第68話-町の案内3

「おお! これが日本のショッピングモールだな!!」


 湖を後にした俺とリズさんはショッピングモールに来ていた。


「必要な物はこのショッピングモールに来れば大体は揃うよ」


 リズさんは珍しい物を見るかのようにきょろきょろしている。

 楽しそうでよかった。


「そうだ! 君の持っている小説が買いたいのだがどこかな?」


 残念ながらこのショッピングモールに本屋さんは無いことを伝えると、肩を落としてがっくりした


「欲しかったなぁ 桜舞う日」


「そんなに読みたかったの?」と聞いてみると、


「だって君とお揃いになるじゃないか。 ほら、時間も共有できるし」


 思わせぶりなのかそうじゃないのか、俺にとってはとても気になる所だったが、この話はこれ以上続かなかった


――――


「今日はありがとう」


 すっかり辺りは暗くなり始めていた

 一日中歩いたからか足が重たい


「いえいえ。 まだ何か聞きたいことあったらメール送ってくれれば返すから」


「ああ、その時はお願いするよ。ではまた学校で」


 そう言い残し、手を振りながら去って行った


 今日を一緒に過ごして、少しだけどリズさんの事がわかった気がする。


「俺も帰るか」


 もうすぐ夕飯。 今日は遅くなると分かっていたので、夕飯は沙耶ちゃんに全部任せていた


 夕飯の事を考えながら。 そしてリズさんの事を考えながら帰り道を歩いた。

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