第二章 蛇としての生活

2.1.はじめての陸


 陸だぁあああああああ! やったぞぉおおおおお!!!


 零漸れいぜんと別れて数分後……俺は浮かれていた。

 待ちに待った陸へと上がることができたのだから浮かれるのも当然であろう!


 瞼! まぶたあああ! 瞼があるぞ!?

 やったぜ……やった……目が閉じれる……嬉しい。


 周囲は……森ですね。

 いやでも一週間ぶりにみた世界はなんだかとてもきれいに感じる……。

 まるで眼鏡を変えた時のようなそんな感覚……。

 あれ、もしかして俺そんなに感動してなくないか?


 まぁいいや。

 他には先ほど俺がいた川。

 あと……滝の音も聞こえるな。


 ってことは上流はまだまだ上だったのか……どんだけ長いんだよこの川。


 体は……うん。白蛇ですね。

 目の色は……赤かな? 水面に顔を映して確認しているけどやっぱり色はわかりにくいなぁ。

 てか初めて自分の顔見るね。俺蛇だわ。


 っと、周囲は警戒しておかないとな。どんな奴が来るかわかったものじゃねぇ。

 ん~今のところは……何もいないかな。

 よし! じゃあステータスの確認だ!

 進化したらすぐにステータスを確認しておかないと死ぬ。


 だってレベル1だもん。


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 名前:応錬(おうれん)

 種族:水辺蛇


 LⅤ :1/20

 HP :50/50

 MP :101/101

 攻撃力:59

 防御力:65

 魔法力:51

 俊敏 :60


 ―特殊技能―

 『天の声』『希少種の恩恵』


 ―技能―

 『剛牙顎』『発光』『悪天硬』『水流操作』『クリエイトクレイ』『土壌浄化』『吸収』『忍び足』『奇襲』『毒牙』『水泳』『水流槍』


 ―耐性―

 『眩み』『強酸』『爆破』『腐敗』

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 MPがすでに100越えだと!? 魔法力もすでに50以上あるじゃないですか! おっしゃおっしゃ!

 これを見るに……やっぱり俺は魔法や技能で戦っていくスタイルになるな。

 今回は耐性技能は手に入らなかったか……残念。

 とりあえず今回手に入れた技能を全部確認していこうか。


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―奇襲―

 気が付かれないように攻撃して先手を確実に打てる技能。気が付かれていると発動しない。

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水流槍すいりゅうそう

 水の槍を作り出す技能。熟練度によって攻撃力が変わる。

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―水泳―

 水の中を泳ぐ技能。

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―忍び足―

 相手に気が付かれないように接近する技能。

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―毒牙―

 毒の牙。敵に毒ダメージを付与する。

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 なんかすごいのが一個あるな。『水流槍』ですって。

 やっと俺にも遠距離攻撃が追加された……やったぜ……。

 遠距離? いやこれ中距離になるのかな。

 だがそれでも問題ないぞっ!


 ん~ちょっと技能欄がいっぱいになってきたから合成したいな。

 『奇襲』と『忍び足』は合成できそうだ。なんか相性よさそう。てか絶対にいいだろ!

 てことで合成します!


【『奇襲』及び『忍び足』を合成して新技能『追跡』を取得しました。『奇襲』及び『忍び足』は破棄されます】


 『追跡』になるのか! これ結構便利なんじゃないの? どんな技能になったかな。


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―追跡―

 対象一人の後を追いかけることができる技能。気が付かれないように追跡する場合は常時MPを消費する。尚、気が付かれていない場合は奇襲が確実に成功する。

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 お~想像通り……。

 いいね! なんか蛇っぽい。

 水辺蛇は水泳もできるみたいだけど、しばらく水の中はいいや。


 よし、とりあえず移動しようかな。

 流石にいつまでもこんなところにいて強敵に鉢合わせしたらたまったもんじゃない。

 そうだな……まずは滝のほうに行ってみるか。

 種族が水辺蛇だし、もしかしたらあんまり乾いたところに行くと危ないかもしれないしな。


 ちなみに移動しながら『水流槍』を試し打ちしてみた。

 一本の水の槍が出現して、飛ばしてみると地面に深く突き刺さる。


 だが岩などは全然切れないし、木も切れなかった。

 これが熟練度による弱化だろう。

 何度も使えばもっと切れるようになるかもしれない。


 『水流操作』と合成しようと思ったが……一気に合成するのはやめておこう。

 また何か強い技能が手に入るかもしれないしな。

 まぁ渋るだけじゃいけないから適度に合成してステータス欄を整理しないといけない。

 数が増えすぎると何を持っているかわからなくなるからな。


 そんなことを考えながら進んでいると、近くで草の動く音がした。

 驚いてさっと身を隠して音の発生源を見つけ出す。もちろん追跡技能を使って気配は遮断中だ。

 あー索敵能力が欲しい。次の進化では熱源感知系の技能が手に入りますように! 蛇だからできるでしょ?


「キュキュッ」


 しばらく隠れていると、向こうから何かが姿を現した。

 ウサギだ。


 いやだけど尻尾が長いな……ネズミ?

 いやでもそれ以外を除くと完全にウサギなのだが……。


 天の声さん。あれなんすか?


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―飛びモグラ―

 地上を闊歩する目の見えないモグラ。常時超音波を周囲に向けて放っており、動く獲物に見境なく飛びついて捕食する。

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 モグラかよ!

 そりゃ闊歩っていう言葉がお似合いだわ!


 外で大手を振るって歩くモグラとか見たことないわ。

 でも超音波はなってんだったら俺の位置バレてるんじゃないのか?

 あ~でも襲ってこないしな……まだバレてないのかな?


 ってことは奇襲が効くんじゃないか?

 早速使ってみようじゃ、あ~りませんか。


 えーっと、『毒牙』をセットして『剛牙顎』も発動っと。これで良し。

 うん。剛牙顎発動してあんまり見た目変らなくなったね。ちょっと牙が伸びるくらいだ。

 この二つの技能合成できそうだな~。

 でもなぁ……俺が噛みついた獲物全部が全部毒状態になるのもちょっとな。

 まだ麻痺系の牙もあるかもしれないし、そっちを待とう。


 タイミングを見計らってから、一気に飛び出して飛びモグラの首元を狙う。

 相手はそっぽを向いておりこちらに気が付いている様子は全くなかった。

 そのまま首元に噛みついて肉を抉り取る。

 剛牙顎の攻撃力で噛みついたんだ。そりゃあ肉は抉れますよ!


 本当はそのまま絡みついて動きを封じようと思ったが、そんなことをするまでもなく飛びモグラは息絶えてしまったようだ。

 毒牙の意味が全くありませんね。


【経験値を獲得しました。LVが4になりました】


 あら美味しい。

 よし、じゃあこのモグラ食べちゃってからまた進みましょう!

 結構簡単に倒せてよかったな。

 苦戦する物だと思っていたからちょっと拍子抜けだ。


 ……ちょっとまって?

 味がある! めっちゃくちゃうっすいけど確かに味があるぞ!


 血のな!


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