2.10.ドロ蛇


 家に帰宅した俺はドロ蛇に進化する、と、指定したところで体中に激痛が走る。

 何度経験しても体の中を掻き回されるような痛みには慣れそうにない。

 骨がすべて作り替えられてから並べ替えられているようで、体中がぼこぼこと蠢いている。


 皮膚が厚くなり鱗が薄くなっていく。

 今までは鱗が分厚くなっていて身を守っていたが、ドロ蛇は日本にいたような蛇の姿に近い皮膚の作りをしている。

 体はさらに大きくなり、まだ大蛇とは呼べないがそれでも俺の見てきた蛇の中では一番迫力がある。


 太さは筋肉質な人間の腕位かな?

 長さはあまり変わっていないが……長ければいいっていう物でもないだろうし、別に変らなくても問題ないだろう。


 そしてなんか頭にアンテナみたいなのが付いた。

 なんじゃこれ。

 あ、ピコピコ動く。

 角が退化して触覚が付いたな。


 でもこれ動くだけで別に何にもなくない?

 何も感じないぞ。

 ……もしかしてこれ髭と同じような感じで飾りになってる?

  いや~い~ら~ね~~~……角のほうがよかったなぁ。

 さて……どんな技能が増えた?


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 名前:応錬(おうれん)

 種族:ドロ蛇


 LⅤ :1/30

 HP :111/111

 MP :131/131

 攻撃力:67

 防御力:139

 魔法力:132

 俊敏 :30


 ―特殊技能―

 『天の声』『希少種の恩恵』


 ―技能―

 攻撃:『剛牙顎』『追跡』『毒牙』『連水槍』『多連水槍』『水流剣』『水糸』

 魔法:『クリエイトクレイ』『操り霞』『無限水操』『泥人形』

 防御:『水流結界』『水盾』

 回復:『吸収』

 罠術:『水捕縛』『偽装沼』

 特異:『発光』『土壌浄化』『土壌変化』

 自動:『悪天硬』『水泳』


 ―耐性―

 『眩み』『強酸』『爆破』『腐敗』『視界不良』『盲目』『毒』

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 魔法技能『泥人形』、罠術技能『偽装沼』、特異技能『土壌変化』の三つが手に入ったな。

 ん~やっぱり初めての土系の蛇だからか、取得する技能が極端に少ないなぁ。

 まぁ仕方がないか。


 えーっとステータス的には防御力がちょっと上がったかな。

 やっぱり土系の蛇は防御力が高い傾向にあるのかもしれないな。

 零漸も土系の魚だったし、陸に上がったらもっと硬くなっていくんだろうな~。

 やっべ、負けてらんねぇぞ。


 では恒例の技能確認!

 あ、待って耐性に毒耐性が追加されてある!

 やったぁ!


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―偽装沼―

 その場に沼を展開させる。その沼を土のように見せたり草のように見せたりすることができる。

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―土壌変化―

 地形を変化させることができる。MPの使用量によって変化させられる量が変わる。

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―泥人形―

 泥を使って自分の好きな人形を作ることができる。動かすことも可能。動かす精度は熟練度によって変わる。

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―毒―

 微弱な毒を無効化する。

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 偽装沼は全く見えない罠が設置できるって事でいいのかな。

 だとしたらこいつの罠結構すごいぞ。

 狩りの仕方としては、多分沼に落としてからゆっくりと食べるんだろうな。

 適当に張ってても罠だってバレないから確実に仕留めれそうだ。

 自分より大きな獲物は狙わないらしいし、もしかしたらそれなりに小さい罠なのかもしれないが。


 で、俺が今回気にしている技能は土壌変化と泥人形だ。

 これ多分ペアだよね。

 土壌変化で泥人形を作って、作った人形を技能の泥人形で操るって感じでしょ。

 ちょっと作ってみるか!


