第67話-町の案内2

 俺とリズさんはまずこの町の名所、「渡り鳥の湖」に来た


「リズさん寒くない?」


 俺はさりげなくリズさんを気遣う


「ああ、大丈夫だ。 ココアのおかげだ」


 幸い太陽が出てきて温かくなってきたので、外に居ても寒くない。

 ふふっと微笑んだ後、リズさんが質問をしてきた


「ここは普通の湖と何が違うんだ?」


「うーん、鳥がたくさんいる……くらい?」


 まあ、この町を案内するのが目的だし、特にすごくなくてもいいよね?


「なんだそれっ」


 今日一番の笑顔。 俺は自然とその笑顔を見るのが恥ずかしくなって、目をそらした


「鳥に餌あげられるみたいだけど、やってみる?」


 ここの鳥には、百円で鳥の餌を買うことで餌やりができるのだ。


「やってみるとしよう」


 さっそく餌を買って、餌やりに挑戦する


「なんだこの鳥たち! この餌袋を持っているだけで寄ってくるぞ?!」


 スズメやカモやカモメ、奥の方から白鳥まで来た。


「白鳥に一つ上げるとしよう」


「せいっ」


 白鳥に向かい投げた餌は、空飛ぶカモメに奪われた


「その餌はあいつのだぞ! カモメよ取らないでおくれ」


 だがその頼みが聞けるわけもなく……


「せいっ」


 またカモメに奪われた


「ぐぬぬ」


 俺はそんなカモメとリズさんのやり取りを、近くのベンチで眺めていた

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