1.2.技能
とりあえずだ……ここに居ても何も始まらねぇことがわかった。
俺は生まれた場所から移動することにした。
だが周囲の警戒は怠ってはいない。できるだけ岩の影に隠れつつ俺でも狩れそうな獲物を探すことにする。
まだ体が小さいため全ての物が大きく見えた。
でも泳いでいてなんだが空を飛んでいる感じがしてとても楽しい。
い、意外と悪くないぞ? でもはしゃぐと絶対敵に見つかるよなぁ……。てかご飯何処? 技能とか試してみたいんだけど……。
あ! そうだ! 魚って確か光に集まってくる習性あったよな?
技能の『発光』で敵を集めることが可能なのではないか!?
思いついたらやってみよう! えーっと? どうやって技能使うんだ?
んーわからん! 『発光』!
念じていると意外と簡単に発動した。
日の差している場所にいたためすぐに使用できたようだ。太陽光が当たっている鱗が強く発光する。目の閉じれない俺もその眩しさを受けてしまうが、案外平気だ。
……1分ほどすると発光の効果は切れてしまった。
さて、どうなったかと思って周囲を確認してみるが、一匹も獲物に会うことができなかった。
えー……魚って光に集まるんじゃないんですか? 名案だと思ったんだけどなぁ……失敗すると結構へこむんだけど。
【経験値を取得しました】
なにぃ!? 俺何もしていないぞ!?
【経験値を取得しました。LVが2になりました】
え、ちょっとまって!? なんで? いやいいよ? 別にいいけど理由がわからんからめっちゃ怖い! ドユコトナノー。
それからどんどん経験値が入ってくる。
ただ息をしているだけで経験値が入ってくるとかいったい何がどうなってやがるんだ!
でも確か、経験値って捕食したら手に入るんだろ? 俺なんも食ってねぇぞ! 怖い怖い!!
で、でも手に入ってるってことは何かを食べているはずだ……。なんだ? 何を食ってんだ俺は……。
目に見えない食べ物? で、魚が食う奴っていったら……プランクトンか!!
いやややや! プランクトン食って経験値もらってLV上がるとか恩恵デカすぎね!? いいのそれ!? いや俺的にはいいけどさぁ!
【経験値を取得しました。LVが4になりました】
はい、有難う御座いまーす。
ってあれだな、さっきの発光……獲物は集めれなかったけどプランクトンを集めることはできたんだな。
もしかして魚が光に集まるっていうのは、まずプランクトンが集まって、それを食べに魚が来るからそういう風に言われ始めたのかな?
プランクトンは見えないからな。そういわれるようになってもおかしくないのかもしれないけど。
やったぜ~めっちゃ楽にLV上げ出来るじゃねぇか! 発光すげぇ! 恩恵ありがてぇ!
ていうか進化一歩手前まで来ちまったな……いいよね? いいな!
だけどこれ実戦で戦えるかなぁ…………不安。
もう一つの技能、『大口』も使ってみたいけどな……。ま! 早いこと進化して楽に戦えれるようになればいいか!
俺はもう一度発光を使用して、周囲のプランクトンを根こそぎかき集めていく。
他の敵が来たら敵わないので、集めた後は動き回って適当に捕食する!
【経験値を取得しました。LVがMAXになりました。進化が可能です。現在のステータスを表示します】
===============
種族:ブルーフィッシュ(幼体)
LⅤ :5/5
HP :7/15
MP :7/25
攻撃力:12
防御力:16
魔法力:6
俊敏 :20
―特殊技能―
『天の声』『希少種の恩恵』
―技能―
『大口』『発光』
===============
おっしゃ! 幸先がいいじゃないか! 一時はどうなることかと思ったけど、これなら龍になるまでそう時間かからないんじゃないの!?
でも……こんなに大きな川なのに一匹もほかの生物見ないんだよなぁ。なんでだろう。
あ、でも俺が小さいだけで、人間的に見たらこの川めっちゃ小さいのかもしれないな……。それならそれで天敵もいなさそうだしいいんだけどさ。
てか俺の天敵ってなんだろう。天の声さん。その辺どうなんですか?
…………反応がない。見たことないやつはわからないのか?
ま、天の声に頼ってばっかじゃいけないな! これから頼んだけどさ! 進化進化!
【進化しますか?】
もちろんしますともー!
【進化先を選んでください】
選べるの!? えー……龍になれたらなんでもいいんだけど……まぁ見せてもらおうかな?
こういうの選べるってことは、結構いろんな種族の生物がいるんじゃない? うわー! 早く陸に上がりたいなぁ!
===============
―進化先―
―ブルーフィッシュ(成体小)―
―ブルーフィッシュ(幼体大)―
===============
…………え? いや種族変わってねぇじゃん! 変わってんの大きさだけじゃねぇか!!!
え? でもなんでこんな別れ方してるの? 大きくなるんだったらなんでもいいけどさ……え?
これ何が違うのさ? 幼体大に進化する意味が全く分からねぇ。
流石にこれは教えてくれるだろ! 天の声さん! 進化について詳しく教えてくれ!
【進化は早く進化するタイプと、遅く進化するタイプの二種類があります。早く進化すれば早い段階で力を得ることができますが、遅く進化するタイプに進化先が追い付かれた場合、ステータスで致命的に劣ることになります。
遅く進化するタイプは、進化しきるまで、常に危険に晒されます。ですがそれを乗り切った個体は何からも遅れを取ることはなくなるでしょう。
進化では同種族の成長、種族変更も可能ですが、一定の値に達していない場合は種族変更はできません】
なるほどなぁ。つまり、強くなりたいんだったら近道しないでじっくりやれよってことか……。
これは一択でしょ、遅く進化するタイプ。
いやだってさ……急いで進化して龍になったとしても、周りにいるやつが遅く進化してきたやつだったら目も当てられないことになりそうじゃないか……。いやだよ雑魚龍なんて……。
と、言うわけで俺は遅く進化するタイプを選ぶことにした。
その前に、ブルーフィッシュ(幼体大)について確認しておこう。
できるよね? 天の声さん!
===============
―ブルーフィッシュ(幼体大)―
ブルーフィッシュの稚魚が一回り大きくなった姿。
高級食材で非常に絶品であるが、絶滅危惧種なので釣ることは禁止されている。
===============
あっらやだ高級食材ですって! 照れるわ~。じゃないわ!! 俺の生存確率をどんどん下げてんじゃねぇぞこら!
これ以上下げられると本当に生き残れないんでやめてください……お願いしますよ……。
てか成体になる前で高級食材なんだから、成体になったら国宝級高級食材とかになるんじゃねぇのか?
てか絶滅危惧種に指定された原因十中八九人間だろ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます