1.5.戦闘
バゴン! ゴゴゴゴゴゴ……。
切断された大岩が、底へと沈む。
それを見た瞬間、俺は踵を返して水流の流れに任せて全力で逃げていた。
マレタナゴは全力で追いかけてきているようだが、やはり個体差があるのだろう。
遅い奴と早い奴がいて、遅い奴は速い奴に任せて追いかけるのをやめているようだった。
追いかけてきているマレタナゴは全部で7匹。結構多い。
くっそぉお! なんだよあの切れ味! 日本刀でも実現不可能だぞ!? 天の声さん! あの技なんですかぁ!?
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―部位強化(鋭)―
自身の体の一部を鋭い刃物に変形させる技能。持続させる場合はMP消費が激しい。
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あんな小魚の癖にその技能は反則だろ! くっそぉーこちとら大口と発光しか持ってないんだぞ……ってそうだ! 発光あるじゃん!
あいつらは今絶対俺を見ているはず。だったら目くらましになるだろうぜ! 『発光』!
体に太陽光の光を受けてマレタナゴのほうに反射してやる。
前まではこの発光で自分にもダメージがあったが、今は『眩み耐性』でその効果を遮断することができている。
一瞬強い光で見えなくなるが、すぐにその光は収束する。
今度はちゃんと前が見える。
マレタナゴを見てみるとちゃんと発光の効果が表れているようで、その場に留まってうろうろしていた。前が見えていなさそうだ。
この隙に再突撃して3匹のマレタナゴを大口で喰らう。
近くにいるマレタナゴは何が起きているのかわからないようで、よろよろとその場所から逃げようとするが、その速度は遅い。
【経験値を獲得しました。LVが11になりました】
おっしゃ! ふっふっふ……マレタナゴよ、焦りすぎたのではないか~? こちとら中身は人間なんだぜっ! 頭脳戦で魚には負けねぇよ! まぁぶっちゃけ技能に助けられたよなぁ……。
俺はまだ視力が回復していないマレタナゴに再度突撃して大口で喰らう。今度は二匹だ。
食べている間に残りのマレタナゴに結構距離を取られてしまったが、まずまずの成果だろう。
【経験値を獲得しました。LVがMAXになりました】
残りのマレタナゴも捕食したいところだが……LVも上がらないしまた今度でいいだろう。よし! 退散!
発光の効果が聞いている内に距離を取って隠れることにした。
これ以上捕食しても経験値は手に入らないので、無駄な殺生はしないようにしたほうがいいだろう。
◆
何とか落ち着ける場所を探し出すことができた。今度は草むらの中。草っていうか水草だけど。
てか意外とあっさりした戦いだったなぁ……あの尾びれで殴られなかったのは技能に助けられたおかげだな……。マジで助かった。
まだ体力とかも回復してないな。進化してもLVが上がってもHPやMPはゲームみたいに全回復しないみたいだし……気を付けておかないとな。
さ、今のステータスは?
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種族:ブルーフィッシュ(幼体大)
LⅤ :12/12
HP :25/31
MP :25/42
攻撃力:24
防御力:35
魔法力:15
俊敏 :35
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結構伸びが悪いんだなぁ……。まぁ幼体にしてはいいほうなのかもしれないけど。ま、いっか。よっしゃ! これからだこれから!
天の声さん! 進化先を教えてくださいな!
【進化しますか?】
はい。
【進化先を選んでください】
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―進化先―
ブルーフィッシュ(成体小)
ブルーフィッシュ(成体大)
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遅く進化してどんどん力を蓄えていく予定なので、進化先はブルーフィッシュ(成体小)でお願いします。
進化先を選ぶと、また体が大きくなった感覚があった。
鱗が分厚くなり、少し動きにくい。
ヒレが丸い形から細長い形になり、尾びれも少しだけ硬くなった気がする。
よし、天の声さん。まずブルーフィッシュについて教えてくれ。
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―ブルーフィッシュ(成体小)―
稚魚から成体へと成長した数少ない個体。鱗が分厚くなり身が少しだけ少なくなるが、大きくなれば減った分の身は戻ってくる。
体が硬く、ちょっとやそっとの攻撃ではびくともしなくなる。
高級食材で、王族によくふるまわれることがあるが、絶滅危惧種に指定されてからは料理に出されることはなくなった。
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よかった。国宝級高級食材にはならなかった。いやまぁよくはねぇんだけどさ。
やっぱり絶滅危惧種に指定されたの人間のせいじゃないか。
てか王族いるのか! こういうところから人間の情報が読み取れるのはありがたいな……。いつか絶対に会うぞ!
よし、じゃあステータスを表示してくれ!
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種族:ブルーフィッシュ(成体小)
LⅤ :1/20
HP :25/35
MP :25/39
攻撃力:19
防御力:30
魔法力:10
俊敏 :19
―特殊技能―
『天の声』『希少種の恩恵』
―技能―
『大口』『発光』『部位強化(鋭)』
―耐性―
『眩み』
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やはりLV1だけあって……色々落ちている。
防御力は高いままだが、これ俊敏がめっちゃ落ちてるなぁ……。鱗が分厚くなった分俊敏が落ちたんだろうな。
っておおぉ!? 『部位強化(鋭)』があるじゃないか! こ、これで俺も岩が切れるようになるのか……!? やったぜ! これなら多少強い奴が出てきても戦えるぞ!
まぁ……俺よりでかいやつにあったことないんだけどさ……。でもいつか出てくる可能性もあるし、自分の爪は磨いておかなければな!
試しに使ってみるしかないでしょ! 『部位強化(鋭)』。
発動すると尾びれが硬くなる感覚があった。近くにあった岩に尾びれをぶつけてみる。するとカチン! と音が鳴って岩に小さな傷がついただけで終わった。
あれぇ……? マレタナゴは切ってたじゃーん! なんでだ?
LVが足りないのかもしれないと思ったけど、経験値の入り方からしてマレタナゴも俺と同じようなLVだったはずだ。
同じ技能なのに使ってみれば全然違う威力……詐欺ではないだろうか?
もう二回ほど使ってみるが威力はほとんど同じで岩に傷をつける程度で終わってしまった。
諦めて技能をしまうと、体がだるいことに気が付く。
なんだ? あ、もしかして……。
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種族:ブルーフィッシュ(成体小)
LⅤ :1/20
HP :25/35
MP :5/39
攻撃力:19
防御力:30
魔法力:10
俊敏 :19
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MP消費激しいな!? 一回使うのに6MPくらい使うのかな……今のままでは乱用できないなあ
多分だが、維持するためにもう少しMPを使っているのかもしれない。
【経験値を取得しました。LVが2になりました】
あ。プランクトン。
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