第49話-動物園当日-移動編

 まずは駅まで15分程歩く。

 その後電車に乗り、そしてバスだ。


 妹達と手を繋ぎ、お話しながら歩けば、15分なんて短い物よ。

 駅に着くと、沙耶ちゃんがそわそわしだす。

 そう言えば沙耶ちゃんは人混みが苦手だったのだ。


「ねえちゃん大丈夫?」


 葵ちゃんが気にかける。


「大丈夫だけど、ちょっぴり怖いかな」


「ねえちゃん、私と手を繋ぐ場所変わろ」


 今手を繋いでいる順番は、沙耶ちゃん。その横に葵ちゃん、俺、まどかちゃんと、なっている。

 葵ちゃんと手を繋ぐ場所を変われば、必然的に真ん中になるのだ。


「ありがとう。そうさせてもらうね」


 お互い気を掛け合う。

 それが出来るなら、きっとどんな困難にも乗り越えて行けるだろう。


「えへへ。お兄ちゃんと久しぶりに手繋いじゃったー」


 嬉しそうな沙耶ちゃん。


「ねえちゃん! 安心するのはいいけど、後で変わってよねー」


「はーい」


 駅の改札まで来た。

 改札口の隣の券売機で切符を四人分買う。


 妹達はなれないながらも、改札口に切符を通す。


「えっと行き先はこっちだから……。二番線だ。みんな行くよー」


「(妹達)はーい!」


 エスカレーターを下ると、もう電車は来ていた。


「お兄、電車来てる!」


 焦っているまどかちゃん。


「大丈夫だよ。あと五分後に出発だから。その間に座れる所探そう」


 幸い、あまり混んでないみたいだったので、四人かけの椅子に座ることが出来た。


 隣にはまどかちゃん。正面は葵ちゃんで、その横に沙耶ちゃんだ。


「お兄。早くカピパラさん見たい」


「もう少しだからね」


 自然とまどかちゃんの手を握った。

 それと同時に、電車は走り出した。

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