第83話-久しぶり

 絵が無事だった事を確認したので、帰る事とする。

 めぐみさんから「美術部に入りませんかっ!?」と誘われたが、丁重にお断りをし、美術室を出た


「さ、帰るか」


 下駄箱に行き、上履きから靴に履き替えていると、委員長とばったり会った


「あら、亮一君じゃないの! 今から帰り?」


「うん。 委員長も?」


 コクリとうなずくと、何か言いたそうにしながらそわそわしだした。


「あ、あの。 良かったらなんですけれども……」


 何となく何が言いたいか察した俺は


「いっしょに帰ろうか」


 と、笑顔で言った


――――


「なんだかこうして亮一君と二人で帰るのは久しぶりね」


 思えば、妹達が出来てからこうして二人だけで帰るのはとても久しぶりだ

 俺は妹達のお迎えだったり、知幸も居たりだとか。

 委員長は委員会のお仕事だったりと、お互い忙しかったからだろうか


「そうだね。 なんだか懐かしい気分になるよ」


 前に二人で帰ってからそんなに経ってはいないはずだが、懐かしいと思うのはなぜだろう


「私もそんな気がするわ。 何ででしょうね」


 懐かしみながら帰っていれば、もう委員長の家まで着いてしまった


「じゃあね亮一君。 今日はなんだかいっしょに帰れて楽しかったわ。 ありがとう」


「いや、お礼をもらう程の事じゃないよ。 また時間があれば一緒に帰ろう」


 またねの代わりにお互い手を振り合う。

 また明日。 そう言い合うように。

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