いな。
ちょっと考え方を変えよう……。
つっても実際に会ってみないとな。
ガロット王国では貴族とか王族とか最後の最後まで関係なく接してたしね。
蛇だったし……。
今違うけど……。
成り損ないだけど……。
「って明日!?」
「なに!? 早過ぎないか!?」
「え、うっそ。それは知らないわ……」
「準備するのー! 零漸ー! ウチカゲー!」
アレナだけがすぐに準備をする為に行動した。
もうあんまり考えない方が良いかも。
指定されている時間は……。
「朝かよ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます