第89話-授業参観(沙耶目線)

――沙耶の学校――


「はぁー……」


「あれ?沙耶ちゃんなんか元気ない?」


 私のお友達が心配して声をかけてくれる


「えっ、あ、そんなことないよ! ふつーだよふつー」


「ならいいんだけどね! 今日は授業参観なんだから笑顔でいなきゃだよね!!」


 そう。 今日は私の学校では授業参観があるんです。 元気がないのには訳があって――――


「お父さんお母さん!! 明後日の金曜日なんだけど、お仕事あったりする?」


 少し不安を持ちながら返事を待つ。


「そうねぇ、私もあなたも一日お仕事かしらね」


「そうだな。 確かにお互い仕事入ってるが…… どうしたんだ?」


「あっいや! 聞いただけ聞いただけ!! じゃあ私部屋戻るから!!」


 そうだよね。 分かっていた事なんだけど、お仕事あるよね。 多分お父さんお母さんならきちんと言えばお仕事休んでくれるだろうけど…… 最近お仕事忙しいみたいだし、諦めよう。


 私は手にしていた授業参観についてのお手紙を丸めて捨てた。


 本当は、お父さんお母さんに来て欲しかったな――――


「沙耶ちゃん沙耶ちゃん! ぼーっとしてどしたの? 体調悪いの?」


「う、ううん。ちょっと緊張してるだけだよ!!」


 続々とみんなのお父さんお母さんが集まってくる。 私は人が多くなるにつれて、気分が落ち込むのでした。


 でも。


 「沙耶ちゃん」


 聞きなれた優しい声が後ろからした。


 私はその声が幻聴ではないと確かめるために振り向いた。 そこに居たのは……


 私の大好きなお兄ちゃんでした

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