「よーしみんな忘れ物無いかー？」

　お父さんが車にエンジンをかけながらみんなに確認する。

　そしてみんなから忘れ物が無い事を確認すると、海に向かいハンドルを切った。

「いやー大きい車はみんな乗れていいなー！　がっはっはー！」

　いつも以上にテンションが高いお父さん。

　家族でお出かけをしているという事も関係しているとは思うが、多分この大きなワゴン車を動かしているからだろう。

　まぁレンタル車なんだけどね。

　車の乗組員の配置は、運転席にはもちろんお父さん。

　そのお隣の助手席にはお母さん。

　真ん中の席にはまどかちゃんと葵ちゃん。

　後ろの席には俺と沙耶ちゃんだ。

　いやーみんな乗れるっていいね。

「ねーちゃん、にいちゃんのお隣ずるいー」

「しょうがないでしょ、葵にまどかは車酔いするんだから。　後ろの席は酔いやすいらしいよ？」

「うぅー……」

　反論できない葵ちゃん。

「葵ねえ、ときにはあきらめがかんじんなんだよ」

　と、まどかちゃん。

　いろんな言葉知ってるなぁ……。

「今回は見逃してやるーっ！！」

　そう言い、諦めてくれたようだ。

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