5.6.Side-零漸-整備完了
零漸、ウチカゲ、アレナはギルドが管理していたダンジョンに来ていた。
三人は既に第二層に降りており、地図を頼りに四人で攻略したダンジョンの入り口で止まっている。
問題の場所はまさにここである。
第二層と第三層は鉄球がぶつかったかの様に破壊されており、周囲には蜘蛛の死骸が何匹も転がっていた。
すり潰されて血だけが残っている場所もある。
あまり見ていて気持ちの良い物ではない。
「よっしゃ! 直すっすよ!」
「零漸どうやって直すの?」
「こうするっす!」
手を地面に当てて土地精霊を発動させるっす!
魔力消費が激しいけどこうすれば一気に片付けることが出来るのだ!
とりあえず前に見たときと同じ感じで直していく。
前のは木材と鉄でトゲトゲのネズミ返しが付いていたのだけど、今は破壊されていてなくなっているので……。
今回は岩でトゲトゲを作ってネズミ返しを作るっす。
こうしておけば何年も持ってくれると思うっす。
えっと、一回使うと暫くは自由に地面の地形を変えることが出来るので……もう少しいい感じに補強しておくっすかね。
てかこれどうやって破壊されたんだろう……。
それが分かれば補強のやり方も変わるっすけど、まぁわかんないのであれば適当に分厚くしておくっす。
こんだけしておけば簡単に壊れることは無いっすよね!
「あの……零漸殿」
「なんすか?」
「何故今直したのですか?」
「んえ?」
あれ?
俺なんか変なことしたっすか?
「ここって埋める予定ですよね……?」
「あっ!」
そうだったすー!!
ネズミ返し作っても埋めるから結局意味ないんだったー!!
む、無駄な仕事をしてしまったみたいっすね……。
しょぼん。
ま、まぁまだ土地精霊の効果は続いてるっすから、早く下に降りて閉じてしまうっす!
とうっ!
俺が降りた後、ウチカゲとアレナも降りてきた。
そこで完全に入り口を閉じてしまう。
ここをもう一度完走すれば、また魔法陣で地上に上がれるはずなので、帰り道は問題ないはずだ。
「……今回は蜘蛛居ないっすね」
「だねー。どこ行っちゃったんだろう?」
「まぁ地上に死体が転がっていましたからね。マリアギルドマスターがそれなりに狩ってくれたのかもしれません」
「それもそうっすね」
マリアギルドマスターは自分でこの洞窟を調べて実際のダンジョンランクを測ったって言ってたし、魔物がほとんどいなくなっててもおかしくはないっす。
そのおかげで探索が楽になるかと言われると、そうでもないような気もするっすけど……。
「っしゃ! 行くっすよ!」
「おー!」
今回俺たちに任せられて任務はこのダンジョンの再攻略!
そして魔物の素材の収集っす!
マリアギルドマスターは貴族がうんたらかんたらって言ってたけど、俺はよく分かってないっす。
でもやること自体は簡単で単純なので出来ないことは無いはず!
一度ダンジョンもクリアしてるし、素材も倒せばいいだけっすからね。
でもこの感じ……。
第三層には魔物の気配が一切ないっすね。
俺たちが先行して倒してしまおうっていうのもあるんだろうけど……。
これは暫く普通に歩いていくだけになるかもしれないっすね。
「……あれぇ?」
「ん? どうしたんですかアレナ」
「ここ。地図に書いてない道がある」
「何だって?」
アレナの指さす方向には、確かに地図に書き記されていない横穴が存在していた。
あれだけ歩き回ってマップを埋めたので、見逃しは無いはずっす。
それなのにここに横穴があるのは変な話っすねぇ……。
誰かが作った?
いや、でも何のためにっすか?
でもでも、こんだけでっかい横穴作るのには相当な労力が必要な気がするし……。
そんな短期間で作れるような物でもないはず。
それともこれは元からあった?
何かの隠蔽魔法で隠されていたとかいうあれっすかね?
「んー分かんないっす!」
「何にせよ、この先は調べなければならなさそうですね」
「マップ、作る!」
「……それは良いですけどアレナ。そのマップ、もう使えなくなりますからね?」
「…………はっ!!」
このダンジョンは封鎖されることになるっすからねぇ……。
ていうかさっき入り口塞いだっす。
もうそのマップが日の目を見ることは無いっすね。
そんな絶望に満ちた表情でこっち見られても……。
何も言えない……っす……。
「う、ウチカゲ、行くっすか!」
「そうですね。行きましょう」
とりあえず調べに行くっす。
あ、意味ないとはいえマップは作るんすね……。
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