第85話-バイト後の自宅にて

「お待たせしましたー」


 俺が女の子にフルーツを届けると、たちまち元気になり笑顔になった。


「店員のお兄ちゃんありがとう!!」


 そうお礼を言うと、フルーツをもぐもぐ食べ始めた


「あの店員さん、新しい伝票は?」


「お金は取りませんよ、今回だけ特別です。 どうぞこの事はご内密に。 また食べに来てください」


 そう言うとお母さまは深々と頭を下げ、笑顔で「ありがとう」と言ってくれた


――――――――


「今日も疲れたなー」


 部屋に到着した俺は、一人つぶやく

 部屋着に着替えていると、ドアからノックがかかる


「にいちゃんお着換え終わったらリビング来てってお母さんが言ってたよ」


「ああ、分かった」


 なんだろう。 夜ご飯の買い出しの頼みだろうか?


 俺は着替えを済ませると、もちろんリビングに向かった


 そこには妹たち三人も居た。 お父さんはお出かけ中みたい


「お母さんどうしたの?」


「亮一君お仕事お疲れ様ね! それで要件なんだけど、明日沙耶ちゃんのお友達が遊びに来たいみたいなのよ」


「ちほちゃんって言うの! 前に私の学校の校門前で会ったことある子だよ。 覚えてる?」


 沙耶ちゃんたちのお迎えに行った時に一度会ったあの子かな?

 確か「彼女はいるんですか?!」とか聞いてきた子だろう


「うん、覚えてるよ。 女の子が来るなら、俺は家に居ない方がいい感じかな?」


 俺が問いかけると、沙耶ちゃんは「ううん」と首を横にした


「ううん。 逆だよお兄ちゃん ちほちゃんはお兄ちゃんに会いたいみたいなの。 だから明日予定が空いてるか聞きたくて」


 運よく明日は特に予定が何も無かったので、ちほちゃんに会う事を決めた亮一であった

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