5.31.Side-零漸-心強い味方
見事なスルー具合に何も言えなかったっす。
でもなんだかだんだん腹が立って来たっすね。
俺もあの子助けようとしたんすから何か言ってくれてもいいじゃないっすか!
「ちょーい! 無視は無いっす!」
「大丈夫?」
「うわああん!」
「怪我はないみたいね。なら良し。ミナ、ムー、この子宜しく」
「「はーい」」
「おいっ!!」
怪我がないのは俺のお陰っすよ!
身代わりを発動させなかったら擦り傷まみれだったんすからね!
ていうかそこの魔女っ子!
お前の技能でその子吹き飛んだんすからね!
俺見てたっすよ!!
「貴方うるさいわね! 今はオフなんだから黙ってなさい!」
「てめーのオフとかしらねっすよー!!」
てかオフってなんすか!
芸能人かなんかっすか!!
つっても俺、よく考えたら芸能人とかよく覚えてないっすね。
テレビ見てなかったし、そういう会話で結構取り残されてた記憶があるっす。
ずっと稽古ばっかだったっすからね~。
って!
そう言えば俺こいつに構っている暇とかもないじゃないっすか!
こんな魔女っ娘相手にしてたら逆に被害が増えるっす!
早く魔水晶探して壊さないと!!
「こっちから声かけて悪いっすけど、もう行くっす! 魔水晶壊さないといけないっすから!」
「魔水晶!?」
「ほんじゃ!」
「ちょと待ちなさいこの馬鹿!」
なんか知ってる素振りだったっすけど、話を聞いてこの事件が解決に導かれることもなさそうなので、俺は完全に無視して走っていくっすよ。
ふふふふ、今度はこっちが無視してやったっす!
これがさっきの俺の気持ちっすよ魔女っ子!
NDK! NDK!
ねぇ今どんな気持ちー!
「待てっつてんでしょ!」
「ぎゃああああああ!!」
かっ……雷魔法は反則っす……!
ダメージは無いっすけど属性がっ!
……あれ、今回は痺れが来ないっす。
テンダのは結構強い痺れがあとから襲ってきてめっちゃきつかったんすけどね。
まぁ無いなら無いでいい事っすね!
文句言ってやるっす!
「何するっすか!」
「!!? ……ええ!? 拘束魔法が弾かれ……い、いや、今は気にしないわ! 魔水晶って言ったわね! どういう事!?」
「いや今の反応結構本気で撃ったっすよね!?」
「いいから早く説明しなさい!」
な、なんなんすかこの魔女っ娘!
ああもう!
急がなきゃいけないからぶっちゃけ怒っている暇もないっす!
もうめっちゃ簡単に説明するっすよ!
「魔水晶がこの国に埋められてるんすよ! 俺はそれを見つけることができるっすから邪魔しないでくれっす!」
「このムカデはそういう事だったのね……! 『水人』!」
すると、魔女っ子は水を操って自分と瓜二つな格好をしている分身を作り出した。
その後、帽子で片目を隠して子供たちに指示を出す。
「ジン、ミナ、ムー。この子と一緒に安全な場所に避難しなさい」
「分かりました! 行くよ、三人共!」
「「うん!」」
「う、うう……」
子供たち四人は、その分身と一緒に何処かに走って行ってしまった。
なんかあの技能見たことがある気がするっす。
ていうか応錬の兄貴の技能に似てるっす!
で、でも兄貴もあんなに綺麗な分身は作れなかったはずっすよね……。
いっつも水の塊とか、槍とかしか作って無いはずっすから。
この魔女っ娘何者なんすか。
「貴方名前は?」
「え……零漸っすけど……」
「私はイルーザ。私を魔水晶の所に案内して!」
「勝手についてくるっす!」
何するか分かんないっすけど、やること自体は変わらないっす。
ついてこれなかったらおいていくっすからね!
時間ないんすから!
って思ったけどこいつ普通に速いっす……。
俺のペースに合わせてないっすか?
なんか悔しい……。
「で!? 魔水晶見つけて何するんすか! てか何知ってるんすか!?」
「昔弄ったことがあるのよ。上手くいったら全部の魔水晶の動きを止めれるかもしれないの」
「じゃあ一個見つければそれでいいって事っすか!?」
「改良されてなければね」
「何かわかんないっすけど分かったっす!」
じゃあ一個見つけて後はほっとけばいいっすね!
簡単お仕事っす!
走っていると、突然地面が隆起してムカデが出てきた。
急に現れたので対処できず、見事に食いつかれる。
イルーザはすぐに反応して咄嗟に横に飛んだので無事だ。
あの小柄な体の何処にそんな瞬発力があるのか不思議だったが、今解決しなければいけないのは俺だっ!
「ぬおおおお!?」
「え!? ちょっと!?」
「あ。大丈夫っす」
「は!?」
ふっふっふっふ。
ムカデの顎力如きでは俺の防御力は破れないっすよ!
爆拳!!
ボン、という音と共にムカデの頭部が吹き飛ぶ。
力が抜けた体はドシャリと地面に倒れ伏して俺を解放してくれた。
頭が無くなってるので拘束もできないっすけどね。
「っしゃいくっすよ!」
「え、えー……」
普通であれば致命傷の攻撃を受けているのに、ピンピンしている零漸を見て、イルーザは心底呆れていた。
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