第50話-動物園当日-移動編2

 電車の中では、ずーっと動物園の話で持ちきりだ。


「あー早く着かないかなー」


 沙耶ちゃんがふと呟く。


「大丈夫だよ。動物園は逃げないし、それにこうして楽しみに待つ時間も醍醐味だよ?」


「まぁ実を言うと私はお兄ちゃんとなら何処へ行っても嬉しいんだけどね」


 嬉しいことを言ってくれる。


「そう言えばみんなは動物園は初めて? 一度は行ったことある?」


 俺がみんなに問いかける。


「それがにいちゃん、私たち初めてなんだわ」


 なんかおじいちゃんみたいな口調で語る葵ちゃん。


「まだ一度も私たちは行ったことないから、すんごい楽しみなんだよ! 特にまどかはカピパラさん見たい、カピバラさん見たいって昨日うるさかったぐらいなんだから」


「うん。だってカピパラさん見たいんだもん」


 こんな感じでおしゃべりをしていると、あっという間に目的の駅に着く。


「ここからバスに乗り換えるよー」


「(妹達)はーい!」


 バス停まで行き、一応バスの時間を確認する。


「ちょっぴり時間あるみたいだから、何か飲み物でも買おうか」


「お兄、丁度喉乾いた」


バス停の近くにあるコンビニに入る。


「いらっしゃいませー!」


真っ先に飲み物コーナーへ行く。


「好きな飲み物このかごに入れてね。まとめて買うから」


「(妹達)はーい!」


それぞれ好きな飲み物を決めたので、お会計を済ませる。


「ありがとうございましたー!」


 飲み物を買った後は、バス停にあるベンチに腰かける。

 そしてみんなで買った飲み物をごくり。


 しばらくすると、バスがやって来る。


「みんな、これに乗るよー」


 バスに乗車する。

 さすが動物園に行くバス、人が多く、座る所も限られている。


「葵ちゃん、まどかちゃん座って。沙耶ちゃんは俺のとなりで立ってよう」


 葵ちゃんまどかちゃんをかばうように立つ。人混みが苦手な沙耶ちゃんも気に掛ける。


「発車しまーす」


 バスが走り出して少しすると、沙耶ちゃんが怯えているような気がしたので、手を差し伸べ、手を繋ぐ。

 すると沙耶ちゃんは笑顔になり、気が紛れた様だ。


「次降りるからねー」


 そう妹達に言い、安心させる。


 そして目的地に到着……!


「着いたー!!」


「(妹達)わーい!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る