【完結】転生したら小魚だったけど龍になれるらしいので頑張ります

真打

第一章 転生

1.1.卵より


 目が覚めた。

 だが周囲がぼやけていてなんだかわからない。

 目はしっかりと開いて機能しているはずだが……なんでこんなぼやけているんだろうか?


 俺は目の良さにはそれなりに自信があるんだ。視力1.8!

 まぁ自慢するほどのものでもないよな……。知ってた。


 だが……どうもわからん。何これ?

 目は開いてるし、体も動く……ん? ……ん? んん!!?

 目が閉じれない!!? な、な、なんだ!? おうおうおう! 一体どうなってやがるんだ!


 手は……動く。良し、大丈夫だ。足は……動……く? な、なんか変だ。何がどうなっているのかが見れないのがもどかしい。

 口も動く。と、とりあえずはよしだ。良しとしておこう。


 いやよしじゃねぇよ、これは一体なんだ? 何がどうなってやがるんだ?

 俺は……昨日……家で寝て、それから……ん? 俺昨日家で寝たか? やばい、全く思いだせん。


 体が……動きにく! なんだよここ! でも動けないことはない! 大丈夫だ、落ち着いて暴れてこの空間から何とか逃げ出してやる。

 いや、落ち着いて暴れろってなんだよ、自分で言って笑っちまったわ。


 よし、いくぞ……おらあああああああ!

 お! なんか動きやすくなった感じがする! 行けるぞ! うぉおおおおおおおおおお!!!


 よっしゃぁああ! なんか抜けた! 何かから出られたぞ! ったく、俺をこんなに苦しめるとはいい度胸じゃねぇか……その面拝ませてもらうぜ!


 …………ん? 卵?


 そこにあるのは紛れもない卵。他にも数百個同じ大きさの卵があるが、すでに中には何もおらず、全部出て行ってしまった後のようだ。


 つまり……俺は一番最後?


 いやちょっとまてーーい! え? 俺どうなっちゃったの!? お家は!? お、俺のお家はどこですか!?

 はい! 状況整理のお時間です! 落ち着け……落ち着け俺……。


 えっと? 目が閉じない、腕の感覚はあるけど頭まで手が届かない、足に違和感。まず体の確認だ。

 俺は全力で体を曲げて足のほうを見てみる……。と、そこには魚のしっぽがあった。


 …………えっ。しっ……ぽ? 俺……魚!? は!? は!? 馬鹿野郎信じられるかはっはっは。

 マジで? あ、だから俺浮いてるんですね~。地面があったけどこれもしかして水中の底?

 えっ……俺どうやって生きていけばいいんですか? てか俺誰だよ! どうなってんだよ!


【種族を確認いたしますか?】


 ギャアアアアアアアびっくりしたぁああ!!! な、な、ななんだ貴様! どっから沸きやがった!


【種族を確認いたしますか?】


 だ、誰だよ……み、味方なのか? もういいよ! 誰でもいいからこの状況を説明してくれ!

 種族確認だな! お願いします!


===============

─ブルーフィッシュ(幼体)─

 青色の小魚。川にしか生息できないと言われる希少な魚。その希少さは珍しいということではなく、成体で確認されることがほとんどないことが由来。故に周囲は天敵だらけ。

 絶滅危惧種。

===============


 うぉおおおおおおおい! 最後! 最後ぉおおおお! 絶滅危惧種!? 幼体の数は多いけど成長しきる前に捕食されるってことじゃないのかそれ!

 待たんかい! ばっきゃろう聞かなきゃよかった……。

 なんでこんな何のひねりもない名前の魚が絶滅危惧種なの……。


【ステータスを表示しますか?】


 はい、好きにしてください……。


===============

種族:ブルーフィッシュ(幼体)


LⅤ :1/5

HP :3/3

MP :5/5

攻撃力:4

防御力:8

魔法力:2

俊敏 :13


―特殊技能―

『天の声』『希少種の恩恵』


―技能―

『大口』『発光』

===============


 うん、基準は全く分かんないけど、クッソ弱いのはわかった。なに? 俺を殺したいの?

 てかこのLⅤだけどさ……MAXになったらどうなるの?


【LVが上限に達すると進化することができます】


 んーなるほど? RPGゲームみたいな感じか。……もしかしてこの世界ってそういう感じなの? 剣と魔法の世界とかそういう感じ?


 ……ああ、こういうのには天の声さん回答してくれないのね。寂しい。

 てかさ……進化って言ってもどうせ川から出られないんでしょ? なんで地上生物に生まれなかったんだよぉ~……。


【ブルーフィッシュは、進化し続けると龍になることができます】


 え!? うっそまじ!!? じゃあ頑張る! 俺頑張っちゃう!

 これはあれかな? 鯉が龍になる的なあれだろ! やったぜなんか運が向いてきた気がする! いや状況は絶望的なんだけど……。

 ……なんか天の声さんにちょろって思われてる気がする。

 気のせいじゃないだろこれ。


 まあいいや! まずは……俺のできることを確認しておかないとな……。

 この『希少種の恩恵』ってなんだ?


===============

―希少種の恩恵―

 ブルーフィッシュから稀に生まれる白色の個体に与えられる恩恵。LVが上がりやすくなる。技能熟練度が上がりやすくなる。

===============


 すごいんだよな? これ……。てか俺の体白色なのか。

 まぁ持ってるだけでいい恩恵なんだからありがたくもらっておこう。

 次だ次。えっと……技能の大口と発光か。いっぺんに教えてくれ!


===============

―大口―

 自身の大きさより小さい対象を捕食することができる。

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―発光―

 太陽光を自身の鱗で反射させて、対象の目をくらませる効果を付与する。

===============


 なるほど? ……うん、どう考えても敵の目を見えなくさせてから捕食するしかできないようにしか思えない。

 待って? 俺って食べる以外の攻撃方法ない感じ??

 この未開の土地で人間の理性をもったまま生魚食べなきゃいけないの? どんな拷問だよ!

 お、おい! 天の声! 経験値ってどうやって取得するか教えてくれ!


【魔物の場合、経験値は倒した対象を捕食することで手に入れることができます】


 結局食わねぇといけねぇのかよぉおおおお!!!!

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