第51話-動物園到着-動物園改札口前
入場するチケットを買うのにチケット売り場に並ぼうとした時、後ろから声が掛かる。話しかけてきたのは、おじいちゃんおばあちゃんの二人。
「あんた偉いねぇ。この子達のお兄さんだろう? バスに乗る時から見てたが、あんたみたいに良い子は初めて見た。良かったらこれ貰ってくれるけ?」
そう言って差し出したのはなんとライオンの赤ちゃんだっこ券。それも団体様有効の。
「え! いえいえ。貰えませんよ。こんなの普通の事ですし……」
「あらまぁ、根っこまで良い子なんけ。ならなおさら貰ってくれないかね。久しぶりに良いもん見してくれたけ。席も譲ってくれたお礼も兼ねて。」
このご夫婦には、先程のバスで席を譲っていたのだ。
「本当に貰っちゃっていいんですか?」
「いいよぅ。あたしらはここの動物園のお花が好きでそれを見に来てんの。ライオンはこのじいじが怖がるから、逆に貰ってけろ」
ここはお言葉に甘えることに。
「では、お言葉に甘えて、いただきますね。ありがとうございます」
「はい。では、あたしらはもう年間パスポートあるけ、お先に。また会えるといいの!」
優しいご夫婦だった。そして良いものを貰ってしまった。
「にいちゃんやったね! ライオンの赤ちゃんだっこ出来るね!」
妹達はすごく喜んでいる。
ありがとう優しいご夫婦。
気を取り直してチケット売り場に並び、チケットを買う。
「買ってきたよ! さ、入ろうか!」
俺たちは期待を胸に、チケットを係員に渡し、ようこそと書かれたゲート内に入る。
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