 作るのは今の俺。

 『土壌変化』を使用して土をコネコネしてから細長い蛇を象っていく。

 使う土はどれでもいいらしく、その辺にあった土を抉り取って使うことができた。

 それに、土壌変化を使用して人形を作ると、MPが土の周囲にまとわりつくようで土が崩れたりすることはない。


 これは無限水操と同じ感じだな。

 あれもなぜか浮いてるもん。

 多分同じようにMPが水の周りに纏わりついているのだろう。

 何故分かるようになったかというと……技能の操り霞だ。

 これは地形も把握できるが、魔力感知も可能になっているらしい。

 めっちゃ便利やんこいつ。


 そしてこの操り霞……使ってみてわかりました。

 今まで霞がどんな感じになるのかわからなかったので試しに使ってみたところ、どうやら見えない霧を出現させることができるらしい。

 それにこっちのほうがMP消費が少ないので長時間の使用が可能だ。


 戦闘には霧を、普段は霞を使用しておけば奇襲は確実に防げるはずだ。

 範囲が広くなればなるほど消費MPは増えていくので、今は直径五メートルくらいしか発動させていない。


 これくらいの範囲ならば、1時間に1MPほどしか消費しないのだ。

 今では熟練度向上のため常時発動させている。


 因みに霜は……使えなかった。

 どうやら寒くないと使用できないらしい。

 どんな効果があるのか知りたかったが……出来ないのなら仕方がない。


 っと、話が逸れてしまったな。

 作り出した人形だが……造形って難しいね。

 もうただの細長い棒だよ。

 俺にはセンスがないようだ。


 その人形に技能の『泥人形』を付与してみる。

 形を象っていたMPが土の中に染み込んでパキパキという音を立てながら変形していく。

 顔が彫られて鱗の細かい部分まできれいに再現され始めた。

 目元や舌も再現されている。

 尚且つこれが動いているのだ。


 初心者が見様見真似でやってみましたって言ってプロに渡したら、完璧に整えられて返ってきた気分だ。

 プラモとかを思い出す。

 今すごい虚しい。


 気を取り直して……弄ってみてわかったのだが、この泥人形……自分が思うままに動かすことができた。

 目をつぶると視界を共有できるらしい。

 索敵とかにとても役立ちそうでいいのだが……この泥人形、MP消費が激しすぎる。

 あんまり乱用できるものではなさそうだ。


 だがやられても問題ないという強みがある。

 敵地に侵入するときはこの技能が役に立つことは間違いないだろう。

 MPを付与するのに30MPを使用して維持をするのに毎分3MPを消費するのでMP切れを起こしそうだが……。


 マジでMP切れはもうしたくないです。

 とりあえずお疲れ様だ、土の俺。

 あ、なんか壊すの心が痛い。


 さて、最後は土壌変化か。

 これどれくらい変化させることができるんだろうか。

 度合いによっては封印案件なのだが……。


 とりあえずなんか作ってみようか。

 何作ろうか……あ、そういえばさっきの戦いで檻が活躍したんだったな。

 多連水槍を使ったのでMPの消費が激しかった。

 もっと効率のいい檻が簡単に作ることができないかどうかを試してみよう。


 えーと、目の前に先ほどと同じような丸い檻を出現させる感じで……『土壌変化』。


 ボズォォオッ。


 念じてみると思った以上に簡単に出現させることができた。

 土から円柱形の棒が速い速度で何本も伸びてきてあっという間に檻が作られてしまった。

 消費MPも驚くほど少ない。

 これだけの規模ならば少ないMPで変化させることができるようだ。

 これなら新しい家とかも簡単に作れるかもしれない。


 一回家をリフォームしたとき結構楽しかったんだよなぁ。

 今度は豪邸とか、日本式の家を作ってみたいな。

 次の進化先はウェイブスネークでもいいけど……木に関する蛇でもいいなぁ。


 はっはっは。

 進化するのがまた楽しみになってきたな!

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