5.2.部隊編成
とりあえず、冒険者と騎士団の仲が悪いという事は分かった。
だから競い合ってくれるというのもなんとなくわかる。
だけど……連携が必要になることって絶対にあるんじゃないか……?
嫌い云々の話をしていたら勝てる戦いも負けかねないぞ。
その変どうするつもりなんだ?
「ま、基本的には冒険者と騎士団を分けて突撃させるのが普通だな。あいつらが手を取り合って協力するとは思えないし」
「そこ何とかしないといけないんじゃないのかよ……」
「とは言ってもなぁ……。因縁があるから仕方ないんだ」
「じゃあ聞くけど、どうして冒険者と騎士団はそんないがみ合ってんだよ」
「んー、簡単に言うとだな……。騎士団は国の為、冒険者は自分の為に戦うんだ。裏を返せば冒険者だって国や民の為に働いているんだが、その意識の違いがこの世界では激しくてなぁ……」
あー、そう言う事ですかぁ……。
騎士ってなんか凝り固まった感じがするもんな。
性格とかそう言うので相性が悪いというのもあるんだろうけど、騎士っていい所の坊ちゃんとか名のある貴族たちがなれる物でしょ?
貴族の上下関係とか俺は一切知らないけど、礼儀作法も知らない冒険者たちと仲良くしろってのは、流石に無理な話なのかもしれないな。
そんな中でマリアは王に騎士団の要請に行ったのかぁ……。
いじめられてなきゃいいけど。
「とは言っても、本当に名のある強い騎士やSランク冒険者は仲いいのだぞ。仲が悪いのはゴロツキだけだな」
「強い奴らはそれなりに同じ考えを持ってるのね」
「私もその一人である!」
「うん、自慢は良いから話を続けろ」
「あ、ああ……」
そんな所で威張ってなんになるんだ全く。
とりあえず、部隊の編成を考えよう。
とは言っても、これは鳳炎頼りになってしまうかもしれないが、気になるところで口を挟んでいけばいいか。
今鳳炎が説明をしてくれているのだが、話が長いので簡単にまとめると……。
部隊の編成は大きく分けて二つ。
簡単に冒険者部隊と騎士団部隊だ。
冒険者部隊は様々な職業があるので、それなりに動かしやすい。
国の守りと先陣を切る攻めが決めやすいのだ。
ランク付けもしているし、この辺りはすぐに取り決めることが出来るだろう。
これから事細かに部隊の編成を決めていく予定だ。
問題は騎士団部隊。
これはこちらかが指示を出せるような部隊ではない。
マリアが騎士団の隊長とうまく話をすることが出来ていれば、その人に指揮を任せることが出来るのだが……。
マリアが返ってこない以上、それを取り決めることは難しい。
「えっと……騎士団ってどんな部隊がいるんだ?」
「結構多いぞ。重装歩兵、槍兵、騎馬兵、歩兵、弓兵、魔導騎士兵、魔導士兵……」
「ん? ん? ちょっと待て。魔導騎士兵と魔導士兵って何が違うんだ?」
「魔導騎士兵は魔法を使いながら接近戦得意をするタイプ。魔導士兵は完全にサポート特化の遠距離タイプだ。魔導士兵も細かく見て行けば魔導士弓兵や回復兵なんかもいるぞ」
騎士団にも魔法を使う奴はいるのか。
えっと、鳳炎の話を聞くに役目がしっかりと決まっているな。
となれば戦場での動きはそれなりに予想できる。
「で、どう動かすんだ……?」
「こうする」
鳳炎は騎士団のコマと上級冒険者のコマを門の外に出し、冒険者のコマを門の内側に置いた。
言いたい事は分かるのだが、安直すぎないか……?
「こんなんで大丈夫なのか?」
「ここからである。門に辿り着かせなければ、私たちの勝利だ。今重要なのは前に出した冒険者と騎士団の動かし方である」
すると鳳炎は、何処から取り出したのか袋をひっくり返して様々な武器を持った兵士のコマを地図上にばら撒いた。
それは冒険者用と騎士団用のコマで分かれているらしい。
一個一個立てながら、コマを分けていく。
「まず作戦を立てる。そうすれば必要な兵士の数が出るのだ」
「ふ、普通反対じゃね……? 数が分かってから動かすのが良いだろうに……」
「応錬。分かっているとは思うがここは異世界だ。人一人の戦力は地球でのものとは全く別物。一人で百人分の力を発揮できるものもいるのだ。だから作戦から考えても問題ないのだよ」
「お、おう。わかった……。その辺は任せるわ……」
なんか普通に怒られました。
ここは大人しくしておきますね……。
騎士団のコマは西門から出て左に展開。
上級冒険者のコマは真っすぐ行くように配置されていく。
敵は南西方向から進軍中なので、左右から挟むようにして攻撃を仕掛けるつもりなのだろう。
「まず騎士団には左側に行ってもらい、冒険者はまっすぐ突き進んでもらう。まずは足止めしなければならないので、騎士団は重装歩兵を前に、冒険者には防御に秀でた物を前に出し、その後方から双方の魔法使いに頼んで敵前衛を破壊する」
「上手くいくのか? 俺は兵法はからっきしだぞ?」
「足止めをするのに効率が良いのは死体の山を築くことだ。消耗が激しいが、魔導士兵たちには一度出張ってもらわなければならんのだ。ま、魔力が尽きてもマナポーションがあるからな!」
「……そうか」
二度と飲みたくはないがな。
でも死体の山だけが足止めってのはちょっと不安だよなぁ……。
人間や理性のある魔物とかだったら、死体の山を見て戦意喪失するかもしれないけど、相手は魔物だろう?
感情を揺さぶってどうこうするってのは難しいと思うな。
まぁ鳳炎の指示には一応従うけど……。
土系の技能を持っている奴らとかはいないのだろうか?
まぁそこまで冒険者のことをギルドが掌握している訳ないよなぁ……。
二つ名とかあれば余裕で分かりそうなものだけど。
えっと、話をまとめると、騎士団と冒険者で敵の左翼と右翼から攻撃を開始。
重装歩兵を前に出して耐え、その間に後方の魔導士兵で大きな魔法を放ち敵前衛を崩壊。
その後は……。
「魔導士兵を下げて騎馬兵や歩兵で敵を押し返す!」
「う、上手くいくのかぁ……?」
「魔導士兵の質によるな」
「俺が出張った方が良いような気がしてきたぞ……」
頼むぞ冒険者と騎士団……。
「まぁ他の策も考えるがな!」
「ったりめぇだ! 不安しかないわ!」
ていうか!
なんで俺がこんな重要会議してんだよぉーー!!
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