第96話-釣り開始っ!

「ついたぞー! がっはっはー!」


 俺たちが釣りに来た場所は、手すりがあって安全に釣りが出来る場所。

 いつもは良く混んでいるのだけど、今日はまばらなのでゆっくりと釣りができそうだ。


 俺とお父さんはさっそく車から竿を取り出し、釣りの準備に取り掛かる。


 お母さんと沙耶ちゃんは、折り畳み式の椅子を広げたりして、場所取りを。


 まどかちゃんと葵ちゃんはお隣さんの魚の入ったバケツを見せてもらっているみたい。


「エサ釣りの準備できたよー まどかに葵、戻っておいでー」


「はーい!」


 元気よく返事をした後、魚を見せていただいていたお隣さんに、きちんとお礼とお辞儀をしたまどかちゃん達。

 いい子に育ってお兄ちゃんはうれしいぞよ。


 今回のエサ釣りはサビキ釣りという釣りをする。

 簡単に説明するとエビ等が含まれたエサを海に撒いて、エビに似せた針で魚をるという釣りだ。


「お兄ちゃん、釣り方は上下に揺さぶればいいんだよね?」


「うん、それであってるよ。 難しい操作はいらないからきっとみんなでも釣れると思うよー」


 妹達が海に仕掛けを沈める。

 そしてそこに俺がエサを撒く。

 すると、海面に魚の群れが泳いできた。


「にいちゃんなんかお魚いっぱいきたよー!」


 葵ちゃんが興奮した様子で状況を伝えてくる。


「!!?」


 早くもまどかちゃんの竿にお魚さんがヒット!


「まどかちゃん巻いて巻いて!」


 こくりと頷き、冷静に引き上げる。

 そして……。


「お兄、釣れた……」


 見せてくれたお魚はアジだ。


「まどかすごい!」 と沙耶ちゃん。

「まどかずるい!」 と葵ちゃん。


 二人とも反応は違うものの、お互い「負けない」と、競争心に火が付いた様子であった。

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