第82話-美術室

 次の日の放課後


 俺は気になっていた自分の絵を確認するべく、美術室に向かった。


「コンコン」


 美術室のドアをノックする。

 が、返事はないようだ。

 鍵は掛かっていないようなので、お邪魔することにする


「失礼しまーす」


 ドアを開けると、そこには一人の女の子が居た

 その子は振り返る事なく一つのキャンバスを見ている


「(なに見てるんだろう)」


 俺はちらっとその絵を見る。


「あれ? 俺の絵……?」


 この一言で女の子はこちらに気がつき、振り向いた


「あっ!! 勝手に見てごめんなさい!!」


 その子は昨日と同じ、黒い眼鏡の子だった


「あっ! いや大丈夫だから!! とりあえず落ち着いてくれると嬉しい」


 この後この子に、なぜ僕の絵を見ていたのかを聞いてみると、ただ単にとても気に入って見ていただけだと言う。

 もちろんいたずらなんてする気は無いみたいだ。


「私、美術部に入っているんですが、このような『素敵』な絵は見たこと無くって」


 そんなに上手い訳ではないとは思うが、どこが気に入ったのか聞いてみると、「優しさが伝わってくるところがとても気に入っています」と、嬉しい事を言ってくれた。


「あっあの! 私、秋山あきやまめぐみっていいます!! ご、ご迷惑でなければお名前が聞きたいです!!」


 少しテンパっているのが伝わってくる。

 そんなに緊張しなくていいのに


「俺は高津亮一。 多分君と同じ学年だと思うんだけど、一年生だよね?」


「あっ! はいっ! わ、私も一年で、四組ですっ」


 四組か、道理で知らない顔な訳だ。

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