1.4.捕食
目には見えないプランクトンを食べ続けて数時間が経った。
進化してLVが上がりにくくなったようで、何度発光をしても手に入る経験値の量が変わらない……というか減っている気がする。
もしかしてこれプランクトン近くにいなくなってね? まぁ夜じゃないしな……明るいしそこまで集めることはできないのかもしれないな。夜でも発光って使えるのかな?
あ、でも説明に『太陽光』って書いてあるから月光だと難しそうだな……。でも月って太陽の光で光ってるんしょー? じゃあ融通利かせてくれてもいいんじゃありませんかねー!?
そんなことはさておき、進化してから結構時間がたっている。
今ステータスはどうなっているのだろうか?
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種族:ブルーフィッシュ(幼体大)
LⅤ :6/12
HP :9/23
MP :9/32
攻撃力:18
防御力:25
魔法力:10
俊敏 :27
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今折り返しか。うぅーーーん…………LV3しか上がってねぇ……。そろそろ大きい獲物探しに動いたほうがいいですかねぇ……。
鏡とか自分の大きさをはかるものがないのがちょっと不便だなぁ……。
これがわからないと、どれが食べれてどれが食べれないのかわからないじゃないか……。
目の前には隠れることができる大きな岩があるが……少しでも外に出てしまえば大海原だ。川だけど。
流れも結構早いように感じるし、今の体でこの水流に耐えれるか少し不安である。
それに、移動するにしてもどこに移動すれば安全なのかもわからない。
このままここに居てプランクトンを食べ続けるのもありだとは思うが……夜になるまでに何とかしてもう一つ進化しておきたい。
てなるとやはり獲物を探すしかない!
よし……そうだ。まず岩陰から少し出て水流に耐えれるかどうか試してみよう。
俺は今までいた場所から動き、岩陰から出てみることにした。
息を整えて覚悟を決める。そしてゆーっくりと顔を出してみる。
水流の流れがある所に出た瞬間、体がぶん投げられたような感覚が突き抜ける。
おおおおおおおおおおおおおお!!!!!??
俺のバッカ! ちゃんと魚の特性思い出して行動しやがれ! 水流に体横に向けて突っ込むやつがあるか! 馬鹿じゃねぇのかこの馬鹿ぁあああああああ!!! ぬぉおおおお!
俺は何とか体勢を立て直して水流に向かって泳いでみる。そうすることによって受ける水圧が減少し、なんとか動けるようになった。
あ、あ、あぶねぇ……このまま滝とかに叩き落されたらマジで死ぬぞ……。でも結構流されてきちまったな……。
この流れだとさっきいた場所に戻るのは難しそうだなぁ……まぁいいか。よし……獲物はいるかな?
周囲を見渡してみる。ぱっと見、生物らしきものは見当たらないのだが……岩の影で何かが動くのを見つけることができた。
その場所を遠目に見てみると、小さな魚の群れがいた。体は小さく20匹くらいの群れで行動しているよだ。茶色い背中と白い腹が印象的で、知っている魚の中ではメダカに一番近いのではないだろうか?
お! なんだあれ……メダカみたいなやつだな……。せっかく見つけたんだ! これは『大口』使って捕食してみるしかないでしょ!
俺はその群れに勢いよく接近して気づかれる前に捕食しようと考えた。
そして一直線に向かってみると想像以上に速い速度で接近することができ、若干ビビっている。
速っ! 直感で進んでみたけどめっちゃいい勢いで進めるじゃん! これならあのメダカ簡単に食べれるんじゃね!? てかあのメダカなんて名前なんだろ?
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―マレタナゴ―
10~20匹ほどの群れで行動していることが多い。体は10㎝と小さいが、マレタナゴの柔らかそうな尾びれは非常に鋭利で簡単に人の指を落とす。
高級食材で、マレタナゴのから揚げはどの魚のから揚げよりもおいしいと言われている。
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お前もか! お前も高級食材なのか! 奇遇だな俺もだ!!!
てかタナゴなのか……体丸くないからメダカだと思ってたよ……。
よし! 何はともあれ俺の経験値となれマレタナゴ!
『大口』!
大口を発動して口を開く。
口を開くとき、少しだけ吸引効果が出るらしく簡単に二匹のマレタナゴが口の中に飛びこんできた。それを口を閉じて捕食し、咀嚼はせずにごくりと丸のみにする。
いやぁあああああああああああ! 生魚ぁ! 食べちゃったぁああああああ!
あ、でも臭くない。気分的には最悪だけど……。
いや……やっぱり元人間としてこういうのには抵抗ありありですよ。流石にねぇ! 火を通したい……てか! 味しねぇえ……。
【経験値を獲得しました。LVが8になりました】
うわぉ! めっちゃ上がるじゃないですか!
2匹一緒に食べたからな……あと5匹くらい食べたらまた進化できるんじゃない!?
おっしゃ! マレタナゴさん! 覚悟してくださいねー! 今から食べますか……ら……?
マレタナゴのほうを見てみると、残った18匹は俺のほうを見ていた。全員が口をパクパクとしており、体を震わせている。
すると、口に牙らしきものが生えて尾びれが銀色に輝いた。一匹のマレタナゴが岩に向かって尾びれを振るうと……岩が割れた。
その岩は川底へと落ち、砂煙を上げてごろりと転る。
岩は綺麗に切られており、石材屋で加工されたように輝やいていた。
………………作戦変更。ヒット&アウェイ戦法で行きましょう。
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