第66話-町の案内
とうとうこの日が来た。
そう。 リズさんにこの町を案内する日が
俺は約束の三十分前に待ち合わせの近場の駅に到着した。
三十分くらいぶらぶらして時間をつぶそうとしたが…… もうリズさんは居たのだ
「リズさん! あれ? 俺待ち合わせの時間間違えました?」
駆け足でリズさんのそばに寄る
「いや、君は何も間違えていないよ。 私が約束の二時間前に来てしまっただけだ」
二時間前?! 待ち合わせは九時だから七時には居たって事か!
「店に入ろうとしたが、一人では入りにくくてな……」
俺はリズさんの手を触った
「こんなに冷えて!!」
いくら春とはいえ、今日は少し肌寒いのだ。 そんな中、二時間も外に居ては体は冷える
「近くの喫茶店であったかい物でも飲もう。 風邪ひいちゃうよ」
俺はリズさんの手を引き、お店まで駆け足で向かう
――――
「なんで二時間も前に居たの?」
喫茶店で温かいココアを飲みながら話す
「実は今日を前からとても楽しみにしていてな、居ても立っても居られなくなってしまった」
「そういうときは連絡ください。 俺も早めに来ますから」
「でも、君に変に思って欲しくなくて……」
リズさんがしゅんとしてしまった
「その気持ちは嬉しいけど、そのせいで風邪をひいちゃう方が心が痛くなっちゃうよ?」
「すまない」
わかってくれたなら、これ以上この話を話すのはやめることにしよう。
だってリズさんに悪気は少しもないのだから
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