1.23.零漸のステータス
体が少し大きくなり、先ほどのロックフィッシュと違い、魚として自然な鱗へと変わっていた。
どうやらこの種族は『シルドロック』という種族らしい。
一体どんな種族なのか。
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―シルドロック―
鱗が盾のように硬い魚。価値はとんでもなく高価で、高級な防具には必須とされている。
銀色の鱗は川の中で輝き、シルドロックはその光の強さで存在の大きさを表すものだと信じられている。
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本来は銀色の鱗を持つ種族らしい。
魚の鱗すら防具に組み込もうとする職人魂嫌いじゃないぜ。
ただ零漸も俺と同じように狙われる身になりつつあるな。
こいつの防御力なら殆どの敵は弾き返せるだろうが……。
因みに進化した零漸のステータスはこのような感じになった。
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名前:零漸(レイゼン)
種族:シルドロック
LⅤ :1/20
HP :45/45
MP :5/30
攻撃力:15
防御力:200
魔法力:25
俊敏 :16
―特殊技能―
『地の声』『大地の加護』
―技能―
『部位強化(爆硬)』『吸収』『部位強化(硬)』『ロックガン』『発光』『結界』『決壊』
―耐性―
『孤独』『眩み』
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新しく手に入った技能は『発光』『結界』『決壊』だ。
耐性には『眩み』が追加されていた。
『発光』と『眩み』は持っているのでどんなものかは知っているが……『結界』と『決壊』が気になる。
技能について零漸からまとめて教えてもらうことにした。
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―結界―
自身の周囲に結界を展開する。込めるMP量によって防御性能が変動する。
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―決壊―
相手の結界を破壊することができる。破壊するには相手の結界のMPの総量を超えていなければならない。成功すれば、相手は先ほど作り出した結界のMPを上回る結界しか作り出すことはできない。
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二つの技能をまとめると、防衛特化型で防衛型キラーになるな。
だが『決壊』のほうは少しだけ癖がありそうだ。
MPが低い俺たちでは今は使えないかもしれないな。
だが使い方さえマスターしてしまえば相手の防御技能を刈り取って一方的な攻撃が可能だ。
結界を二回も展開するのは難しいだろうからな。
守りに入るのであれば一回目の結界でそれなりのMPをつぎ込んでくるだろうし……まぁそれを壊すほどのMPを持っていなければいけないっていうのがネックだな。
技能を試させようと思ったがMPが5しかなかったので今回は断念した。
シルドロックは狩った得物を食べてもMPが回復しない傾向にあるらしい。
『零漸。『部位強化(爆硬)』と『ロックガン』は合成しなかったのか?』
『あ、それなんですけど……もっといい技能が手に入りそうなので一回保留にしてるんですよ。技能に爆発付けちゃうとそれ以上進化しない気がしましてね?』
うん、俺もそうする。
進化でこれだけ技能が取得できるんだ。
強い技能を手に入れてそれを合成したほうがいいはずだ。
今回は俺も合成を保留にしたしな。
つってもクレイカープの能力がそこはかとなく微妙だっただけなんだが……まぁ『腐敗』耐性は結構大きいのかな。
そんな攻撃してくる奴がいるならこれは耐性技能に置いておきたいしな。
『さー! 応錬の兄貴! もっと狩ってどんどん進化していきましょう!』
『あーそうだな……ってあれ? 他の魚達は?』
『……えっ!?』
周囲を確認してみると、先ほどまでフヨフヨと漂っていた魚たちが一匹もいなかった。
どうやらベドロックを倒したことで香の能力が解除されたようだ。
今では魚の影すら見当たらない。
そのことに気が付いて落胆する零漸。
気持ちはわからんでもないが俺は少しだけ安心した。
これでもう少しだけこいつの世話ができるからな。
俺はクレイカープのレベルがMAXになったら地上に出るつもりだ。
その時はそう遠くないうちに訪れるだろう。
『ま、気長にいこうぜ?』
『はい……くぅ~! 早くレベルを上げて応錬の兄貴と陸に上がるんだ!』
『……俺が先に行っても恨むなよ?』
『その時は全力で進化して、追いかけますので覚悟しておいてください!』
『約束だぜ?』
『もちろんですとも!』
うん。最終進化先が亀とかであんまりやる気にならなかったみたいだけど、今はやる気に満ち溢れているな。
俺が少しかっこいい理想像を提言しただけなのだが……ま、いいか。
理想に近づけるように精進してほしい。
それに、俺が先に行っても追いかけるって言ってくれたし、これなら大丈夫そうだな。
いい相棒に会えて俺は嬉しいぞ。
軽い口約束を結んだあと、どこかに逃げた魚を求めて一緒に探すことにした。
まずは零漸を進化させなければならない。
獲物を食べてもMPが回復しないこの種族では連戦ができないからな。
そのあとは俺も経験値をちゃんと稼がせていただくとしよう。
◆
―数時間後―
ベドロックを討伐して魚達を解放したのは良かったが、やはり少ない。
だが完全にいないということはなく、数十分に一度は遭遇して確実に仕留めるまでに至っていた。
あそこまでベドロックに食べられ続けていたのだ。
個体数が少なくなるのも無理はない。
下流にはほとんどの魚がいないと思って上流のほうへと進んでいったのだが、思った以上に少なかった。
ベドロックめ……。俺達の経験値を根こそぎ喰らいやがって……。
狩った魚たちは全て零漸に渡している。
とりあえず早いこと進化してもらいたいからな。
ちなみに今、零漸のステータスはこのようになっている。
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名前:零漸(レイゼン)
種族:シルドロック
LⅤ :11/20
HP :95/95
MP :43/87
攻撃力:31
防御力:250
魔法力:38
俊敏 :29
―特殊技能―
『地の声』『大地の加護』
―技能―
『部位強化(爆硬)』『吸収』『部位強化(硬)』『ロックガン』『発光』『結界』『決壊』
―耐性―
『孤独』『眩み』
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マジ硬い。
初期の段階だけでも防御力が200もあったのだ。
レベルが上がっていくにつれて防御力が上がるのは当たり前なのだが、それでも規格外れの防御力である。
俺でも54しかないのだ。
どれだけこいつが化け物じみているかがよくわかる。
多分俺が零漸に立ち向かっても勝てないのだろう。
剛牙顎が通じなければ本当に勝ち目はないし、こいつは遠距離攻撃を持っているからな。
この子怖い。
『う~ん、ベドロックを倒したといっても、元々ここの川には魚が少ないんですね』
『みたいだな。こりゃレベル上げに時間がかかるぞ~』
『でもいいんですか? 俺ばっかりもらっちゃって』
『いいんだよ。食事してMP回復しない種族はやばいだろ?』
『まぁそうなんですけど……』
ほら。先輩の言うことはとりあえず聞いとけ。
これはお前と俺ができるだけ長く一緒にいられるようにする事にもつながってんだから。
『あ! いましたよ応錬の兄貴!』
『よっしゃ! 行くぞ!』
俺達はその日、目についた魚を片っ端から狩って行ったが、今日のうちに零漸が進化することはかなわなかった。
ま、ゆっくり気長にやっていこう。
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