5.15.侵入
やーるこーとねーので侵入しまーす。
何を言っているか分からないだって?
俺は至極冷静なので大丈夫だ。
一日が明けて準備もどんどん整って行っている。
ぶっちゃけ冒険者がする事ももう無くなってきている様だ。
休憩している者もちらほらいる。
冒険者の管理はマリアが全部しているので、冒険者一人一人の役割も全て決まっている。
流石ギルドマスター。
こういう時は頼りになる。
まぁ国に残っている冒険者のやることなんてたかが知れている。
門を閉めたり、城壁に設置されている大砲なんかを使うとかそう言った物だ。
後は避難誘導とか、食料、物資の調達とかそんな感じかな。
ていうかもう騎士団の力を借りようと思っている奴は一人もいなさそうだ……。
まぁ当てにしてないし。
そうなるもの無理はないんだろうけどさ。
よし!
俺は実験がてら泥人を使うぞ!
本体である俺は居眠りをしている……ように見せかけている。
寝てれば声かけてくる奴もほとんどいないだろう。
さーて、やりますか。
まず検証しなければならないのが、この泥人は何処まで行くと操れなくなるのか。
とりあえず今回は城まで向かわせるつもりだけど、これで範囲外になるとなれば、俺が城の方に近づかなければならなくなる。
その時はその時で、また近づいて捜査を開始しよう。
今回作り出したのは小さな蛇。
これが一番動かしやすい。
まぁ元の俺の姿だしな。
枝くらいの細さで体自体もそこまで長くない。
蛇の周辺には操り霞を展開しておいて、周囲の状況を確認しながら城に潜入するぞ。
とりあえず城の方まで行ってみよう。
城はデカいからすぐにわかる。
この国の中心に建っているからな。
とりあえずできる限り……隠れながら行くか。
騎士団がどんな技能持ってるか分からんからなぁ……。
あの兄弟にだけは、この姿を見られない様に潜入開始っと。
◆
いやー……。
うん、遠くから見てた時からわかってたけど……。
でかいな?
今の俺が地面とほぼ同じ目線にあるというのもあるんだろうけど、でかいな?
なんだこの門……。
城壁よりでかいんじゃないの……?
まぁとりあえず入りますか……。
地面の色が白いから、今の状態ではちょっと目立つな……。
窓とかそういう所から入れないか?
んー、お。
中庭みたいなところがあるな。
あの辺から何処かに入れないか見てみるとするかー。
それに、この状態であれば……。
無限水操で水作って空中を移動することも可能。
でもこの体は土で作られているので、できる限り素早く運搬する。
衛兵が結構いるけど、空中にまでは目が届いていないみたいだ。
見つかる前に早く行ってしまおう。
中庭っぽいところまで来ることが出来た。
ここは花壇が何カヵ所かあるし、木も植えられているので俺の隠れ場所としては最高だ。
えーと、多分王子って上の階にいるんだよな。
下に降りてくる事とかないと思うし、目指すは上で決まりだ。
でもどうやって行こうかな。
この体の大きさだと壁を登っていくのは難しい……。
ていうか絡むところがないので厳しい。
手が届かん。
てなるとさっきみたいに無限水操で体を包んで登っていくしかないか……?
城の中をこの体で移動するのは目立つだろうしなぁ。
んー……。
暗殺者ってこの状態でも発動しているのかな?
それだったら普通に入っても問題ないと思うんだけど。
んー、でも発動できていたとしても心配だな。
なんかないかー……?
あ。
天井って貼り付けないのかな?
無理かな……?
あ、そうだそうだ!
空圧結界を何個も作って天井付近を移動すればいいのでは?
防御じゃなくて足場として使うわけだから、そんなにMPを使う必要もないしな!
今の俺は軽いはずだから、これで何とかなるはずだぞ!
っしゃ思い立ったら即行動!
行ってみよう!
とりあえず扉っていうかここ何処。
まぁ城の中に入る為の適当な入口に近づいて、空圧結界を何個か作って階段状にする。
あ、できた。
一個しか作ることなかったからなぁ。
何個も作れるとは知らなかったぜ。
でもこれ動かせないからどんどん新しいのを作っていかないとなんだな。
MPも十分にあるし、これくらいであれば問題ない!
天井付近まで到着。
さてと……。
まずはここが何処ら辺なのかを確認して、上に行く為の階段を見つけないとな。
吹き抜けでもいいぞ。
ってここマジで何処。
何する所なの……ただの廊下か?
何もないなこの空間。
えっと、とりあえず奥には行けるっぽい。
扉があるから少し開けなきゃいけないけど、まぁ無限水操でちょっと開ければ問題なし。
とりあえず常時操り霞も発動させているので、周囲に人が居るかいないかも問題なくわかる。
えーと、これで階段を探してみよう。
んー…………。
お、あった。
けど……随分遠い所にあるなぁ……。
でも行くしなかいですよねー。
衛兵っぽいシルエットも結構いたから気を付けないとな。
天井にへばりついて散策してみますか。
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